指先にとろりと金色のオイルを馴染ませて、喘ぐように息を零すセトの唇にゆっくりと馴染ませる。
ん、わかるかな……?随分、泣かせちまってるし。
涙で潤み、濡れて。柔らかに焦点の曖昧になった蒼がゆっくりと見上げてきて。
火照った唇の狭間から少しだけ、まっかな舌先が覗いて。金色のオイルを塗りこめてた指先を舐める。
その仕ぐさを見詰めながら、涙に濡れた頬を唇で辿る。
コレを取り出したのはイマがサイショで。
セトが泣き出してしまうまで、つか、泣き出してからも。
唇と舌と指と、言葉と、で。受け入れてくれる奥を蕩けさせてた。
漏れる声が掠れていくのを、耳が悦んで。
耐え切れずに零れ落ちていく涙が伝うのを眼で味わって。
火照った指先が背中や腕に縋りつくのを、全身で感じ取り。ヤバイくらいに嬉しくなった。
押し開かせ、引き上げさせて。内腿の奥、あまく歯を立てて。
狭い、熱い中を挿しいれた手指で押し開きながら。
幼いくらいのトーン、喘ぐ声に煽られて。漏らされた泣き声にいとおしさがまた温度を上げていく。
穿った痕に口付けて、柔らかく啄ばんで。背反する感覚を送り込みながら、もっと溶けちまえよ、と唆す。
足を高く引き上げさせた手指にまた少し力を込めて、溶け出しそうに熱い内をじわりと抉れば。
触れずにいた中心が、また零れた蜜に濡らされていくのを視覚で味わい。
小さく、むずがるように、唸るような返事……?それがセトから返される。んん、もう溶けてる、って−−−?
すげぇ、カワイイって。
涙がする、と滑らかな頬の線をすべって。落ちていく。
きゅ、と。狭められた感覚がまた飢えを煽って。
舌をそのまま後ろに滑らせる。
挿しいれたままで蠢かせていた指と薄い皮膚の狭間から、溶け出している入り口まで、ゆっくりと幾度も往復させる。
「ん、うー」
甘い喘ぎが上がる。
跳ね上がる腰を片手でもっと引き寄せて。肩に、足を引き上げさせて。ぐ、と押し開かせる。
ジレンマ、つか。触れずにコッチだけで蜜を溢れさせたら、また泣くかな……セト。
「う、ぁ、」
あまい、甘い声に。
「後で怒ってもイイよ」
囁きにのせて。あっさりと決めちまった。泣かせるって言ってあったし、ウン。
「セト、」
あンたが、怒るはずのないことを百も承知で言ってるんだけどね。
ちゅ、と。音を立てて肌を吸い上げ。
内を指先で撫で上げて。
伸ばした舌先で濡らした指を、熱い入り口にまた新しく添える。
「ふ、あ、」
びくん、と強張る下肢を押しとめる。
ゆっくりと挿しいれながら、柔らかな入り口を舌先で擽り。まだ潜り込ませずにいた。
くう、と逸らされた身体のラインと。
「んん、こ、ざ、」
蕩けた声。
セトの内、一際高く声のあがる箇所を指先で軽く押し上げて。濡れた蒼が見詰めてくるのを感じる。
「ァ…っ、」
高められた声に、心臓が一回跳ね上がる。
うーわ……
「すっげ、濡れてるね」
声。
ぽろ、と。また潤んだ蒼から涙が零れ落ちる。
セトの感情が高まっているのも、感情のコントロールも手放すのも、全部わかってて。濡れた音を立てさせて、奥まで指を挿しいれ。
締め付けてくる熱い内をぐるりと抉っていく。
リネンから浮かされた背中と、肩に預けさせた脚が小さく震えて。
「ふぁ、」
甘い喘ぎに、指先を少し引き出し。くぅ、と開くようにする。
蜜を零す先を、舌先でぺろり、と舐めて。
息を呑んでいたセトがまた身体を強張らせるのを眼で確かめる。
かり、と。背中に短く揃えられた爪が立てたらる感覚に。
「いってぇ、」
軽口で返してから。
指先で開かせた奥に、エンリョなく舌を潜り込ませる。ぐ、と深くまで。
「や、あ、」
甘い声が歌うのを聞きながら。
びくん、と跳ねる下肢をもっと引き寄せて。
