何度目か、同じ事を思う。
夏、身体を重ねていたときとは肌の色が違う、と。
きつい陽射しをそのままに受けて、金に光るような色をしていた。あのときは。
同じようにあまく、何度抱いても飽きずに餓えることは変わらずに、ただ。
わずかに、いまは光を内に湛え、冴えるような色味だ。
まとう淡いキャメルから覗く、伸びた足、しなやかに反る背まで。
淡い色にぼう、と浮かび。
浮いた汗を舌で舐めとる。
「く…ンっ」
手で触れて確かめずにはいられずに、そして甘い声を耳にするために
身体、その容を確かめる。手で、唇で、抱きしめる腕で。
緩やかな線、背骨の下から指が割り開いた下肢まで唇で辿る。
「あっ、ァ、ッ」
喘ぐ熱い息で、また部屋の温度が高められるかと。
肺に取り込む空気、熱に潤む。
やわらかく愛撫するだけでは足りずに、歯を立てる衝動に任せる。
「は、あ…っ」
抑えた手の下、跳ねる身体を捕え。
あまく溶けた声に低くわらう。
ひどく熱い内の熱を一層上げさせ、指を奥まで押し込み。
もっと声を上げさせる。
そのために。
「あぁぁぁぁっ」
劣情、ソレは抑えようとは思わない。
情動。
おれは、オマエを喰い尽くしちまいたい。
本能。
あぁ、もっとだよ。
寄越せ。
すう、と。
サンジの肌が色づいていった。
獲物、なによりもイトシイ。
揺らいだ半身を引き寄せた。耳が拾う、落としたサンジの首筋からクサリの滑る音。
潤んだ熱に締め付けられる指に、ぞくり、と衝動が凪ぎを破り跳ね上がる。
半ば隠すようにいつの間にか揺れるファーを頤で押しやり。
内を押し広げていた指を半ば引き出し、わずかに入り口を開かせ。
舌先で掠めさせる。
「ああ…ッ」
びくり、とサンジが揺れ。
舌先を潜り込ませる。押し上げ、宥め。
返してくる反応をタノシミ。
潤し、愛撫する。
目、捕えるのは。
音もなく蜜を零し続ける場所に他ならず。つ、と細く糸を引く、零れ落ち。
熱が高まる、凶暴なほどに。
「く、ぅん…っ、」
指と舌、入れ替えながら潤し拡げ。
繰り帰し、耳に届くのは。
強請る仔犬のような、舌足らずな喘ぎ声。
もっと聞かせろよ……?
揺れる腰を支え、最奥まで舌で押し入る。
ぐう、と揺らぐ身体を押さえ込み、引き抜き、肉を食み。
脇腹、牙を立てる。
「く、う、う、…っ」
「サンジ、」
掠れている自分の声に内心でわらう。
「…うゥぅ…ッ」
「欲しいか…?」
しゃら、と音。
濡れ細った金糸の張り付いた項がかすかに揺れた。
細い首、それに纏いつき流れ落ちる白金のヒカリ。カミキッチマイテェ。
潤い、綻んだ入り口。
中に残していた指を抜き取る。
「…ふ、うッ」
エサ、あれを使ってもよかったんだが、おれは。
オマエを、感じながら入っていくのが嫌いじゃない。
「サンジ、」
「…っ」
項、口付ける。
息を飲んだサンジが、すう、と視線を上げてきた。
潤んだ蒼、斜め下から。
ぎ、と奥歯を噛み締める。
一気に奥まで穿とうとする衝動を押さえ込む。
餓え、飢える。渇く、求める。深く。
目元、口付け。
蜜に濡れるサンジに手を添える。
あてがい、くう、と襞が漣めき。
刹那、目を閉じる。吊り上がる、口端。
牙を剥く。
あぁ、エモノだ。おれの。
「ぞろ、」
蕩けた声音で呼ばれた。
熱く濡れる内を味わう。じわり、と押し開き。
「は、ぁあ…ッ」
喘ぐ声、苦しげに眉を寄せる表情に体温が跳ね上がる。
身体を進める、潤してもなお熱く狭い中を。
くう、とサンジの手がラグを握り締めていた。
上から重ね、握りこむ。
苦しげな吐息と荒い息が繰り帰し洩らされ。最奥まで穿ち抱きしめた。
純粋な快意。
細い体、震え。
項、髪に口付け。その名前を声に乗せる。
「…ぞ、ろ…」
背中に直接唇で触れられないのは、仕方ないか。
ふぅ、と。
微笑みを浮かべたのを確かめ。緩く穿つ。
「んうッ」
追いすがるように揺れる身体。
項にもう一度口付け、やんわりと身体を引く。
「あ、ン…っ」
手、ファーを跳ね上げさせその背の半ばまで曝し。
締め付けられる内に酔い始める。
あぁ、オマエ。マジで美味そうだ。
どこから喰ってやろうか。
き、と。
サンジを宥めていた手指、握りこんでから身体を這わせる。
「んんん…ッ」
くう、と締め付けられるに任せ。
高め、高みにまで。
オマエのことを歌わせて、喰っちまおう。
「ゾォロ…っ」
見上げてくる、餓えを湛えたアオ、熱い。
サンジ、オマエもどうせおれのことを喰おうっていうんだろ?
