体の中心から少し奥にずれた場所。
そこが疼くように重く、甘く、熟れているみたいだった。
軽い失神から目覚めてみれば、嬉しそうな顔をしたコーザが、覗き込んできた。
慢性でオレ不足、か。
かわいいなぁ、オマエ。
「…コォザ、」
両手でオトコの頬を包む。
見詰めてくる瞳に、立ち上る汗のニオイに、触れてくる肌の熱さに、満たしてくるオトコのものの確かさに。
「オレは、オマエに夢中だ、」
囁きを零す。
きら、と目が嬉しそうに煌いて、オレまで嬉しくなって笑う。
柔らかく蕩けた肢体が隅々まで蕩けて。
容を保っているのが不思議なくらいだ。
する、と掌に頬を押し当ててくる。
愛しさがまた湧き上がって、それはそのまま口端に浮かんだ。
にか、と実に嬉しそうな笑みを浮べたコーザの唇を、ぺろり、と舐める。
く、と僅かに身体を押上げられて、吐息を零す。
自分でもわかるほどに、濡れて甘くなったソレ。
腰に足を回して、奥まで引き寄せた。
ずく、と甘い衝撃。
吐息を奪うかのようにゆっくりと口付けられて、回した両腕でオトコの首にしがみ付いた。
そのまま、角度を変えて口付けを味わう。
奥まで押し込まれて、声が鼻を通って抜けていった。
舌を絡めて、口付けと快楽に溺れる。
どうやったらもっと腕の中のオトコを満たすことができるんだろう?
辛うじて意識を保っているといわんばかりのアタマで考える。
ユラユラと揺れる快楽、蕩けて甘い身体。
差し込まれた舌を甘く噛みながら、締め付ける、体内のオトコの一部を。
ドロドロになっていても、身体はまだ別々の個体で。
熱は同じほどに高まっているのに、交じり合うことは無い。
すう、と頬を撫でられて笑った。
上体をオトコに近づけたまま、両腕で熱い身体を掻き抱く。
緩やかなテンポを保っていたモノが、ぐ、とキツめに中を擦っていった。
「ん…っふ、」
甘えた声、だ。
両足で、オトコの腰にしがみ付く。
両腕で、オトコの身体にしがみ付く。
体内で、オトコの存在に絡み付く。
抱かれて、愛しいオトコを抱く。
心でオトコの存在を抱き込む。
いま、この瞬間ほどに、誰かを愛したことなど無かった。
愛している、愛されている、愛し合っている。
紛れも無く本気で、きっと深海よりも深く。
一瞬、口付けが解かれた。
「セト、」
感情が溢れた声で、短く呼ばれた。
目を見開く、蕩けてフォーカスがかかってうまく見えないのを知っていても。
「セト、」
やさしい、やさしい声。
はぁ、と吐息が零れた、言葉を告げることが出来ずに。
Yes, I love you.
Yes, you love me.
Yes, it feels good.
Yes, I've gone all crazy for you...
愛してる、愛されている、キモチガイイね、オマエに狂ってるね…。
腰を揺らして、中を締め付けた。
舌先を伸ばして、オトコの瞼の上を舐めた。
「I'm all melted,」
溶けちゃったよ、オレ。
ちょっと苦しそうな顔をして、けれどそれでも片頬で笑ったオトコに囁く。
「I'm all for you now」
今のオレは、全部オマエのもの。
「And this, just feels awfully wonderful、」
そして、総てのことが、恐ろしくキモチガイイ。
切れ切れに言葉を囁くと、
「Yeah? But, baby, paradise can wait a while」
あァ、でもさ?あと少しくらいなら至上の場所にいるよりここがいいな、と。
目を細めて返された。
甘いトーン、甘えた声。
「I thought... I was already in paradise,」
足をさらりと撫でられ、身体を一層押し付けられ。
言葉が途中で途切れる。
オレはもう…至上の場所にいるんだと思ってた。
ココがそうだろう…?と。そう言葉を続けられる前に、告げられた言葉。
「You, in my arms, I need no such a place,」
おれはね、あンたがおれの腕の中にいればそんな場所に用はナイよ。
笑う、首を僅かに横に振る。
「Here is the paradise, in your arms, embraced」
チガウだろ?ココが、その場所だろ?オマエの腕の中、抱かれて。
柔らかな低い声が降ってきた。
見詰めてくるキャッツアイに、心が震える。
「Then, only you can take me there」
じゃあ、あンただけがそこへ連れてってくれるンだよ。
言葉とともに降ってきた口付けを受け止めて、身体を委ねた。
You are my captain, though it's late in the day, I'm still here in heaven, still going higher―――
時間をかけて強さを増す快楽。
ゆっくりと、追い上げられていく中、アタマのどこかで言葉の端々が浮かんだ。
オマエがオレの操縦士で、もう日も遅いけれど、オレはまだ天国にいて、まだ高みを目指していて―――
降らされるいくつもの口付けに、たくさんの吐息で返した。
強く抱きしめられて、もっと引き寄せた。
オレだけがオマエを高みに連れて行けるのだというのなら。
もっと奥まで来い、どこまでも蕩けあって、貪りあって、愛し合おう。
キャッツアイが宝石より眩く光を走らせた。
言葉にせずとも、解り合っている瞬間。
「あああ、」
快楽の深さに泣く。
愛情の深さに鳴く。
奥深く、もうこれ以上はムリ、というほどの深さで穿たれて、理性を手放した。
止まらない嬌声を零しながら、オトコの肩口に歯を立てた。
「んあああっ、」
何度も打ち込まれて、汗に濡れた身体から腕が滑り落ちそうになる。
夢中でしがみ付いて、何度も震えて。
身体の間に手が入り込んできて、下腹と濡れそぼった昂ぶりを押すように揉まれる。
「あぁぁ、」
零れる蜜を指が掬っていく音が聴こえる。
目を瞑ったまま、仰け反る。
逃げ出したくなるくらいに強く感じる。
「こ、ぉ…ッ!」
浮いた背中からヒップ辺りまで、手を滑らされて、さらに仰け反った。
何度も足が跳ねる。
ぐい、と持ち上げられて、浮遊感。
奥まで差し込まれて、また震えた。
「ああああっ、」
リネンの当たる背中に体重をかけるように、感じるポイント全部に順々に押し込まれて、喉を鳴らした。
髪をリネンに散らして、快楽に呑まれる。
「コォ…っ!!」
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