*5*
抵抗らしい抵抗も出来ない内に、着ていた物を全て引き剥がされ。喚く隙も与えられない内に広いバスルームに放り込まれ。まるっきり、ヒトとしての自分が無視されていることに憤り、悔しさに涙が滲み、そのことにまた苛立っていた。
温かな湯水が溢れ出すバスタブに突き落とされるような具合に押し込まれ。もう出て行けとルーシャンが叫んだ。
けれども掠れた声はざらつき、それほどの大きさにはならずにいた。
自分をクルマから引きずり出した男、ロイというらしかった、そいつは全てさらりと無視し。子供か犬猫でも扱うように、裸に剥いてバスタブに突き落としたルーシャンを浴槽に浸けたまま暴れる肩を上から押さえ込み。高価そうなスーツや時計が湯や泡に塗れていくのも構わずにスポンジで細い身体を満遍なく洗い上げ。シャワーをアタマから浴びせ、そのまま腕をきつく掴んで離さないようにしながら濡れた身体をタオルで覆い、足掻こうとする些細な抵抗など、ロイにとっては喚くコドモを抱き上げてあやすほどには簡単なことであり、もがくルーシャンをまた軽く引き摺るようにしながら隣接した寝室まで連れて行っていた。
支柱が四方から天井近くまで伸びる、年代物の寝台がこの部屋のおもな家具だった。
それに気付いたコドモが一層身体を強張らせ、足掻くのをあっさりとベッドに放り上げ、身体を引き起こそうとコドモが頭をめぐらせる僅かな間にドロワーから柔らかな紐を取り出し、まずは片足を支柱に括りつけていく。それから片手、もう片足、最後に左手、と。
あまりの展開の速さに呆然とルーシャンがし、けれどもすぐに事態に手足を引き寄せようとベッドの上で身体を捻っていた。僅かなたるみしか残していないロープであるから、それは全て無駄なことなのだったけれども。
「暴れると、手首などを傷めますよ」
足掻くのは自由ですれども、と静かな声が言い足していた。
ぐう、と引き上げた膝が強張り、震え。けれどもそれ以上はぴくりとも動かないことにルーシャンが絶望めいて低く呻いていた。
この屋敷に連れてこられて、時間にして僅か30分たらずの間にこうも惨めな自分にばかりつき合わされ、ルーシャンが唇を噛んでいた。全裸で、いいように手足を括られて。こうまで己を無視された扱いは監獄でも受けたことがなかった。
ひく、と喉が鳴りかける、思い切り張られた頬も鈍く痛みを訴え続けて、噛み締め続ける唇の傷は閉じることもなかった。
「ぅ、」
洩れそうになる嗚咽を唇を一層噛んで押し殺し、けれど宥めるように、くすぐるように空気にとろりと混ざった香りが届くのに、ルーシャンがぎくりと身体を震わせた。
「―――――ぁ、」
まさか、と絶望に挫けそうになる。これは、この匂いは。
覚えがあった、神経に働きかけて『愉しむ』ことを一層いっそう魅力的にさせる香。
「いゃだ、消してくれ、」
そう訴えが唇を割ってでてくる。
媚薬などいやだ、ジョウダンじゃない、そう首を横に振るのが精一杯であった視界に、きくり、とルーシャンが息をとめた。
ドロワーの開く音がし、ロイがまるで医師の正確さと無感動さをもって注射器を取り出し、アンプルからなにかを計っていた。
いやだ、と割れそうになる声に構わずに叫び。必死で抗おうとする四肢の動きは全て柔らかな寝台に吸い取られていた。
「いいですけど、さほど変わりませんよ」と先に告げられていた言葉の意味がくっきりと読み取れた。
見開かれた眼の見詰める先、器用そうな手が注射器を弾き、空気を丁寧に抜いていくと、半身を捻ろうとしていた腕だけを押さえつけ、静脈に針の埋められていく感覚にルーシャンが叫んだ。
「ゥあぁ、あっ」
瞬きさえ忘れた瞳から涙が零れていく。
「回数さえ使わなければ、常用性はないですから」
どこか、飄々と告げてくる声さえ遠くなりかける。