内で蠢かせる。ゆっくりと引き出し、また僅かにさっきよりは開かせた縁も濡らしながら、襞にも舌を這わせて。
「あ、ぁ、うぅ、」
「もっと……?」
甘い歌。
ふる、とセトが首を横に振っていた。濡れて重い金色が僅かに頬に残る。
「も、い、く」
とめどもなく涙が零れ落ちてく。
わざと音を立てて、挿しいれた指ごと口付けて。
引き出していく手指の代わりに、焦らすように少しだけ舌先を腰の揺れるのにあわせて押入れる。
ぐ、とあたるかあたらないかの濡れた熱さのなかに遊ばせれば。
「や…っ、」
泣き声が訴えてくるのに、くうっと狭められる粘膜をつ、と押し上げ。
濡れて熱い奥を唇で覆うようにしながら、ひくつく様子を感じて。ぺろり、と舌先で線を引き。
「こ、ぉ…やぁ、」
ぎり、と強く背中に指先が埋められるのを感じる。
「んー、」
ゴメンネ?けどあンた想像したこともないと思う、どれだけキレイでカワイイかってこと、自分が。
今度は、セトの唇に塗るためじゃなく、オイルを片手で指先に零し。
「して、…たりなぃ」
ぽろぽろと涙を零すコイビトを見詰める。
きゅ、と。腰骨の奥を口付けて肌に痕を残す。
熱く濡れて、高まったセトに触れちまいたいけど。
オイルに濡らした手指を、とろりと濡れて熱い内にゆっくりと差し入れていく。
セトの表情、吐息、眼差しの一つさえ見逃さないように、見詰めながら。
「ふ、ぅ、」
強張りの少し解けた声。
熱い吐息が零れて、セトの腰が、く、と揺らぎ。
その波にあわせて、内から押し開き、撫で上げて。望む場所にぐ、と押し当てる。
「あ、ァ、」
嬌声が響いて。腰が揺らぐ、高く。びくり、と下肢が跳ねて。
熱い蜜が溢れていく、それを手の内に押しとめて。
起こした半身に沿わせるようにセトの下肢も引き上げさせてから、小さく震えるようだった中心を口に含む。
「は、あああ…っ、」
零されきれない蜜を押し出させ、濡れ零れる熱を拭い取る。
固く眼を閉じ、涙が零れるにまかせるセトの表情がどこかひどく幼くて。
そうっと、腰から腕までを空いた手で撫でる。
そうっと。
舌上で跳ねる熱を含み直していけば。ひく、とセトが喉を鳴らしていた。
唇で触れながら、声にする。
「もっと、ノマシテ?」
「う、」
ぐらぐらと揺れる頭に、コトバが届いた。
もっと?――――も、ムリかも…っ。
くう、と咽が鳴って、涙が零れる。相当気合を入れて、首を横に振る。
ちゅ、と腿の内側を強く吸い上げられて、びくりと腰が跳ねた。
「も、や…ぁ」
もう何度熱を零したか解らない。
そ?と言うかのように、キャッツアイが煌めいて、くう、と眉根を寄せた。
さら、と零した体液やら何やらで濡れた淡い金を撫でられ、びくりと腰を揺らせた。
「こぉ、来てよぅ…っ」
ちゅ、とまた腿に口付けられて、ぎり、と背中を引っ掻く。
オマエをもっと、感じたいのに、これじゃあ…ッ。
「んん、」
いたい、と告げてくる声に、指先の力を緩める。
「セトが腕の中で蕩けてておれすげぇ楽しい」
かり、と脚を齧られて、またびくりと脚が跳ね上がった。
「で、も」
まだ何度も零させられているだけで、一度も奥まで満たされていない――――望んでいる熱に。
「ん、でもセトが気持ちイイ方がもっとイイ」
さら、と脚を撫でられて、ひく、と咽を鳴らした。
そのまま、くる、とうつ伏せにさせられ、目の前が着けっぱなしのルームランプから、淡い色のリネンに切り替わった。そのまま、ぐい、と腰を高く引き上げられ。
ちゅ、と背骨の終わりに強くキスをされて、ぁう、と呻いた。
そのまま、じ、と熱い視線を注がれているのを感じ取って、ぎゅう、とリネンに強く爪を立てる。
「……こぉ、ざ…ッ」
ふる、と勝手に身体が震える。
