掌で肌の総てに触れ、熱を与え。
口付けて、更なる熱を呼び起こし。
甘やかな声を上げさせ、震わせる、肌を。
背がリネンから浮き、仰け反った首筋を甘く噛む。
指で、唇で、表面を辿り。
零れ出した蜜を啜り、嚥下し。
与えられる祝福ごと、貪り喰らう。

「は、―――ァ、ぁッ」
埋めた指先、潤んだ体内を探る。
き、とリネンを握りこむ手を目線で捕らえて、薄く笑う。
咥えこんだサンジのシンボルから口を離し、サンジに囁く。
「ア、ぁ」
縋るのなら、オレに縋れ、と。

熱に蕩けた蒼が、また色味を刷いていた。
果てしない独占欲に笑う、けれど。
恐ろしく本気な自分がそこにいる。

「ゾ…ロ、」
陶然とした吐息に混じって、名前が模られる。
サンジのものを、また口に含んで、愛しむ。
「んぁ、ぅ…っ」
襞を寛ぎ広げながら、蜜を溢れさせる。

空気が潤い、放たれた熱が溶け込んでいく。
サンジの指先が肩に縋っていた。
するり、とずれて、短い髪の間に差し込まれる。

目線の先、反った喉を滑って。
荒い吐息に混じって、甘い声が次々と溢れ出ていく。
舐め上げ、吸い上げて。
ひく、と脚が強張って。リネンを爪先が掻き混ぜていた。
幼い身体を蕩けさして蜜を放出させる。
「あ、あぁ、ア……、んぁッ…」
与えられたエリキサを飲み干す。
実を結ぶ事の無い天使の精。

震えさざめく肌に口付ける。
強張っていた脚、撫で上げて。
揺れた身体、快楽が一度落ち着くのを待つ。
「ゾロ」
吐息に名前が乗せられる。
視線を上げる。

そろり、と汗に僅かに濡れた肌に手を滑らせた。
熱った肌を味わう。
「…続けられそうか?」
身体を擡げて、大腿に唇を寄せる。
ゆら、と潤んだ視線が揺れて。
それでも、どうにか、といった風に言葉を綴った。
「やめないでね…?おまえを満たしたいから」
肌を唇で食んだ。
少し強めに。

「―――ふ、…ん、」
甘い声を合図に、再度身体を沈める。
内腿を、唇でゆっくりと辿り。
指で解していた入り口まで下降する。
綻んだ襞に、口付けを落として。
ぴく、と強張った脚を撫でて宥める。
腰を僅かに押し上げて、広げさせた場所に、そうっと舌先を伸ばした。
「ア、…っ、」
ざらり、と内と外の境界線を舐め上げる。
繰り返し、唾液を運んで。

サンジの身体が跳ねていた。
ゆるり、と奥まで舌を差し入れる。
欲望、腹の底で渦巻く。
けれど。
どこか厳かな儀式をしているように。
「ん、んン―――っ」
緩慢な動作で、受け入れる場所を濡らしていく。
決してサンジを傷つけることのないよう。
痛みを感じないよう、それだけを思い。

身体の下、引かれるリネンに視線を過ぎらす。
サンジの手が、布地をき、と握り締めていた。
脚を抑えていた手を伸ばし、捕まえる。
握り締める。
身体を起こし、サンジを見下ろす。
指先に口付けて。
「―――あ、」
口に含む、細長い指を。
濡れた音が僅かに響いて。

そうっと口中から抜き出した。
胸の上に置かせて。
ずりあがる、下にあるサンジの身体に体重をかけすぎないように。
サンジが、潤んで熱を含んだ眼差しで、見詰めてきていた。
こく、と喉がちいさく上下して。

言葉の替わりに、深い息を吐き出した。
想いが溢れすぎていて、言語に置き換えられない。
サンジの手、濡らしたソレを取って。
サンジを求めて身を擡げたものを握らせる。
微笑みかける。
サンジの眼が、くう、と細められていた。
じわり、と確かめるように、握らせた手の中の熱に触れていた。

そのまま、サンジの脚を抱え上げる。
ゆっくりと、押し当てる、綻んだ蕾に。
く、と先端を押し込んで。
「ゾロ」
艶を帯びた声が呼ぶ。
笑いかけて、ブルーアイズを見詰める。
ひくり、とサンジの身体が震えていた。
見詰めたまま、ゆっくりと体重をかけていく。
「んん、」

じわ、と広がる筋肉。
引き攣れる内壁。
きつい体内を、ゆっくりと押し開いていく。
サンジの喉から、声が短く滑り出ていく。
きゅう、と腕に爪を立てられた。
じわ、と広がる熱に、笑う。
「…サンジ」

