セトちゃんはサングラスをし、ベベはテンガロンを被って身支度を整え。運転手にドアを開けてもらって(エスコートされなれている猫兄弟ですから)店の前に立った瞬間、空気が変わりましたな。王子、オーラ出てますから。(王子って書くとみっちーみたい<オイ・笑)
さ>「あ」
せ>「はン?」
さ>「思い出しちゃった」
せ>「何を?」
さ>「うん?―――ねぇセト。オレたち、誤解されてると思う?」
せ>「何を?」
さ>「人間関係」
リカルドとヒトデナシがアリゾナの大型電化製品店でカップルに間違われたことを、よりによっていまになってこんなところで思い出すベベであります。くすくす笑って目がキラキラしているので、大層ビジン度が上がっておりますね。ドアマンが見惚れかけてますから。
セトちゃん、笑ってベベの腰をすうって引き寄せましたねえ。ゾナ開始当初には5センチ程あった身長差は縮まって、いまじゃベベがほとんど変わらないくらいに追いつきました。1センチ程度だネ。
さ>「セト、目がきらっきらしてるヨ」
せ>「オマエもオトナになったんだなあ、ってオニーチャンは関心してるところ」
さ>「あはは!やぁだなぁ、なんで関心するの」
せ>「昔だったら、そんなこと思いつきもしなかっただろうが」
くすくすと笑いあう兄弟は遠巻きに見守られております。背後から入ってきたボディガードの人たちは、キラキラを目に入れないように頑張って無視しながら、周囲に視線を巡らせてますなあ。ご苦労様です、ほんと。
せ>「ま、気にするなヨ。どうせたいした問題じゃない」
さ>「オーケイ。で、どこから見るの、セト?」
せ>「そうだなあ…じゃあ服のフロアからでも?」
さ>「いいよ。じゃあ行こうか」
きゃっきゃとはしゃぐ猫兄弟。異父兄弟ですがどっちも"ビジン"な上、なんとなぁくプロポーションの比率や纏う雰囲気などが似ているので、兄弟ってことはそことなくバレている模様。まぁ親密度が違うしね、恋人とは。(笑)
せ>「ベイビィ、これ着てみろよ。オマエに似合う」
さ>「うん?―――手触りイイね」
せ>「だろ」
さ>「でもこの色はセト向きだねえ」
せ>「黒はやっぱりスキじゃないか」
さ>「ジャケットに黒持ってくると、なんだか重くない?」
せ>「……うーん」
確かにこのコにゃ重いか、とか思ってますね、セトちゃん。いっそのことカムデンにでも行けばいいのに。(あ!ここにいないヤツに睨まれてる!睨まれてるよ…!!)
冗談はさておき。
せ>「カムデンもなあ、置いてるもののクォリティが良ければ、結構スキなのにな」
さ>「かむでん?」
せ>「カムデンロック。マーケットが開かれてて、まだ売れてない服飾系のコたちがオリジナルの作品を売ってくれたりもする場所」
さ>「人込みキライ」
せ>「存じ上げておりますとも」
だからイカナイヨ、だって。セトちゃん、甘やかし笑顔でんな。服見るのにサングラス外してるから、目下垂れ流し状態ですがな、オーラ。
せ>「そういやオマエ、まだネルのシャツとか着てるの?」
さ>「森に入るときは、時々。でもクロゼットの中の服、ゾロが気に入らないとどんどん入れ替わってるから、数は減ってる」
せ>「―――素朴でいいっちゃ素朴でいいんだけどな、野暮ったいもんな、アレ」
さ>「着れて丈夫なら、それでいいと思うんだけど」
せ>「……オマエ、デニムはヴィンテージなのにな」
さ>「んー、数はあるよ。なんだかイロイロ」
せ>「…オニーチャンとランチするのに、いい機会だから着替えよっか」
さ>「にゃ?」
せ>「オマエが欲しいモノ、買ってあげよう」
さ>「あんまり無いよ」
せ>「気分転換しろ」
さ>「……むぅ」
で。1時間ばかり、ああでもない、こうでもない、とやらかしまして。
本日のお買い物。
ベベ=淡い白のざっくりと縫ったアイリュッシュ・セータ1着。淡いグレーのストレート・ジーンズ1本。キャメルのレザージャケット。オプションでダークグリーンのカシミヤのマフラ1枚。ポール・スミスでチャーコルグレーベースの黒ストライプの入ったスーツを1着。厚手の白いコットンのシャツ1枚。サーモンピンクのシャツも1枚。
