包み込まれて、ぞくり、と。
濡れた熱さだ、そして。片手が置かれた膝が、その手の容をひどくリアルに伝えてきた。一種の、現実逃避か?
けれど、きゅう、と目を細めてセトが。
舌をひら、と蠢かせたまま。ウレシイ、であるとかタノシイであるとか。そういったカオをしていたから目をあわせた。

多分、おれの勝手なエゴで。
セトのことを「取っておきたい」と思っていたのも事実で。けれど、また。
なんだかやたらとウマソウにヒトのことを頬張ってる様子を見ちまうと、単純に熱が上がる。
オトコなんて所詮は単純なモノで。
ましてやおれはセトに惚れちまっている、どころか。際限がないくらい愛情が勝手に向かう相手に。
熱い、なか。煽られないはずがない。

口許から遠慮なく濡れた音が零れて。時おり、くう、と喉奥で声がくぐもっていた。
目元、半ば伏せられて。睫が長く陰影を落としていた。
髪に触れた。
「んン、」
濡れたなかで舌がくうと絡まされて、一層引き込まれる。

口端だけで、笑う様子にキモチが先に高まる。
「セト、」
「ンン?」
ああ、ほら。おれも声かすれちまってるし。

開かれた唇を指先で僅かに追いかけて。
唇が含んだものを吸い上げながら離れていき、ひらり、と覗いた舌が垂れ落ちた唾液を追って滑っていった。
視線が交わる。
欲情を隠さず、劣情を佩いて、快楽の深さを告げて。
「アチィね、」
声が微かに跳ねる。
「ン、コレも、ね」

指先、セトの唇を撫で。僅かに濡れたなかを味わってから頬に滑らせた。
ゆらりと。濡れ光るような青が微かに細められ、奥まで含んでいった。
ヤバイ、
セトのすこし辛そうな呼吸だとか
笑みの容であるとか、懸命な様子だとか、与えようとしているさまであるとか、
そういったぜんぶが、煽る。

髪に指を絡め、引くようにした。
「んゥ、」
「もう、いい」
だから、なんて声聞かせるんだよ?
「ん、」

火照った掌がする、と脚を撫で。
「んっぐ、」
喉奥で、唾液を呑む音がくぐもって耳に届く。
微かな音を立てて吸い上げられ、セトが口を放していた。
目をあわせたまま、赤くなった唇を舌がぺろり、と容を辿り。
どこか自慢気な。ハラを満たしたネコ、そんな表情を浮かべていた。



甘い、ウマイ、それもこれも全部オマエのだから―――――
最初のとろんと甘いのとか。
途中でじわ、とニガいのとか。
オマエの味。
うん、うみゃい。

反芻して笑いかける。
くう、とコーザが目を細めてた。
さて、おっきくなったねえ?
熱くってサ。
つる、と指先で撫でてから、首を傾げた。
オマエさ、どーしたい?

ふ、と息を吐いていた。
ああ、うん、敏感だもんな、ソレは。
くう、と嬉しくなって笑いかける。
ダンセイシンリ、やっぱ、入れたいよな…?

「味見させてくれて、アリガト」
ふにゃけた笑みが勝手に口端に上る。
く、とコーザの熱い指先が、少しジンジンと痺れているような唇を割って入ってきた。
僅かに舌を擽られて、く、とエナメルに少しだけ歯を立てた。
「コチラコソ、」
余裕の無い声だネ。
うん、嬉しいね、気持ちよくなってくれたんだ。

「セト、」
「ン?」
ちろ、と含んだ指先を舐める。
ぐう、と押されて、笑った。
ちゅぷ、と音を立てて吸い上げ、視線を絡ませると。
「入れテェよ」
欲情した声が落ちてきた。
とろ、と柔らかな光、目の中で弾かれていて。

「イイヨ、」
指先を含んだまま、応える。
「オレも、ほしい、」
立ち上がると、さっきからソファの壁面に勝手に押し当たっていたモノが揺れる。
「しよ…?」

すい、と腕を引かれて、乗り上げる。
膝の上、ああ、うん、オーライ。
その動作の最中で、とろ、と中に注がれっぱなしのものが滲み出てきて、ちょっぴりニガワライ。

「ほんとに上がいい?」
面白がっている声だ。
肩を竦める。
「したことないからサ、やってみたいダロ?」
「フウン?」
ソファの背に手を置いて。
ゆっくりと跨いだ膝の上にしゃがみこむ。
にぃ、とコーザが笑って、とん、と横顔に口付ける。

「キモチイイよね?」
す、と熱くなってるモノ同士を合わせる。
すい、と背中、手を少し滑らされて、甘く重く滴るようだった快楽に、火が点く。
すい、と前髪の間から見上げてきたキャッツアイ、きらっきらに光っていて。
「あァ、だね?」
甘い応えが返ってくる。

「まだ、このまンま、…入るかな?」
ソファに背中を着けるようにしたコーザの顔を見下ろす。
片手でオトコの前髪を掻き上げ、額に口付ける。
す、と奥に触れられて、ひくっと腰が浮いた。
「ハ、」
ああ、すっげ…感じるってば。

「まだ、柔らかいまんま、」
「くぅ、」
に、と笑ったオトコに、思わず鳴いて返す。

つぷ、と指先が潜りこんで来て、思わず締め付けた。
それと同時に、また少し、中に溜められた蜜が零れ出ていったのを感じる。
「あゥ、」
きゅ、と僅かに動かされて、ぞくぞく、と快楽が背骨を上る。
それが出て行く時にも、やはり同じだけの快楽が。

コーザの耳に唇を押し当てた。
熱い掌、腰に当てられて、息を耳の中に落とし込む。
「せ、と」
甘い、甘い声。
それだけでカラダがアツクナル。
「い、い?」
腰、少し蠢かす。
バックオーライ…なんて一瞬頭を過ぎった。

くう、とコーザが笑みを浮べていた。
んん、ふふ、キモチイイ?
「ココ、かな…?」
支えててくれよ?

ゆっくりと腰を下げる。
つ、と触れた先端の熱さに、少し身体が跳ねた。
す、と掌に腿を撫でられて、笑う。
「は…こ、ぉ…ザ、」
ゆっくり、ゆっくり。慎重に下ろして。
ぐ、と入り込んだ先端の感触に笑う。
ぐぐ、と深さを増して、くぷん、と内側に入り込んできた。
「ア…、」
体温が一度跳ね上がり。
声が1トーン、上ずる。

く、と下から押上げられて、んぅ、とコーザの耳に吐息を落とした。
ず、と更に腰を押し進め、ゆっくりと内に収めて行く。
「ハ、」
息を吐いて眩暈をやり過ごし。
落とした目線の先で、コーザの喉がゆっくりと上下していた。
「アア、」
ぶる、と身体を走った電流に身震いして、仰け反る。
アツイ、イッパイダ、すっげ……
「イ、ィ…、」

ぐぐ、と腰を下ろしていきながら、喘ぐ。
快楽で、眩暈。
何度も意識がぼやける。
「コ、ォザ、」
なぁ、オマエもキモチイイよな…?




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