肺が吸い込む、媚薬代わりに使われる香と。眼を閉じて、悔しさから涙を零していたことさえ徐々に、呼吸するごとに汗ばみ、ちり、と神経を刺激するような感覚にルーシャンが何を打たれたのかを察して、震える息を零していた。
「っち、っくしょ…なにしやがる、」
声を発することさえ、ともすれば熱くなり始めた肌をくすぐっていきそうで、きつく眼を閉じる。
「支払方法を覚えていただかなくてはね」
は、は、と零す息さえ不規則に喘ぐようなソレに変わっていくのを自覚する。
熱く、火照るだけだったように感じる体が、じわじわとその熱を内に溜め込み始めるのにルーシャンが唇を噛み。その痛みに代わらない刺激にさえ、ずくりと腰奥が重くなるのに低く呻いた。
「な、に使いやがった、」
朦朧とし始めた意識がそれでも何かに縋る。
直ぐに慣れて楽になりますよ、と淡々と告げてきた相手に問うのも精一杯だった。
あぁチクショウ、と喘ぎに混じって熱さの最中に呻く。
体の内側、血管の通り道全てが、ちろちろと内から熱い舌に舐められていくようで、ぞくり、と予期せずに震える。
「ぅ、ぁ…っ」
噛み締めた唇が綻び、勝手に音を洩らし。けれど、開かされた脚の間、さらにその奥に濡れた手で触れられてそれは短い悲鳴に変わっていった。
びくり、と背中を撓ませる。
とろり、とした何かを奥に潜まされる。
「ぁ、ア、ぁあっ」
体温と同じほどに温めれらたソレが奥を濡らしていき、それだけでもルーシャンが身体を震わせ。けれど、そのまま、ぬるりと縁を押し開くようにして僅かに男の指が体内に入り込んできたことに半ば恐慌を起こしかける。
「ぅうっ、」
信じらない音が奥から上がり。足を閉じようと渾身の力を込めて抗ってもそれはただ空しく自身の無力を思い知らされるだけで。
「いやだ、あぁあッ」
鋭敏になった感覚が、濡らされた奥に力が加えられることに身体を強張らせた。ぼろぼろ、とルーシャンが涙を零していた。指に―――――。
ぐぅ、と体内に異物が押し込まれる感覚に泣き、それが体の一部だと知ってまた涙を零せば。
「泣いているあなたはタイヘン可愛らしいですが、ここでは何の役にも立たないと覚えてくださいね」
そう、柔らかな声が落ちてき、ぐらぐらと白熱し焦点を失いそうになる視界に、ロイの穏やかな笑みがあった。
頬を、乾いた手が触れ、零れっぱなしだった涙を拭われていくことにさえ、嫌悪とは別の感覚に置き換えられてルーシャンがカオを歪める。
「ぁ、あっ」
内から、手指が引き出されていく感覚に呻き。引き上げるようにして括られた腕が強張り、リネンを掴み。それでも、ドアが静かに閉じられていくのを耳が捕えた。
ダレもいなくなった室内に、重ったるい香の匂いと、荒い息だけが満ちていき、ルーシャンが眼をキツク閉じた。
ぐぅ、と呼吸の度、鼓動がうつ度、熱が溜め込まれていく。
ハジメテ触れられた奥、その内側からも熱が引き起こされるように感じ、ぐう、と嗚咽が競りあがる。
ここまで他人から手酷く扱われたことなどなかった。いつだって、ヒトは自分にかしずくようで、それがアタリマエだとおもって過ごしてきたのに。たとえ、ソレが身を危うくする、と友人に忠告されてさえ。傲慢であることも、『ルーシャン・カー』の魅力のヒトツだと知っていたから。けれど――――――
勝手に喘ぎ声が漏れそうになる唇を噛み締める。
自身の中心が、とろとろと熱を零し、上向いていることさえ屈辱に思える。
腰が浅ましく勝手に揺らぎかける。
「ぁ、あ。ああ、っ」
競りあがる鼓動を声に紛らわせてしまえばすこしは熱も冷めるかと薄っすらと期待し、けれどただ声は、濡れた声でしかなく。呼吸さえ、喘ぎとかわらないことに、ぼろぼろとまた涙を零していた。
頬に髪の先があたることさえ、びりっと背骨を伝いおち、爪先まで抜けていく。
「ぁ、あ、くそぉ…っ」
ぐぅ、とリネンに踵を押し付ければ、ぐ、と僅かに腰が浮き上がり。
「ぅ、ア」
それだけで、びくりと刺激に下肢を揺らす。