その背中を、熱い舌にぺろりと舐められ、は、ぁ、と濡れきった息を零した。
する、と奥、濡らされた場所を指先に擽られて、ともすれば崩れ落ちそうになる四肢に力を込める。
く、と身体を擡げた恋人が、首筋まで辿り上げながらキスを残していくのに、何度も震える。
ちくん、と走った痛みに、んぁ、と甘ったるい声が勝手に零れ落ちていった。
「セト、いい匂いがする、」
囁かれて、涙を零した目のまま、斜め上のコーザを見上げる。
ボヤケタ視界の中でも、恋人はどこか嬉しそうだった。
する、と。何度熱を零しても、納まることのしらない熱に高まった前に触れられ、ふ、ぁ、と声を洩らした。
くう、と目元で笑った恋人の手に手を重ね、こくん、と息を呑む。
く、と背後、散々解され濡らされた場所に熱い感触を感じて、ふ、と身体から力を抜いた。
その瞬間、首筋に鋭い痛みが走って、身を竦ませる。
「や、ぁ…ッ、い、たい…」
けれどそのまま、ぐ、と押し入れられて、おもわず悲鳴じみた声が勝手に口から漏れた。
「あ、あああああ……っ」
ぼろぼろと、勝手に涙が零れ落ちる。
それでも、ぎゅう、と抱き締めてくる腕の強さに、どこか安堵した。
リネンに横顔を埋めたまま、は、は、と短く喘ぐ。
びくびく、と身体は勝手に震えて。汗に濡れて熱い恋人の身体に、一瞬緊張が途切れる。
「く、ぁ……ッ!!」
がつ、と肩口に灼熱を感じ取り、頤を引き上げて、背中を反らす。
ひゅ、と喉が鳴って。けれど声が零れ出ない。
ぐん、と奥、一番感じる場所を的確に擦り上げられ。噛まれた肩口をてろりと舐め上げられて、小さく首を横に振った。
身体の奥底から湧き上がる強烈な快楽に、頭が一瞬、きーんとなる。
「あ、ァ…っつ」
ゆっくりと、締め付けているウチから抜けていく熱の感触に。
ぞくぞく、と悪寒めいて快楽が引きずり出されていくのに、びくりと身体を跳ねさせた。
圧倒的な圧迫感から、灼熱を引き起こされていくのに頭の芯がブレる。
震え続ける身体の中は、もうすでにどろどろに蕩けていて、収集が付かない。
また、ぐ、と奥深くまで擦りあげられて、びくりと身体が震えた。
ぎゅ、ぎゅ、と絞るように熱を扱かれて、ひく、と喉を鳴らす――――蜜嚢がキリキリと張り詰めていて、痛いほどだ。
「う…っく、」
ぽた、と零れ落ちたのは、勝手にあふれ出る涙だ。
それでも、わずかにとろ、と体液を零し、それをコーザの手指に塗り広げられる。
「ふ…ぅ」
きゅ、と。リネンに擦れて反応していた胸の飾りをきつく押しつぶされて、ぞく、と身体が快楽に震える。
「セト、」
髪に口付けられてから、かすれた甘い声に呼ばれて首を横に振った。
きゅ、とまた握りこんできた掌の熱さに、ぎゅう、とリネンにしがみ付く。
「は、ぁ…っ」
ぐ、と強く中に押し入れられ、びくりと腰が勝手に揺れた。
「も、でな…ッ」
震える声で訴えても。
優しく意地悪な請えば甘いトーンのまま、
「キカナイ、」
そう告げてくるのに、ぼたぼたと涙が零れる。
ぐう、と強く硬くなりきれない熱を握り締められ、同時に奥を突かれて頭を反らした。
「もっと感じろよ、」
びくびく、と身体が勝手に震える。
「せぇと、」
「あ、ア…っ」
ぐん、と奥深くまで一気に押し込まれ、歯を食いしばって快楽があふれようとするのを堪える。
けれど。
耳朶をぎり、と甘く、強く噛まれて。ひ、と息を呑んだ。
「も、でな…ッ」
首を小さく横に振っても。キツクリネンを握り締めても。
身体の奥底に溜まった快楽は薄れはせずに、放出口を求めて体中を走り回る。
ちゅぶ、と耳朶を吸い上げられて、ふわ、と一瞬意識が飛ぶ。
「や、あああああッ」
25メートルのジャンプ台から落ちたらこんな気分なのかな?
