サンジを向かい合わせて、腰を跨がせたまま次のラウンドを終え。
もう一度シャワーに入って、今度は薬を塗布するためだけにローションを塗り。
くったりと疲労困憊していたサンジを促して、デリカテッセンで仕入れておいた晩御飯を平らげた。
冷たいデリ・フードを、軽めのワインと共にぼうっとサンジは咀嚼していき。
デビル・チキンというホットソースをかけて焼いたチキンを一口食べたときだけ、目を見開いていた。
すぐに春雨のサラダで口の中の辛さを沈下させ。2種類のワインゼリーもサンジに食べさせてから落ち着けば。
「へんな感じ、」
そう言ってサンジがふにゃりと笑っていた。
「指がね、重いよ…?」
とろりとした笑みを浮かべていたサンジの髪を撫でた。
「疲れさせちまったな」

する、と掌に懐いてきたサンジが、きもちいー…、と甘えた声を出していた。
「明日チェックアウトだが、パッキングは起きたらやっておく。だから今日はもう寝ようか?」
時計を確認すれば、まだ11時を回ったところだった。
「あのさあ?」
甘えた声のサンジの目尻に口付けた。
「ん?」
「テラス、長椅子出てただろ…?」
「ああ」
「そこで少し休んでいい?」
柔らかな色のヘヴンリィ・ブルゥを覗き込んで微笑みを返した。
「そこで寝ちまってもいいぞ、ちゃんとベッドには連れて行ってやるから」
「うれしいな、おまえといられて」
ふわふわとした笑みが目元に浮かんでいるのを見詰め、額にも口付ける。

「なぁ?」
「んー?」
甘い声に、同じだけ甘くなっているだろう声で返す。
「おまえ、ちゃんとクエタ?」
柔らかな微笑を湛えたまま訊いてきたサンジに、くすりと笑みを零す。
「充たされる先から餓えちまうから、いつでももっとオマエを喰っちまいたいけどな。ちゃんとイタダキマシタ」
「ん、」
さらりとした手触りの前髪を梳けば、ふわりと頬に口付けられた。
幸せだ、と伝えてくる目線に微笑み、額に口付けてから、唇を柔らかく食んだ。
「ひとまずは、ゴチソウサマデシタ」

サンジが柔らかく笑っていた。
「もうイラナイノ?」
「今夜はな。明日も長いドライヴだし、オマエ、ちゃんと休まないと」
ふわふわと蕩けたままきゅう、と抱きついてきたサンジを腕の中に引き上げ。
クーラーの利いた室内から、テラスへと向かう。
ウッドのロングチェアにサンジの腰を下ろさせ、身体を横にしてやる。
3階の部屋ではあるけれども、随分と高い位置にあるテラスからは、通りの向こうに建つカテドラルのライトアップされた
白い壁が見えた。

下の道路を通るトラフィックの僅かな音が聴こえてくる。
それ以外は過ぎる風に揺れる街路樹の葉がさざめく音しか聴こえない。
サンジがすう、と腕を伸ばしてきて。
細い四肢に身体を沿わせた。
ティビーで遊ぶには飽きたらしいエリィが、とことことやってきて。
反対側に身体を落ち着けていた。
笑ってそれを見守る。

サンジの手が届く位置に長く寝そべったエリィに、サンジがくすっと笑っていた。
柔らかい金の髪を撫でてやり。
次の目的地がフロリダであることを告げる。
「マイアミの方まで下ると、戻ってくるのに時間がかかるからな。ジャクソンビルを通ってから、タラハッセを通過して。
パナマ・シティ・ビーチまで行こうと思っている」
ぱあ、と表情が華やいだサンジに、それでいいか、と訊く。
「ホワイトサンド・ビーチだね、」
「ああ。けどオマエ、日中のビーチはアウトだぞ?」
「大人しくパラソルの下にいるよぅ、だめ?」
にこお、と笑ったサンジに、サンバーンが治るまでは、ダメだと笑う。

「その代わり。水族館でも行くか?」
一瞬悲しげに表情を沈ませたサンジが。その言葉にまたぱあ、と顔を輝かせていた。
「ゾロ…!」
「到着した日は大人しくホテルで休んで。翌日、日中水族館で遊んで、夕方か夜にビーチに行けばいいだろう?」
天使のようにレィディエントな笑顔を浮かべたサンジに、に、と笑う。
「あるかな?プログラム。イルカと泳ぐ、あったら、な?」
酷くキゲンが良さそうに笑っているサンジの髪を撫でてやる。
「予約入れておくよ、」
「ん、」
きゅう、と強く抱きつかれて、浮いた後頭部を手で支えてやる。
「だから今日明日はちゃんと休まないとな?」

「明日も?」
そうしないと途中でバテちまうぞ、と頬に口付けながら言葉を続けた。
「ドライヴで一日潰れるけどな」
く、と抱きついたまま見上げてきた蒼に笑いかける。
「途中、ジャクソンビルでランチを食う予定をしているが、合計7時間ほどのドライヴだ」
「運転どこかで替わるね?」
ふんわりと柔らかに笑んだサンジに、に、と口端を引き上げる。
「明日のオマエの体調をみて決めよう」

「ブレックファスト代わりにされなかったらオーケイ、」
「チェックアウトは9時だぜ?」
に、と笑って目を煌かせたサンジを覗き込む。
「オマエ、起きれるのか?」
「With your kiss, darlin'」
オマエのキスでね?と言ってにこおと笑ったサンジに、すい、と肩を竦める。
「Elei, my boy, did you just hear that?」
エリィ、チビ、今の聴いたか?と笑って言えば。
とっくに寝付いていたと思っていたふわふわの尻尾が、ひたん、と一度だけ揺れた。

する、とサンジの指が額をなぞっていく。
火照った指先を捕まえて、爪のエナメルに口付ける。
「明日の朝が楽しみだな?」
「I was made to love, don't you know?」
愛するために生きてるのに、おれ。知らなかったんだ?
そう言ってくっくと笑ったサンジに、柔らかな口付けを落とす。
「それだけじゃないだろ?」
柔らかなヘヴンリィ・ブルゥを覗き込む。
「You were made to be loved too, darling」
愛されるためにも、だろう?と。
囁きに落とした声で告げる。

ふわ、と吐息に混ぜてサンジが小さく笑い。頷いてから肩口に顔を埋めてきた。
「心の総てで愛しているよ、サンジ」
柔らかく髪を撫でながら、囁く。
とん、と甘い金に口付けを落とす。
「Would you make love to me in the morning sun?」
朝陽のなかで、愛してほしいよ…、と甘い声で囁いてきたサンジの額にこつんと額をあわせて笑った。
「Some time soon. but not the following morrow、」
“明日じゃなくて、近々な?”




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