つぅ、と滾るように思える中心から、とろ、と蜜が伝い落ちるのに悲鳴めいた声を小さく押し殺し。カオをリネンに押し付けるようにする。血が滾る、誰でもいい……熱を吐き出してしまいたかった。
ゆら、と揺らいだ視界の先に、うっすらと煙を昇らせる水晶を削った香炉が見えた。微かな空気のながれに乗って、柔らかな線が泳いでいく。
そして地獄のように長く思えた時間のあと、ドアが何時の間にか開いていたことにルーシャンがひくりと喉を鳴らした。
そして、寝台のすぐ横に、静かにこの屋敷の主が立っているのを眼にし、低くルーシャンが呻いた。まるでアイヴィリーグの学生の部屋着、そんな気楽なスタイルで立っている男を目にして。
その視線が、支柱に括りつけられた四肢に移っていくのにルーシャンが首を横に振った。これみよがしに脚を開かされたままの姿が、その冷えた眼差しにじりじりと焼かれていくようで。
眼を閉じることでその視線を断ち切ってしまえたら、と足掻く。
けれども、その冷たく焼かれるような感覚は視覚がなくなれば一層鋭敏になっていくだけで、ルーシャンの閉じた瞼からまたあたらしく涙が零れ落ちていった。
わずかに、ヒトの近付いてくる気配がし、びくりと瞼を跳ね上げれば。肩から腕にかけて、さらさらと肌の表面だけを撫でられ、そのことさえも酷く重く身体に落とし込まれていく。
ふぁ、と息が零れかける。
そして、荒い呼吸に上下する胸元にまでゆっくりと掌がすべらされる感覚に身体を強張らせ。
「ゥ、あ、あぁあっ」
胸の尖りを捻るように摘まれ悲鳴を上げていた。びくり、とそれだけで中心が揺れる。
酷く優しいとさえ思える声が、名前を問いかけてきたことに応えることなど到底できずに。そして、応える気など、持っていなかった。
送り込まれる刺激に、ぐらりと酩酊しかける。
ただの肉の塊りになれてしまえばいい、と切れ切れの意識で思えば。つつ、と指が鳩尾近くまですべらされる。
「な、い…っ」
あんたに教える名前などない、と切れ切れに言葉にすれば。そろり、と濡れて高まった中心を根元から撫でられ、悲鳴めいた声を噛み殺す。
く、っと男がわらった。
蜜を洩れ零していた先を押し開かされ、悲鳴を殺しきることが出来なくなる。
「ぁ、あああっ、」
背骨を痺れが突き上げ、駆け上り。
「名前は?」
涙で霞み、揺らぐ視界の中心で男が淡々と言った。
「な、いぁ、あああああっ」
ほてりと疼く火種が埋められたようだった奥に、張った精嚢をたどっていた指先が急に押し込められ、嬌声と悲鳴の交じり合った声が零れていた。
う、と震えた嗚咽が引き起こされる。
先に入ってきたソレとは意図の明らかに違う他人の一部に、ルーシャンの撓むまで伸ばされていった理性が引き千切れかける。
「名前は?」
問いかける声に、涙を零し。震える声と唇が、自らの名前を押し出していっていた。
*6*
ルーシャン、と。酷く悔しそうに震えながら名前を告げたガキに、パトリックは薄く笑った。
薬で絶えず快楽を引き起こされ、けれど軋むプライドは涙を零させ。ぐらぐらと理性と欲求の間で揺れながら、生意気なガキが震えていた。
「Lucien」
舌には甘く響く名前だ、とパトリックは音を口にしながら思った。
くう、とリネンに括りつけられたガキが、涙に濡れた目を見開いていた。
「まさか初めてとはな?」
狭い入口に埋めた指先を、ゆるゆると揺らしながらすこしずつ奥へと到達させていく。さあ、と赤く身体を染めたルーシャンに、パトリックはぺろりと唇を舐めた。
「ぅ、あぁ、あ、ィア、やあ、」
首を左右に振りながら、切れ切れに訴えてくる声にパトリックは喉奥で笑った。
「では放置してあげようか」
つぷ、と指を締め付けてくる内側から引き抜いた。
「ふ、ぁっ…」
戸惑っている声が耳に甘いと思いながら、蜜を零して揺れている中心部に、ふぅっと息を吹きかけた。
「ぁああッ」
「こんなにハシタナク零していて、嫌だと言う」