背中を反射的に反らして、ぎゅう、と体内にある存在を締め付ける。
「あー……ッ、」
びく、と腰が揺れて。
けれど、きりきり、と精嚢が痛みを訴えるばかりで、快楽は留まったままどこへも出て行かない。
高く引き上げられ。ほんの僅かにだけ、とろ、と出て行ったのを感じ取る。
その瞬間、体内を焼き尽くすような熱を奥深くで感じて、さらに頭の中が白く翳む。
「―――――ッ、」
喉で声が割れて、悲鳴にすらならない。
恋人を受け入れているその場所、熱くて、いっぱいで、濡れていて、けれど痛みはない。
じわ、と痺れるように重たいだけで、圧迫感だけで頭をいっぱいにされるだけだ。
ぎゅう、と強い腕に抱き締められて、ぶる、と身体を震わせる。
くちゅ、とほんのわずかだけ零れ出た体液で濡れた中心部を絞られて、キリキリと精嚢だけが痛みを訴える。
ぼたぼた、と涙だけがぶっこわれた涙腺から零れていくのすら、ほとんと今は自覚できない。
ゆっくりと髪に口付けられ、そうっと名前を呼ばれる。
は、と息を吐く形で喘げば、そのままゆるゆると突き上げられ始めて、かあ、とさらに身体が熱くなる。
「ひ、あ、あ……っ、」
ほんの僅かにだけ、首を横に振る。
もうなにも出ない、ほんとうに空っぽになってしまった、それなのに――――快楽が止まることがない。
「あー……っ、」
ぎゅ、と自分を戒めている手に、きつく爪を立てた。
ぐ、と脚をさらに開かされ、さらに奥深くまで入ってきた熱に、は、は、と喘ぐ。
ふ、と耳元で恋人が笑ったのが聴こえた――――ぽた、とまた涙が伝い落ちる。
「こ、ざぁ…っ」
「セト、あいしてるよ」
掠れて甘い声が届き、ぎゅう、とその手を握り締める。
まだまだ足りない、と声のトーンで訴えてくる恋人のものをきつく締め上げる。
汗で張り付いた髪を鼻先で退かされて。
項を、熱く濡れた舌が、つう、と汗を舐め取るかのように滑っていった。
ぐん、と押し込まれながら、耳元にも甘く響く声が落される―――「あまい、」
びく、と身体が震えて、リネンにきつくしがみ付く。
「……ふ、ぁああああっ」
声が掠れて、喉が反り上がり。
ぐう、ときつく穿たれ、びくん、と身体が跳ねた瞬間に引きずり出されて、ふつ、と体内で快楽が沸騰した。
そのまま、くる、と身体を回され、抱き上げられ。
脚を跨らされ、開きっぱなしの場所に、また楔が打ち込まれる。
「―――――あああっ、」
ぐら、と頭が揺れて。けれど、意識は飛びきらずに残り続ける。
に、と恋人が見上げて笑いかけてきたのに、どうにか腕を恋人の肩に回した。
そのまま突き上げられるように下から打ち付けられ。
ぐち、ぐちゅ、と濡れた音が空間を支配するかのように響かされる。
「…は、ァ、ぐぅ」
とろ、と引きずり出されて、零れ出る濡れた感触を自覚して、また涙が零れる。
「あ、ァ、ううう、」
する、と指が頬を拭っていき。涙を拭き取られたのを知る。
ぼやけきったままの視界の中で、恋人が、ぺろ、とそれを舐めとっていったのを知って、びくりとまた勝手に腰が揺れる。