「チョ、ダイ…」
いいぜ、喰ってみろよ?
「もっと、キテ」
細い糸、何かを繋ぐソレ。
はつり、と撓み切れる。
体内にゾロがいる。
熱の塊。
ぐう、と押し入れられてゾクゾクと寒くなる。
く、と引かれて、かぁっと熱くなる。
きゅう、とゾロを締め付ける。
覚えこんだ容。
覚えこんだ体積。
「は、ぁ…ッ」
息を零す。
眩暈がする。
覚えた快楽の強さ、欲しくて欲しくて仕方がない。
けれど、ゾロは何かを楽しむようにジっとしてた。
きゅう、と締め付ける。
モットシテホシイノニ。
モットアツクシテホシイノニ。
「は、あぅ…っく」
ぐぐ、とゆっくりと身体を引く。
「ふぅっ」
きゅう、と締め上げる。
それから、脚に力を入れて、ぐ、と奥までゾロのを迎え入れる。
ぞくぞく、と快楽が渦巻く。
「んん…っ」
この姿勢はイヤだ、力を入れにくい。
焦れる。
ラグに埋めた顔を上げた。
ゾロを見上げる。
「ゾォロ…っ」
は、ぁ、と息が零れる。
「チョ、ダイ…」
きゅう、っと締め上げた。
「このまま、…は、ヤダ…」
くう、と餓えた。
瞬き。
「もっと、キテ」
すう、と肩を押されて、ラグに顔を埋める。
グン、ときつく穿たれて、欲しかった熱を貰った。
「あああ…っ」
涙が浮かぶ。
ウレシイ。
キツイ。
クルシイ。
キモチイイ。
一番感じる場所、何度も掠めていく熱の塊。
焦れる、餓える、苛立つ、締め上げる。
「や、ぁ…ッ」
く、とゾロが微かに笑って。
熱、首元に感じた。
ぎり、って項、噛み付かれた。
と同時に、ぐう、って一番感じる場所、抉られた。
「んああああッ」
何度も連続して、打ち込まれる。
快楽、強すぎるソレ。
沸騰するエクスタシィ。
堪えられなくて、弾けた。
止める間も無く、飛び出して。
ゾロの片手、それを受け止めた。
濡れそぼった手が、ぎゅうう、と絞り上げてくる。
「い、あぁぁぁぁぁッ」
びくびく、と肩が震える。
腰がガクガクになる。
濡れた音、背後の繋がった場所から聴こえる。
きゅうう、ってゾロのを締め上げた。
腹に妙な焦燥感。
ぴりぴりっと走る電流。
一瞬で白く染まった脳裏が、熱で沸きあがって紅くなる。
「ハアァ、アァァ、あァぁ、あゥァ、」
ぐう、とまた抉るようにポイントを穿たれた。
深い呼吸で喘ぐ。
その向こう、ゾロの低い唸り声が聴こえた。
ゾロ、の。
オレのオオカミ、の。
「クゥゥゥゥ」
鳴く、快楽に、駆け上る熱に。
ぎり、と腰骨の辺りを掴まれた。
ぎりぎり、とラグを掻き毟る。
「フゥゥゥゥっ」
グン、と引き抜かれて、ググゥと突き上げられた。
「もっとだよ」
息の合間に囁かれる。
名前を呼ばれる。
ゾロのものをぎゅう、っと締め上げた。
最大まで開かされて、壊れちゃいそうなのに。
熱に浮かされた頭、思考はとうに手放したけれど。
どこかで願う、壊されたい、と。
バラバラになって、ぐちゃぐちゃになって。
容を無くすまで、愛されたい、と。
ゾロが、ふ、と息を吐いた。
耳に届く、低い唸り声。
ぐい、と引かれた毛皮。
ぐう、と背中も反る。
剥き出しにされた肩、ギリギリって音が聴こえそうな位まで噛み付かれた。
「い、んんんんんッ」
ラグに噛み付いて、痛みを堪えた。
一瞬で駆け上る熱。
頭、色が弾けた。
