歌うように言葉をプレゼントしてくれたオトコを見詰める。
キラキラ、琥珀色に灰の混じった宝石の目。
どうして、1年も。気付かなかったんだろう、この目が告げていたことに。
ああ、半年、だっけ?んん、それはどうでもイイ。
どうしてオレは、この目に、捕らわれずにいたんだろうか?
「Coza,」
内にオトコを咥えこんだままなのに、今は快楽よりも想いの方が強い。
背中を撫でられて、擦れきった声で想いを音にした。
「Every time I look into your eyes, my heart goes tender,」
オマエの目を見詰める度に、オレのココロはきゅうっと柔らかくなる。
「I haven't a clue what you've done to me, but...I just keep falling for you、」
オマエがオレになにをしたのかよくわかんねーけど。
オレ…オマエにどんどん嵌ってくんだ。
「Nobody told me that love can get this deep,」
こんなに深く恋に落ちることができるなんて、誰も教えてくんなかった。
「But this is me, in love with you, darlin', and with nobody else,」
けど、これがオレで、オマエに恋をしてる…他の誰でもなく、オマエに恋してるンだよ。
欲情と、それ以上に煌く純粋な感情が、見詰めてくる瞳の中にあった。
額をこつりと合わせて、笑う。
「This is your doing, Coza, what you've awaken me to become,」
オマエがオレをこんな風にしたんだぞ、コーザ。
オマエがオレをこんな風に目覚めさせたんだ。
く、と熱い手指にヒップを引き寄せられ、熱い息を吐いた。
オトコの腹に当たる、オレの熱の塊。
「オマエを、愛してる」
砂色の頭を抱え込んで、囁く。
「他の誰よりも」
僅かに潤んだように煌くキャッツアイに、呼ばれる。
またきゅうっと胸が甘く痛んだ。
Sweet pain,どこまでも沸きあがる愛情。
ゆっくりと腰を揺らした。
中、酷く深い奥で。快楽以上に甘い疼きが、ずくん、とそこに生まれた。
何か言いかけた唇が、音を紡ぐことなく止まり。
ウェストあたりを、強く掴まれて、笑った。
快楽に彩られた吐息を零した。
ゆっくりと、緩く中を乱される。
目を見詰めたまま唇を合わせ。
深く貪りながら目を閉じた。
「んぅっ、」
止まったようにフリーズしていた閃光が、またゆっくりと光り出す。
奥の場所、オトコを受け入れてイッパイイッパイに広がっている場所を。
する、と触れられて、びく、と身体が揺れた。
濡れた感触、とろ、と広がる。
「ん…ふ、」
くちゅ、と舌を絡ませながら、ゆるゆると腰を揺らす。
唾液を合わせながら、引き寄せた頭を掻き抱く。
塗りこめるように蠢く指先。
緩やかに中で蠢く熱。
擦り合わす舌先を強く吸い上げながらうめく。
からかうように拓いた境にまで指先で触れられて、びくびく、と身体が震える。
身体の間で立ち上がっている自分の熱からは、とろとろと雫が絶え間なく零れ落ちていくばかりだ。
く、と腰を押し上げられて、一瞬、僅かに指先が潜りこんできてウメイタ。
熱の塊と一緒に、さらに飲み込まされる指先。
「んんんんっ、」
キツさに涙が零れた。
さらに拓かれる灼熱感。
痛覚。
ゆっくりとずらすように中を押し撫でられて、口付けを解く。
「こ、ぉ……っ、ィ、た…ぃっ、」
首元に、きゅう、と歯を立てられて、さらに涙が零れた。
「こ、ぉっ、」
首に縋る。
強い痛みにも翻弄される。
それなのに、腹の間からは濡れた音。
「…っ、」
ゆっくりと指が引き出される感覚にうめく。
背後、ガラスが割られる音。
「セト、」
またゆっくりと指が当てられ、ずず、と滑り込むように指が戻ってきた。
宥めるように、襞をまた撫でられる、境界を。