「いまから、どんどん、優しく抱いていくから?安心していいよ」
にか、と。笑顔を浮かべているような恋人の言葉に、頭はついていけず。
ただ、こうして心臓が僅かに落ち着く間に、恋人の体温を感じられることが酷く嬉しかった。
目を閉じて、恋人の首下に揺れる頭を埋めれば。
とろ、とした感触を、男を受け入れてきちきちに張った場所に感じて、びくりとまた腰が勝手に揺れた。
「や、もぉ……でなぃ、」
「ウン、かもね……?」
とろ、と脳内を蕩けさせる声が、低く告げてくる。
「でも、セトのイく顔だけでもおれどっかイキソウ」
ぐ、と押し上げられて、ひぁ、と息を呑んだ。
そのまま、熱い指先にとろりとしたオイルを塗り込められて、ぎり、と恋人の背中に爪を立てる。
「し、ぬ……も、しんじゃ…う」
首を横に振ったけれども、実行できたかどうかはわからない。
「うん、でも戻ってくるって」
てろ、と鎖骨を舐め上げられ、それからがじ、と歯を立てられて、ぼたぼたとまた涙を零した。
「信じろよ、セェト、」
「ふ、ぅ…っ」
ぐらぐらと発光する光りに、頭は揺れ続ける。ぞく、と身体の奥深くから身体が震え、ぎゅう、と強く目を閉じた。
「たすけろ、よ…ぉ…っ」
ドロドロに頭も身体も蕩けきっていて、どうすればいいのか解らない。
快楽は余りに強すぎて。
きりきりと締め上げてくるような痛みも、同じくらいに強くて。
泣いても、鳴いても、意識は跳びこそすれ、途切れることなんかない。
「も、つら…ぃ」
はぁ、と熱くて喉が焼けるだけの息を零す。
ぎゅ、と瞑っていた目をほんの僅かだけ開ければ。
くう、とキャッツアイが細まっていったようだった。
「ウソばっかり、」
からかうような口調に、またきつく目を閉じる。
身体の間で、硬くなりきれず、かといって柔らかくもならない中心部を、すう、と指で辿られて、うう、と低く唸ってまた涙を零した。
すう、と柔らかく唇で唇を辿られ、薄く目を開く。
「泣いても、止めないって約束しちまったからね、」
酷く甘い恋人の声に、はふ、と熱い息を零す。
「蕩けきっちまいなよ、セト」
「こぉざぁ……っ」
ふぇ、と嗚咽が零れて。涙が止まらなくなる。
ぐ、と優しく、けれどずれることなく一箇所を押し上げられて、ぶわ、と頭の中で光りが溢れた。
「――――――っ、」
ぐら、と頭が揺れて、背中が反る。
しがみ付いていることのできない身体を、けれど抱き締められて、熱い腕に包み込まれる。
びくん、と身体が跳ね上がり―――――けれどもう、何も零すことはできなかった。
小刻みに身体が震えて、まるで熱病に侵されてしまったかのようになる。
もうコトバも紡げずに、ただ荒い吐息を零し。
零れ続ける涙を押しとめることを諦めた。
最奥に灼熱を感じて、さらに身体が震え上がる。
そのまま、やさしくきつく抱き締められたことに、身体の力を抜き切った。
頭がぐら、と揺れて。ほんの一瞬だけの暗闇の訪れに、目をきつく瞑った。
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