熱、最奥、満たされる、ゾロの蜜に。
グゥゥ、と低い唸り声と共に、さらに増す頤の力。
涙が零れた。
異物の感触。
肉の内側。
裂かれた皮膚。
ぞくり、と震えた。
駆け上る自覚も無いまま、また蜜を零していた。
ゾロの腕、くう、って回されていた。
僅かな震えも、ゾロは感知している。
「う、ゥ、ふ、」
泣きながら震える。
体内、まだゾロを受け入れたまま。
く、と牙が抜かれた。
ざ、と熱がまた広がる。
首筋に吐息を感じて、本能で怯えた。
そうっと口付けられて、また震える、安堵に。
きつく抱きすくめられて、強張った四肢から力が抜けた。
へたり、とラグに懐く。
す、とまたゾロの吐息がずれて。
肩、傷が開いた場所。
ゾロの熱く濡れた舌が舐めていってた。
湧き上がっていく血を、それが止まるまで何度も。
上がりすぎた体温。
不意に冷えて、カタカタと震え出す。
血が止まって、漸くゾロが体内から出て行った。
「ふ…ッ」
ひく、と喉が鳴った。
支えを失った身体を、ゾロがころん、とラグの上に転がした。
背中が床に付いた。
くぅ、と抱きしめられた。
脱げかけた毛皮、ぐい、って最後まで剥がされて。
どさ、と放り出された音が聴こえた。
カタカタと、震える。
きゅう、って抱きしめられた。
熱いゾロの体温、全身を包む。
「ふ、う…っく」
強張った腕を伸ばして、ゾロの首に縋る。
ゾロの手が、優しく背中と、腕を撫でてくれる。
きゅう、とゾロに抱きついて、首筋に顔を埋める。
願いどおりに、されたのに。
涙が零れて仕方がない。
「サンジ、」
「…っ」
泣きたくないのに。
アナタが心配することないのに。
どうしよう、止まらない。
泣き顔なんか、見せたくない。
それなのに、泣けてきちゃうのが哀しい。
「ふ、ぇ…っ」
濡れた頬、触れてくる柔らかな唇。
背中、あやすように撫でられる。
「ふぅ、ぅ…ッ」
くう、と一層ゾロの首元に顔を埋めた。
優しい声が、オレを呼んで。
きゅう、ってゾロに抱きついた。
「ふ、う、ウ」
「サンジ、」
喉、イタイ。
締め付けられてるみたい。
それでも、短い息を継いで、嗚咽を止める。
さらさら、と髪を指で梳いて撫でられる。
首、ゾロのが傾いて。柔らかな口付け、落とされる。
「…ぞ、ろ…ッ」
そうっと腕の力を抜いた。
ラグに頭を預けて、目を閉じる。
ぎゅうう、と抱きしめられて、息を吐いた。
「ごめ…なさ…ぃ」
くぅ、と甲で涙を拭いた。
ず、と鼻を啜り上げた。
ひく、と喉が鳴って、でも嗚咽は零れず。
涙が止まった。
ずう、と額が合わされた。
ゾロの目、酷く心配そうだ。
心配しないで。
そう言いたいのに。
声が、出ない。
「悪い」
ゾロが呟いた。
慌てて首を横に振る。
そうじゃない、イヤじゃなかった。
す、とゾロの目が細められていた。
コトバにする。
「そ、してほしか…った、の」
そうっとゾロの頬を撫でる。
「ヤじゃ…なかっ、た、の」
く、と息を飲んで、息を継ぐ。
ゾロの目、益々心配そうな色を乗せた。
「な、っで、なくのか、わ、…か、ない」
目、少し底に苛立ちが混ざってた。
ごめんなさい、泣きたくなんかないのに。
「ゾ、ロ…」
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