腰を捻って甘く鳴いたルーシャンに、パトリックは喉奥で笑った。
「オマエの後ろはもっと欲しがっているように、オレには見えるがな?」
とろ、と。中心部を蜜の雫が零れ落ちていき。目をぎゅっと瞑っていたルーシャンが、ゆらりと目を見開いていた。薬がよく効いているらしい、その双眸がとろりと蕩け始めていた。
蒼の底が滾っているのが見える。さら、と指先で腿裏を撫で上げた。
「ふ、ぁっ」
媚薬と催淫剤の効果が現れてきたのだろう、甘く鳴いてルーシャンがぽろっと涙を零していた。
「さて、ルーシャン。よく訊きなさい」
ゆら、と腰を揺らしていたルーシャンの膝をきゅっと握る。
「ん、っくう」
「オマエがどう1ヶ月を過ごそうと、オレは構わない。ただオレが望んだ時にオマエは望まれるままに抱かれる。オレを満足させることができたら、一ヶ月で許してやる」
さら、と空いていた手をルーシャンの胸元に下ろした。
「オマエはオレの愛玩動物で、それ以上でもそれ以下でもない」
かり、と胸の尖りを指先で引っ掛ける。
「アっ」
びくん、と身体を浮かせたルーシャンに、くくっと笑った。紛うことなく快楽を感じたのを信じたくはないのだろう、ふる、とルーシャンが首を横に振っていた。
「仔猫チャン」
ちゅく、と揺れる中心部を手で捕まえて撫で上げながら、声を細めた。
「オレに逆らうな」
「ひぁ、」
喉を反らせて身体を震わせたルーシャンに告げる。
「無駄なプライドはとっとと捨てて、擦り寄ることを覚えろ」
ぐり、と先端を親指で割る。
「っぅあ、や、ぁあっ」
甘く鳴いたルーシャンの屹立を、緩く窄めた手で扱き上げる。
とろりと噛み締めて真っ赤になっていた唇、その切れた口端から、雫が零れていった。
「オレを受け入れることを学べ。他にオマエが望まれていることなどなにもない」
ふる、と震えているルーシャンに、にやりと笑いかけた。
「噛み付いてくるのも一興だがな、オレにあまり手荒くさせるなよ、ガキ」
きゅちゅ、とキツく屹立を絞り上げてから、ゆったりと泣き濡れた顔を覗きこむ。
「オマエの命はオレが握ってるってことだけ、きっちり覚えておけ」
快楽に蕩けた双眸から、ぽろぽろと涙が零れていく。逸らされた首筋に、かぷ、と噛み付きながら、手の中の熱を絞り上げた。
「いいコでいれたら、たまには優しくしてやる」
きゅう、と絞り上げれば、細かくルーシャンが喘ぎ声を繋ぎ。ふる、と身体を震わせて、熱を散らしていった。
「ぃ、ア―――――っぁ、」
びくりと跳ね上がった体が赤く染まり、震える四肢はロープに絡みとられたまま小刻みに震える。
は、は、と喘いでいるルーシャンの屹立から手を離して、首筋に口付けながら濡れた手を下へと運ぶ。
ん、ぁ、と甘く鳴いたコドモの奥に、するりと指で触れる。
んん、と身体を跳ねさせたルーシャンの、緩くひくつく入口に指を滑らせる。
「ぁ、ああぅ、」
きゅう、と収縮した襞が綻ぶ瞬間を待って、くい、と指を差し入れた。
「オレみたいなのにブチ当たって、アンラッキーだったな、ルーシャン?」
くう、と息を呑んだガキの息を緩む瞬間を狙って、ぐう、と奥まで指を差し入れる。
「ぁ、いあ、っ、ア」
薬を投与されても、初めての感覚に怖がっているのだろうルーシャンが、びくりと身体を跳ねさせていた。
きゅう、と反射的に締め付けてくる内側の熱さに、パトリックが喉奥で笑う。
「オレでラッキーな点は、ヒトツだけだな―――――良くはしてやるぜ、仔猫チャン。中毒にならねえといいなァ?」
ぐり、と内側を辿り。射精を促すポイントを探す。少しばかり浅いところにあったソレを、指先でぐっと押し上げる。
「ひ、アア、アっ…」
身体を強張らせ、ぐう、と背中を浮かせたコドモの胸に、ちゅく、と唇を押し当てる。
「もう少しキモチヨクなったら、解いてやる」
ひ、と。悲鳴めいた嬌声を零したルーシャンの胸の尖りを、ぺろりと舌先で舐め上げた。