耳元の声に、ぎゅう、としがみ付いて応えた。
ゆるゆる、と痛みが引いていき、代わりに灼熱感と満杯感だけが残されていた。
濡れた手に間に挟まれた熱を握られて、深い息を吐き出した。
ぐ、と奥を突き上げられて、今度は息を呑む。
「I'd only cry...for ya」
熱に浮かされて、涙を落としながら。
言葉を吐息に混ぜた。
オマエだけのためにしか、泣かない、と。
「Prove it, darling Seth,」
証明、してくれよ。セト、と言葉が返された。
欲情したオトコの声。
身体が内からさらに熱くなるような。
オトコの腰の後ろに投げ出していた足を引きずるように戻して。
抱え込んでいた頭を解放した。
体重を前にかけて、オトコを内に含んだまま、ゆっくりと押し倒す。
煌く眼差し、もっと、と欲しがる目。
に、と口端がつりあがっていくのを見届ける。
オレの守護犬、オレのオトコ。
オレを内からも外からも喰らうのか。
リネンにオトコを縫い止めから、ゆっくりと上体を擡げた。
さらり、と腿を撫でられて笑った。
足、ゆっくりと膝を上げて。
ずく、とオトコの楔を内に打ち込む。
キーン、と耳鳴りがして、きつく目を瞑った。
構わず、ず、とまた腰を上げて、ずん、と下ろした。
目の前、アタマの中でチカチカと閃光。
「ふ、…っ、」
オトコの硬い胸に手をついたまま、ゆっくりと腰を上下させる。
コーザが少しうめいて、ゆっくりと目を開いた。
欲情したオトコの顔に、さらに欲情する。
嬉しくなる。
「あ、くっ、」
突き上げられて、仰け反る。
ぎゅう、と絞り上げて、息を吐く。
腕、引き寄せられて上体を合わせた。
重なる胸から伝わる、心音。
「あ、ぁっ」
腰を揺らめかせた。
オトコの耳の横で、落とさずに快楽をすべて音と吐息に転化する。
ヒップ、きゅうと掴まれ。ぐ、と落とさせられた腰の中、深く突き上げてきた。
「あん、っう、」
腰、少しアングルを変えて。
張った中間を腹筋に擦りつけるように腰を揺らした。
「ん、あっ、」
心臓の上、爪を立てる。オトコの身体の表面。
もう片方の手はリネンを掴んだ。
それがリネンだ、という感覚はとうに無かったけれど。
肩口、首筋。
遠慮無く吸い上げてくる唇に、小さな痛みをいくつも与えられる。
腰が跳ねかける度に、掌に抑えられ、中を抉っていかれる。
その度に、泣き声じみた嬌声が勝手に喉から滑り落ちていく。
痛みも熱も、全部快楽の渦に取り込まれる。
「こぉ、ざ、」
渦巻く熱が、出口を求めて彷徨う。
体内に閉じ込められていた嵐、もうすぐ外へ飛び出していきそうだ。
返事の代わりなのか、喉にじんわりと歯を立てられた。
「ん、っふ、コ…ォザっ、」
高度の熱に体内が溶ける。
「なか、アチィ、」
快楽に濡れた囁きに、身体が震えた。
「と、けるっ、」
舌が肌を辿っていく感触に、体内よりさらに熱いオトコの熱に眩暈が起こる。
「こー、ざ、も、だめ、」
穿たれるリズムとは別に、勝手に腰がゆれる。
「コォザっ、」
「とけちまって?ぜんぶ、喰わせろ、」
びくびく、と体内が勝手に収縮する。
眩暈に意識は乗っ取られ、狂ったように走り出す熱だけを追いかける。
「は、あ、ア、ん、ンぅっ、」
擦りつけるように腰を揺らす。
触れられてもいないのに、蜜がどんどんと零れていくのが、見ずとも解る。
「コ、ォっ、コォ…ザっ、」
早くなるリズムに、意識が白に呑まれた。
音、心臓の音だけになる。
心臓の上に置いていた手を取られて、身体が滑る。
またアングルが変わって、さらに高まる。
「あ、ァ、ふぁ、」
掌に柔らかな唇の感触。
息を呑んだ瞬間に、灼熱。
「――――――ッ!!!」
奥、突き上げるタイミングと、思い切り噛み付かれるタイミングが同時に齎されて、背中が反り返った。
息が止まって、意識が呑まれた。
ふ、と浮く感覚。
する、と総てが滑り落ちていった―――――。
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