最初に身体を繋げたときのような激しさは、今はない。
変わりに、凪の無い海原のように、満ちる想いに溢れる。
穏やかな、愛情。
言葉にできないほどの、感情。

サンジが、どうにか、といった風に僅かに頭を擡げ。
胸の上あたりに、唇を押し当ててきていた。
サンジの耳の横に、顔を落とした。
くう、と回された腕が縋ってくる。
抱え上げた脚、もう少し開かせて。
ずくり、とゆっくりと穿つ。
酩酊感。
「―――っア、あ!」

波打って、新たな感情が沸き起こる。
体内に留めていた息を、吐き出す。
ゆっくりと引き抜いて、また押し込む。
蠢く内壁に、快楽を煽られる。
ちり、と背骨に沿って、欲望が沸き立って。
眼を閉じる。
引きとめようとでもするように窄められた入り口に、穏やかだった感情が波立っていく。
愛しさに狂いそうだ。

「…サンジ」
腰を突き入れるリズムを上げる。
潤んだ内膜が蠢いている。
煽られる、快楽。
動物的な本能が、身を擡げ始める。
「―――ぁ、もぉ、っと。来て…っ」
きゅうう、と締め付けられて、思わず呻く。
ぐ、と奥壁を抉る。
「ぞ、ろぉ……っ、おねが、」

首筋に、牙を立てた。
突き入れる動作を速め、頤に僅かに力を入れる。
「あ、あぁあっ」
甘い声、僅かに痛みを知らせるそれ。
けれど、滑りかける腕は、必死になって縋ってきている。
愛しさに狂って、我を失いそうだ。
リズム、刻む。
引いて、押し入れて、また引いて。
牙が皮膚を裂く前に、口を離す。
小さな窪みを、舌で舐め上げて。

天使を喰らうメフィストフェレス。
捕らえた腕の中で、快楽に震える細い身体。
「ぅ、んあ、――――あ、」
零される歌は、快楽に濡れて。
甘く匂い立つ肌は、しっとりと潤んで。
安堵する、受け止められている事に。
心の底から、愛されていることに。
罪深い存在である己が、赦されていると知る。
愛する天使、オレだけの月。

ゆら、と開いたサンジの瞳。
覗くそれは、溶け出しそうに甘い色を刷いている。
アクアマリンのような硬質の蒼。
熱っぽく潤んで、煌いて。
穿つリズムを止めることなく、顔をあげて、間近で視線を絡ませる。
「と、けそ……、」
額をあわせて、鼻先を触れ合わせ。
「溶けろ…」
応えて、唇を合わす。
緩やかに、舌を絡ませ合う。

サンジが最も感じる場所を抉りながら、テンポを上げていく。
舌先、サンジの口腔に引き込まれ、奥まで舐め上げる。
満たしている喜びに満たされる。
腰を引き上げ、早いリズムを刻む。
抱え込んだ足、爪先の辺りから震えが全身に広まっていっている。
細かく揺れる身体、熱がふつりと上がっていって。
ずくずく、と打ち込む。

「は、―――ア!」
抑える事のできない衝動。
解かれた口付け、顔を首筋に埋めあって。
高める、快楽の頂点まで。
「…く、」
波を乗り越える。
歯を食い縛って、更なる快楽を追う。

ふるり、と身体の深くから、組み敷いたサンジが震えていた。
引き上げられる、絞られる内壁の動きに。
サンジの高ぶりに手を添えた。
とろりと零れた蜜に濡れていた。
「あ、ん――――ッ」

びく、と震えているサンジの身体。
掌で、扱き上げる。
快楽を同調させるために。
「んあ、ア、―――ゃ、ぞ、ろ…っ」
ぐ、と知ったポイントを抉った。
ぎゅ、と絞り上げる、手の中に納めたサンジのシンボルを。

絶頂の波、サンジの中を押し寄せていくのを感じる。
震える身体。
強張る四肢。
きゅう、と締め付けられる。
ざ、と一瞬で身体が染め上がる。
「ぅあ、ア。あぁ―――」

くう、と硬度を増したそれが、熱を放った。
蠢いた内壁、絞め付ける入り口の筋肉に、限界を突破される。
「ふ…っ」
腹の底に溜まっていた熱、迸る。
注ぎ込む、サンジの中に。
「あ、―――っく、ぁ、」

押し寄せていった熱の熱さに眼を瞑り。
抱きしめる、まだ細かく震えている身体を。
訪れる幸福感。
満たす、サンジの体内を。
「ゾ、ロォ―――っ、」
「…っ」
甘い声。
快楽を帯びていることを隠さない。
欲しいだけ、味わえばいい。
いくらでも、満たすから。


快楽の波が通り過ぎるのを待つ。
上がった呼吸、落ち着くまで抱きしめて。
上がりきった熱が、ゆっくりと収まっていく。
それでも、まだ冷える事のない身体。
汗に濡れて、蜜に塗れて。
愛しい天使、腕の中で息を継ぐ。
頬を寄せ合い、一つ息を吐いた。