セトちゃん=アルマーニにて黒のスーツを1着。ついでに黒のスリップオン・シューズ1足。中に合わせるのは白い襟がかっちりとしたイタリアン・シャツ。新作の黒い革ベルトを1本。紫がかったような濃いめのグレーの長めのセータ1着に、濃い紫のジーンズ。ベベには長すぎる、と大笑いされた黒の長マフラ。白いてろっとしたコットンシャツが1枚。白のヒップハングのボトムス。黒のレザージャケット1着。黒のヴェルヴェット・ジャケットも1着。縁の太いVネックのカシミヤ・ニット1着。白のヒップハング・デニム1本。甘いキャラメル・ブラウンのマフラ1枚。白いスウェードの靴も1足。
一括払いでセトちゃんのクレジット・カードで清算されました。(チーン♪)お店の好意で、お着替えもさせてもらいます。(そこまで買えばな)隠しカメラチェックは、試着を始める前にボディガードさんがささっと現れてこなしていきました(ベベは気付かずつうか無視<笑)。
さ>「やっぱりまだセータには早いよ」
せ>「身体冷やすのはよくないって。もう秋だから平気。陽が落ちれば寒い」
そんなことを言い合いながら、お着替え終了。
ベベは着ていた淡いグレーのストライプが入った白シャツの上に、アイリッシュ・セータを着て、ボトムスは青のヴィンテージからグレーのストレートに履き替え。セータの裾から出したシャツが可愛らしいですな。オックスフォードの学生に見えます。(まだ通っててもアタリマエの歳なので>笑)
セトちゃんは、Vネックのニットを素肌に着込んで、白のデニムに履き替え。キャラメル・ブラウンのマフラを首からてろっと下げてます。巻いてません。白のスウェード靴にも履き替えて、ゴキゲンですな。
さ>「……セト、なんか…セクシー?」
せ>「オマエもね。前は可愛らしいだけだったのにナ。つかオマエ、腰細くなってないか?」
さ>「うわ、裾から手を入れないでってば!手が冷たいよ!」
せ>「うーん…もう少しちゃんと食べなさい」
…兄弟だと解ってても、セクシィ猫兄弟のスキンシップを見てちょっぴりドキドキしてしまうボディガードたちを無視して(つうか視界に入っていない)、ベベとセトちゃんは車まで戻ります。(荷物は先にボディガードに運ばれてます<いたれりつくせりアタリマエ)
さ>「セェト、オレおなかすいた」
せ>「それじゃあランチにするか」
さ>「どこに行くの?」
せ>「ソーホーに美味いオーガニック・レストランがあるんだよ」
さ>「ふぅん」
せ>「こっから歩いていけるんだけどな。オマエ、そのテンガロンだと着ているものに合わないから。かといってオマエ、サングラスもあんまり似合わないしな。だから車で行こう」
さ>「…セトもそれだと、サングラスはいらないよね」
せ>「そう。だからしないよ」
さ>「ウン」
猫兄弟が去った後。連中が立ち寄った店では大興奮の嵐ですな。表立って騒ぐような人はいないけど(そのあたりの教育はね、ちゃんとされてます。高級ショップはね)。
さ>「セト、髪伸びたねえ」
せ>「まぁな。もう結わけるぜ」
さ>「毛先、くるんとなってるね」
せ>「指先でくるくるっとやんの、結構楽しい」
さ>「……あ」
せ>「はン?」
さ>「……うああああ」
せ>「なんだヨ」
さ>「…他人の見るのって、結構テレルネ」
せ>「なんのことだ?」
さ>「…首の横のところ、キスマーク付いてる……」
せ>「…あーあ」
まっかっかなベベに対して、セトちゃん本人はにやり、ってなモンです。うろたえたりはしないんだねえ、さすがに(笑)。
せ>「ホリディに入ったからナ」
さ>「一昨日の公演が最終日だったんだ?」
せ>「そ。よかっただろ」
さ>「ウン。セトが踊るの、キレイだった」
せ>「アリガト」
さ>「気持ち良さそうだったね」
せ>「踊りきっちまうと、苦しいんだけどな。でも踊りきらないわけにはいかないネ。アレは最高のエクスタシィだし」
さ>「…………」
きょときょと、とベベ、瞬いております。なぁに思いつきやがった、とセトちゃん、笑って訊いてますな。
さ>「……とろとろのふわふわ?」
せ>「違うネ。どろどろのクタクタ。役に入ってる分、ラインが1本違う」
さ>「じゃあ近いんだ?」
せ>「まあな。ケド踊ってる分は、個人として踊りきって役を演じきったって満足感と、関わった全員と成し遂げられたって達成感がキモチイイわけだけど。あっちは二人で溶け合った、って満足感ダロ」
でこぴんされて、いたっ、て額押さえてます、ベベ。にぃい、とセトちゃん笑ってますねえ。
せ>「あんまりとろんてした目ェしてると。オマエのダーリンに怒られるゾ。外で美味そうな面曝してンじゃないって」
さ>「…セトから見てもオイシソウ?」
せ>「バァカ。ンなわけないだろーが」
next
back
|