ソファに座ったままのコーザに近寄り、脚の間に身体を落ち着かせた。
ローブに隠された膝の上に両腕を乗せ、見上げる。
にゃはは。たぁのしいねェ。
コーザが、ンン?って顔をして。片眉をひょいと跳ね上げた。

「なー?」
猫なで声だねェ。
「ン?」
にひゃ、と笑ってみる。
とっと人差し指で額を押された。
なぁんだよ、ソレ?
まーいいけど。

「晩ご飯の前に、オマエ喰ってイイ?」
欲しいものは欲しいから、直球勝負。
「―――――は?」
すい、とローブの中、多分随分と柔らかくなっているモノに、タオル地の上から指を滑らせた。
「喰ってみて、イイ?」
ひゃは、驚いてるネ?
うん、そんな顔もスキだよ、ガキみてェだし。
かわいいなあ、ウン。
ああ、ホント、喰わせて、なー?

「――――ええと、」
「コーザ、いーい?」
すい、と首を傾げてみる。
見詰める、なぁイイって言えよ、なぁ?

ざんばらに落ちた前髪の下で、ぎう、と眉根が寄っていた。
「それともお腹空いて死にそーう?」
「ウン」
するする、と指先で散々自分の中で熱かったモノに指を滑らせる。
にしゃ、と笑ったオトコの膝に、タオル地の上から歯を立てる。
「腹減ってンの、」
「…オレよりも、ディナー?」
「エネルギー切れるー」
目がキラキラだね、ううん、駆け引きか、コレ?

「喰わしてくンないの、オレには?」
なぁ、いいって言えよ?
「ディナー食おうよ?」
「ヤダ」
額に口付けられて笑う。
「オマエがイイ、」
「なァんで。ほら、行こうぜ?」
だってさ、こんなにどろどろになったのに。
「オレ、まだオマエの味、知らない」
それってちょっと寂しいじゃん?オトコとしてはさぁ?

さら、と頬を掌で包まれた。
ぺろ、と舌先でそれを舐める。
「オマエの味、知りたい」
く、とまた眉が寄っていた。
ンン?普通は食い合うモンじゃねェのかなぁ?
「んー、」
でも、オレは味を知り合いし?
「じゃあ味見だけでいいからサ?」
舐めさせて?
ぺろり、と唇を舐める。
インディケーション。

「ディナー食いっぱぐれそうなんだよねぇ」
コーザの指が、唇を撫でていく。
舌先を伸ばして、それをぺろり、と舐める。
「そういうことされちまうと、」
にこお、とコーザが笑っていた。
「キモチイイに決まってンじゃね?」

「やーソレはワカンナイヨ」
にっこり、と笑ったコーザに、小首を傾げてみせる。
「オレ、やったことないし、やる気になったのすら初めてだからサ」
そりゃーもう、超初心者だねえ。
「じゃなけりゃ、文脈破綻してんじゃねえの」
くくっとコーザが喉奥で笑っていた。
んーまぁね。
過去になんどか、オネガイされたことはあったけどさー?
そんでもって、一蹴してきたけどさ、ジョウダンじゃないってさ?

「噛まれたら泣くぞー?」
にぃっとしたオトコに、にっこりと笑いかける。
「噛まないよ、」
だって噛んじまったら、残りの日数、愛し合えないじゃん?
「つうかさ、セト」
「ハイ?」
すう、と目が真剣になっていた。
んんん…カッコイイネ、その顔も。
「キレイなまんま、残しときてェんだけどね…?」
「んー…ケガレちまう、オレ?」
オレとしては素直な欲求なんだけどねぇ?

「巧く言えないけどね、」
コーザが、「ほら、おれは」ってにこっとしていた。
「Somewhat I truly adore you,」
多分本当に、あンたのことをね、とっておきたいんだ、と。

…むぅ。
それって、なぁんかオレに夢見てないか、オマエ?
「けどさ、」
にこお、とコーザが笑った。
「けどさ、なに?」
「セトの。"フィジーク"にもメロメロ」
そう言って、明るく笑い出していた。

「コォザ、」
ぺとん、と脚の間に頤を乗せて、見上げる。
「んー?」
声、楽しそうだねえ。
くう、と頬、抑えられて撫でられた。
「……オマエがホントにヤなら、しないよ?」
無理強いは、しない。
オトコのルール。

「セェト、」
「だってさ、オレはオマエが好きなんだもんさ」
す、とコーザの目が笑った。
「オトコの生理しってンでしょ?ヤナハズネエノ」
に、と笑ったオトコの膝に、する、と頬を押し当てる。

「多分さ、」
見上げたまま、言葉を綴る。
「うん?」
「"スキな相手のキモチヨサソウなカオ、見たい"って心理でやりたいんだと思うんだよね」
僅かに首を傾けたオトコに笑いかける。
そりゃあな、って顔をしたコーザの腿に、ちゅ、と口付けを落とす。
「オマエがオレん中にいる間は、頭くぐもっちゃっててよく見えないし」

「ゴハン、食いはぐれたら、ゴメンな?」
「あンたのこと喰うからイイヨ」
「ウン、」
「冗談、」
「ウソ」
笑う。

さらさら、と髪を撫でられて、ゆっくりとローブのベルトに手をかけた。
すい、とタオル地を横に分けて、多分、初めてまじまじと見る、体内が先に馴染んだモノを手で包んで拾い上げた。

ふ、とコーザが吐息で笑った。
くすん、とオレも笑いを落としてから、天辺にゆっくりと唇を押し当てた。
この場合、やっぱり、イタダキマス、なのかねえ?
それともハジメマシテ?
なぜだか愛しさってモノが湧き上がってきて、口端だけで笑った。

これだけは確か。
これからも末永くヨロシクやろうな?

手の中のモノ、手触りは、馴染んだもの。
けれど。この距離で見るのも、ましてや愛しく思うのもハジメテで。
く、と片手で支えたまま、ぺろり、と舐め上げる。
下から天辺まで、ゆっくりと。

視線を上にあげたら、コーザが少し眉根を寄せていた。
口の端を吊り上げて、また目線を下ろして舌で舐め上げる。
ぺろり、ぺろり。
ネコの毛繕いか、キャンディバーを舐めるコドモみたいに。
コーザのものを握っている指まで一緒に舐め上げる。

つる、とした皮膚から盛り上がった先端の方まで、ぺろり、ぺろり、カオごと上向かせて舌全体を使う。
「んん、」
毛を抑えて、根元を擽り。
膨らんだ部分の境目も、ゆっくりと尖らせた舌先で辿り。
とろ、と僅かに透明な雫を乗せていた先端を舐める。
んんと、…いつも、どうされてたっけなあ…?
…あ、ん、…甘い、ような…?

あーん、と先端を口に含んだ。
ちゅば、と音を立てて吸い上げてみる。
…んん、なんか…たのしーかも…。
「んぐ、」
ゆっくりと奥まで含む。
これこそヘビの丸呑み…?

「んんん、」
ゆっくりと吸い上げながらカオを上げていく。
一層大きさを増し、硬くなりつつあるものが口内で熱を弾くようだ。
「ん、む、」
口を離し、またペロペロと舐め。
「ふ、ぅ」
息を洩らしながら、ちゅぱ、と吸い上げてみる。
「んん、」

さらさら、と髪を撫でられた。
視線をゆっくり、口に頬張ったまま見上げる。
「んぐ、」
なぁ…キモチイイ…?

じ、と見上げていた先で。
コーザの唇が、キモチイイ、と言葉を模っていた。
音にすることもなく。
ん、そっか。嬉しいね。




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