夢を見なかった気がする。
何年ぶりかに起こされた。
深い眠りは心地よかったが―――一度目覚めてしまえば、手を放すしかなく。
変わりに、愛しいモノに手を伸ばした。抱きとめられていたから。
どんなに奔放でも、ワガママで欲張りだろうと。
愛しいことには、代わりがないのだ。
愛しているから繋ぐのではなく。
愛しているから―――帰るのだろう。
何度、飛び立っても。
朝から甘やかされるのは久しぶりで。
しかも、シャンクスに起こされてから甘やかされるのは初体験だ。
『喰う』と言ったシャンクスが、身体を浮かして少しずつズレ降りていくのを。
朝特有の、じりじりとした身体の目覚めを感じながら、味わう。
リカルドは眠ったままシャワーに行った。
その後どうするのか、少し考える。
最初からその気でいるのではなく。喰われているところに入ってこられるのは、妙に気恥ずかしく感じそうだ。
目を閉じて、熱を感じる。
起きた肉体による作用ではなく、湧き上がる快楽に少しずつ神経が目覚めていく。
赤い髪を掻き上げ。きらきらと目を輝かせているシャンクスに視線を合わせる。
言葉を交わす変わりに、その頬を撫でた。
すう、と翠が細まっていき、また目を閉じる。
深く息を吐いた。
閉じた瞼の向こう側、太陽は既に明るい。
さら、と腿を撫でていくのに、薄く笑う。
快楽が漣のように内で沸き起こっていく。
熱く濡れた舌先が、腰骨から腿のあたりまですう、と線を引いていき。ひく、と無意識に僅かに腰が揺れる。
ず、とアンダーを引き下ろされ。それと同時に、腿の付け根に舌先が押し当てられた。
朝だから、というだけの理由ではなく、既にセックスは目覚めて、自己主張を始めているのを自覚する。
ゆら、と。わざとそれを揺らして"強請って"みる。
シャンクスが、ふ、と吐息で僅かに笑った。
く、と熱い舌が絡みつき。唇で包まれ、濡れた粘膜に含まれる。
予期していても、湧き上がる快楽の深さに息を吐く。
とくり、と心臓が僅かに早まり。血液がさらに流れ出す。
丁寧に舌が辿っていくのを、じりじりと引き上げられる快楽を宥めながら感じ取る。
きゅ、と吸い上げられ、素直にぴく、とセックスが跳ねる。
さらり、と。手指で滑らかな髪を愛撫する。キモチイイ、と。音にせずに伝えるために。
静かにゆっくりと。快楽を引き上げられる。
むず痒い様な感覚が腰の奥に溜まり始め。先を促すために、何度か腰を揺らす。
ざらりとした口蓋に先端が擦れ、深く息をする。
シャンクスの口端が、くぅ、とぎりぎりにつり上がっていく。
く、と全体が濡れた口内に導かれる。
トン、と奥を緩く突く、むせないように。
さらりと髪を撫で下ろすと、吸い付くように上下していき。手はゆる、と付け根を押さえたまま触れていく。
「シャンクス、」
甘い声だ、自覚している。
呼べば、舌は押し上げるように絡みつき、こく、と喉が鳴らされるのが聴こえた。
「――――ハ、」
低く唸って、走り出しそうな快楽を押し止める。
きゅうと締め付けた唇が、そのまま上がっていき。含まれたまま、濡れているだろう先端を舐めとっていった。
ちゅく、と吸い上げる音が響いて、勝手に口端が笑みを刻む。
「なぁ…もっと、」
とろ、と甘えたシャンクスの声が、溜息と共に零されるのを耳が拾う。
「ここまで来て…止めたくはないな、」
くう、とまた赤く熟れだしただろう唇に咥え込まれながら呟いた。
「あンたにされるのは、キモチガイイ」
さらりと髪の感触を掌で楽しみながら告げる。
きゅ、と返事代わりに舌が絡み付いてきた。
「苦しかったら言えよ、」
低めた声で言い、それから緩く腰を揺すり上げる。手で頭を抑え、もう少し、と無言で強請りながら。
シャンクスの舌が、ひら、と辿っていった。
射精感を弄びながら、快楽と向き合う。
強めに高められ始め、意識を預けるように考えることを放棄し、リズムに乗って腰を揺らす。
穏やかなまま、快楽が強まる。
委ねる。
キモチガイイ、と。吐息だけで漏らす。
さらりと撫でてくる掌の熱に、低く唸る。
「ぅ、」
先端が擦れるアングルが変わる―――シャンクスが頤を僅かに上げたのだろう。
さらりと髪を撫でる。まだもうすこし、と強請るように。
緩く、きつく絡め取られては、奥深くまで引き込まれ。濡れた力強い舌先が、敏感な先端を押し開いて滑りをこそぎ取っていく。
は、と深く息を吐き。それに音が乗る、深く唸るような。
くまなく舌が火照った薄い皮膚を辿っていき。濡れた粘膜が張り付くように絡む。
また少し自制が緩まる。
目を開き、赤い唇に食まれるのを見下ろす。
「ん、―――っ」
僅かに強く腰を揺らして、声を漏らしてにぃ、と笑った翠に目を細める。
笑いかける。
キモチガイイから―――あンたにされるのは、特に。
押し上げる度、濡れた音がシャンクスの口から零れる。
そして吸い上げられる度にも。
「呑むのか?」
掠れた声で訊けば。
引き上げた唇で、くう、と先端を舌先全部で包み込まれた―――寄越せ、と。
き、と腰に軽く爪を立てられ、笑った。
何度か強く腰を揺らし。勝手なリズムで愚図る様に堪っていた快楽を波立たせ、一気に線を越える。
軽くぱし、と脳裏に白が走る。
筋肉が押し出す、体液。
血が一瞬、沸き立つように感じる。
何度かに分けて注ぎ込み。喉を鳴らしてシャンクスが呑んでいく。
もっと、と促すように舌が蠢いて笑った、僅かに。
放出したばかりで敏感なセックスを、熱い粘膜が触れていき、勝手にソレが跳ねる。
それを楽しむようにまた舌が蠢き、髪をくしゃりと撫でた。
雫すら残すのを拒否しているのか。
一度口内から開放され、けれど舌先が熱いセックスの根元から先端まで丁寧に辿っていく。
色付いて張ったままのソレが濡れて朝日に煌き。
なぜだか溜息が出る―――目覚めには濃密過ぎる快楽に。
薄い皮膚の下、血が流れる脈に添って、てろりと舌先が滑らされていく。
「シャンクス、」
名を呼び、口端を親指で拭ってやる。
脚の間から翠の目線が跳ね上げられて、薄く笑う。
従順な、けれど甘えるような目つき、無意識の産物。
さら、と頬を指先で撫でる。
あンたとオーラルセックスするのは確かに気持ちがいいが―――。
ふう、と熱い吐息を零したコイビトに強請る。
「なあ、キスをくれないか?」
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