「なあ、オイ―――」
くう、と唇を吊り上げたシャンクスに向き直る。
「オレの親友がオマエを撮りたいって言ってる。あンたどうしたい?」
カメラマンを目指してるって、この間言ってたよな、リカルド、オマエ。
きら、と翠がまた煌く。そのままじい、と見詰めてきながら、蜜が滴るように甘い声で、リカルドにも聞こえるように言ってきた。
「ふゥん?レンズ越しにおれを抱く気あるならイイよ」
ハハ!リカァルド。オマエ、貞操の危機かもな!
しばらくシャンクスがモデルの類を引き受けたというハナシは聞かない。
そんな素振りも見せなかったのにな―――?
『まぁたすごいコを見つけたもんだな、ベン』
あきれたような、感心したようなリカルドの低すぎない声。
「冗談にするかしないかは、会ってから考えろ。ひとまずオマエは、敷居を跨いでもいいらしいぞ」
ふわん、と甘い笑みを浮かべたシャンクスを見ながら、リカルドに言ってやる。
まずはオマエがこないとハナシにならないからな。
『いつまでそっちにいるんだ?』
親友が尤もな質問を投げかけてきた。
「コレの気が変わる前に来い」
シャンクスの頬を撫でながら言えば、コイビトは柔らかく肩に音を立てて口付けてきた。
『了解。今日出たら…ああ、休み休みでも明後日には着く。それで平気か?』
リカルド・クァスラ。
オマエの、その決断力はいつでも賞賛に値するぞ。
どうなっても知らんからな。
「明後日に来る」
煌く眼差しをかっちりと合わせてきたシャンクスに報告。
ああ、あンた。真面目にリカルドと向き合いたいかもな?
「来るまでは外出控えるか」
頬に添えた指で、シャンクスの唇をなぞる。
けらけらと機嫌よく笑いながら、コイビトが、
「ベッド一つだよ、」
そう言って、指先に唇を押し当ててきた。
『おーい、コラ。睦言はオレが電話切ってからにしてくれ。ベッドはオレは遠慮するから』
リカルドがわざと呆れた風に言ってくる。
苦笑交じり。
ふン。いまさらそんな間柄でもないけどな。
くくっとオレに笑いかけてきたシャンクスにも聞かせるように、リカルドの声が響く。
『じゃあそういうことで。明後日にまた近づいたら電話するから、その時にはコール音が聴こえる状態で待っててくれ』
ご尤もなリクエストで。
「ああ、待ってる」
ぺろ、と指先に熱い器官が押し当てられた。
「楽しみだな、」
何をしているのか、聡明な親友は理解したようだ。
『土産、持っていく。きっと気に入るヤツ』
妙に自信のある声だな、オマエ。隠し球はなんだ―――?
すい、とシャンクスが身体を伸ばしてくる。
笑う。
「―――了解。またな」
シャンクスがリカルドに向かって言っていた。
「あんたもおれ、撮りたくなるさ。バイバイ」
自信ありげな声。
オイオイ、妙に楽しそうだなあンた…?
柔らかく引き寄せて、にぃ、と眼差しを合わせてきたシャンクスに、口付ける前に囁く。
「最高の状態に仕上げとかなきゃな、シャンクス」
言いながら、受話器を電話に戻すべく腕を伸ばす。
シャンクスがくく、と笑って腕を回してきた。
そのまま、引き寄せ、そうっと唇を啄ばむ。
「期待してもイイ、って―――?」
甘い声、甘い空気。
「オレの親友だ。"只者"だと思うか?」
笑ってリネンに押し倒す。
「……ベック―――?」
「ん?」
ぺろりと唇を舐めて、とろとろに蕩けた声を出したシャンクスを促す。
「惚れそう、……ん、違うナー――」
薄い生地のガウンを肌蹴させる。
「違うならなんだ、」
「惚れてもイイ……?」
きゅう、と唇を引き上げ、甘えた表情。
あンたなァ。
「オレがそんなことに云々口出しするニンゲンじゃないってこと知っていて、なんで訊くかね?」
ベーック…?と甘えてくるシャンクスの肌に、ゆっくりと掌を滑らせる。
湿った肌。
「身内とダチに手を出す前には、一応ね……?」
くっくとシャンクスが笑った。
ぷつ、と指先に当たったものをそうっと摘む。
「本気で欲しけりゃ何が何でも手にいれるクセにな、」
笑う。
ひくん、とシャンクスの身体が跳ね、首筋を吸い上げながら答える。
「そ…、だよ」
と甘い息を零しながら揺れたシャンクスに。
「オレが唯一"親友"だと思っている人間だ。あンたが惚れないわけがないだろう?」
きゅ、と痕を付ける。
低く笑いが勝手に漏れる。
ああ、そういう意味では、オレが"惚れている"相手ではあるな。
「―――――っん、ぁは、」
喘ぎ混じりに笑ったシャンクスの下肢に、まだアンダーをつけたままの腰を合わせる。
きゅう、と背中に爪が埋められて笑った。
「楽しみが増えたナ?」
ガキみたいな気分。
さあ、何をして遊ぼうか―――?
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