「やぁ、」
びくう、と肩を強張らせたルーシャンの双眸からまた涙が零れ落ちた。
「もう外して欲しいか、ルーシャン?」
かじ、と歯で齧りながら、ゆるゆると内側を指で押し撫でる。
こくこくと必死に頷いていたルーシャンに、にやりとパトリックが笑った。
「だったら上手にオネダリしてみな、仔猫チャン」
唇を噛んだルーシャンに、パトリックは指先で内側を軽く掻きながら、尖りをちゅるっと吸い上げた。ぎゅう、と一層ルーシャンが唇を噛み。潤んだ蒼が懸命に見上げてくるのに視線を跳ね上げる。
「んン?」
「おねが…っ、ぁ、とぉ、てッ、」
ぽろぽろ、と涙を零したルーシャンの甘い声に、くすりとパトリックは笑った。
「オーケイ、仔猫チャン。よく言えたナ?」
ちゅ、と心臓の上に甘く口付けを落としながら、空いていたほうの手で戒めを解きにかかる。
先に片足を解いてから、両手の戒めを解き。最後に反対側の足を自由にしてやる。触れるたびに小刻みに身体が跳ねるのに、パトリックが薄く笑った。
漸く自由になった手が、躊躇って宙に浮いているのを見遣りながら、かじ、と脇腹に歯を埋める。
「アン…っ、」
思わず、と言った風に上がった嬌声に、埋めたままの指が引き絞られる。
脚がびくりと跳ね上がり、一点を押し上げ、またルーシャンが甘く身体を震わせた。
ぽろ、とまた双眸から涙が零れ落ちていき。
「ぃ、っちまぅ、や、あ、」
止して、と囀るように告げてくるのに、パトリックが喉奥で笑った。
「いくらでもイけばいい。快楽がどういうものか、早く覚えろ」
ぐり、と内側を指で押し撫でながら、空いていた手で屹立をきゅうっと扱き上げた。
「ほらイッとけ、仔猫チャン」
「ぃあ、アァア、」
びくん、と腰を揺らしてパトリックの手の中に熱い飛沫が散らされる。熱を持った指先が肩をぎゅっと縋るように握り緊めてくるのに、薄く笑って返す。
「いいコだ、ルーシャン。もっと気持ちよくなっちまえ」
言いながら、熱を零したばかりの屹立を、てろりと舐め上げる。
は、は、と荒い息で喘いでいるルーシャンの息の合間を縫って、締め付けてきていた指を軽く入口まで引き抜いてき、もう一本の指を沿わせる。
零された悲鳴めいた嬌声にまた薄く笑いながら、一瞬だけ綻んだ入口に、指を二本を揃えて差し込んでいく。
ず、と踵を押し上げたルーシャンの屹立を、ちゅく、とキツく吸い上げた。
「ぅ、あ、ア…っ、ああ、」
ぐう、と一気に奥まで差し込んでいきながら、遠慮ない強さで屹立を頬張る。逃げようとするかのように身体を捻ったのを元通りに押し戻しながら、小刻みに指を体内で揺らしていく。
「ぃ、あ、ああ、なに、あ、」
「イイって言いな、ルーシャン。そりゃあ快楽ってヤツだ」
先端を舌先で割って蜜を拭い取りながら、遠慮ない強さで内側を攻め上げていく。
「は、ぁ、ああ、ィあ、…っ」
ひくん、ひくんと揺れる熱が、限界を訴えてきているのに、また奥深くまで屹立を飲み込んだ。そして、そのまま強く吸い上げるようにしながら、一点を抉るように指で突き上げた。
ぐう、と膝が揺れて濡れた音を立たせるのに、パトリックが薄く笑う。
「はな、はなし…って、」
悲鳴のような嬌声に、パトリックは薄く笑った。
「飲んでやるよ。まさかソレまで初めてじゃないだろ、ルーシャン?」
ぢゅ、と強く吸い上げながら、捻りこむように指を突き入れれば、びくりとルーシャンが腰を揺らし。
「よ、すぎるよぉ、」
そう言って甘く鳴いたルーシャンが、
「んぁあ、ア…ッアああ、っ」
そう甘く高い嬌声を零していた。
とくん、と口中に零された蜜を躊躇なく飲み干して、パトリックが薄く笑った。
「素質は充分だな、ルーシャン?そろそろ、もう少しキツい楽しみを味わってみるか」
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