サンジが耳元、シルヴァのリングに熱った唇を当ててきたのを感じる。
「愛してるよ、サンジ」
掠れた声で告げる。
きゅ、とサンジが脚を絡ませてきた。
笑って、耳に口付ける。
「ん、…ふ、」
サンジが小さく笑いながら、それでも快楽の余韻を残す声を漏らしていた。
とろりと空気が甘くなる。

「まだいけるか…?」
訊ねる。
すう、とサンジの目元、柔らかに色付いていた。
「おまえが、」
「うん?」
頬に唇を当てて応える。
「ぎりぎりまで、満たされるまで。おれのこといっぱいにして」

くう、と頭を抱きこまれた。
「限界まで、おまえに満たされたいよ…」
サンジの腰を抱え込んで、くるり、と位置を入れ替えた。
そのもっと先まで、と。
サンジが言葉を続けていた。
見下ろしてくる蒼い瞳。
「それがおれの望みだから。」

制御しきれない狂おしさが、渦巻いているのが見て取れる。眼の中。
「仰せのままに、我が天使よ」
笑って、サンジの髪を梳いた。
甘い声が囁く。
「おまえで溶かして…?」

笑って、ゆるりと腰を揺らめかした。
すでに熱を取り戻しているそれを、濡れた体内に擦りつける。
サンジがくう、と息を呑んで。
そうっと身体を擡げて、心臓の上に手を置いていた。
「もっと、おれのこと欲しがって、これ、早くさせて」
蕩けきった声が、甘く弾んでいた。

「Ti amo, tesoro dolce」
下から緩やかに突き上げる。
愛の言葉を舌に乗せながら。
「―――ぁ、」
「Con il mio piacere」
オマエが望むままに、睦み合おう。
赦されていたと知ったから、今夜。
もう抑えることも無い。
愛情のすべてを、愛しいオマエに注ぐ。

腰を抑え、緩やかにリズムを刻んでいく。
揺れる金糸。
濡れた肌、艶を帯びて煌く。柔らかな光の中で。
ふわ、とサンジの体温がまた上昇し、色付く、鮮やかに。
蕩けた体内、蠢く襞。濡れた音が、空気に乗る、僅かに。

サンジの唇、赤く熱ったソレが紡ぐのは、意味を成さない甘い声と。
名前。
ゾロ、と囁きに乗せられる。
快楽に閉じそうになる瞳。
キラキラと煌く。
反らされることのないまま、瞬きを挟んでも、それでもぶれない視線。

「…ハ」
熱い吐息を腹の底から押し出す。
突き上げるリズム、早めて。
回すように掻き混ぜる。
とろり、とサンジの高ぶりを、零れた蜜が伝っていく。

くう、と脚に力を入れていた。
締め付けられて、低く呻く。
サンジもまた、そのものの容を感じたのだろう。
また甘い声を漏らしていた。

「…サンジ」
腰を突き上げながら、笑いかける。
息が上がっていく、体内を駆けずり回る熱に。
頤が上向いていた。
突き上げられるリズムに、腹の上で身体が跳ねて。
追い上げる。
リズムを区切ることなく、スピードを上げて。
甘い声、サンジの喉から零れ続ける。
とろとろ、と垂れ落ちる蜜が、光を弾いて煌いていて。
ぽとり、と腹に雫が垂れ落ちていた。
グ、と一際強く突き入れる。
びくり、とサンジの身体が震えた。

「あぁ、あ、あ、んん、ン―――っ」
濡れた髪、顔を半ば覆い。
「く、」
息を呑んで、一度到達した場所へ飛び込む。
サンジの身体が、震えていた。
くう、と撓った背中。
熱い蜜が飛び散って。
きゅう、と締め付けられて。
また熱を注ぎ込む。
全部与える為に、快楽を押し留める事を止めて。

崩れ落ちてきたサンジの身体を抱きとめる。
跳ね上がっている熱い息が、肌に零される。
半分泣いているような息遣い。
切れ切れの息、時折音の切れ端が乗っている。
髪に口付けを落とす。
上下する背中を撫でる。

「もっと、愛して」
綴られた言葉。
そうっと面を上げさせる。
頬に口付けを落とし。
眦に乗った甘い涙を舐め取り。

両方の耳元に、サンジの手が添えられた。
「止めないぞ」
熱い掌の感触が、包み込んでくる。
「やめないで、」
上体を起こして、サンジの唇に口付ける。
「あぁ」

サンジの身体を抱え上げて、位置を入れ替えた。
「溶け切るまで、止めはしない」
前髪を掻き上げて、額をあわせると。
空いていた手を、くう、と握り締められた。
笑った。
「ぜんぶ、あげる」
「オマエも、全部、受け取れ」

ふわん、と微笑んだサンジに口付けた。
湧き上がる愛しさ、留まるところを知らない。
舌を絡ませ、甘く吸い上げて思う。
一足先に、天国を見れるといいな、と。
そこへなら、何度でも連れていってやれるから。




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