お家
の
なかで
リネンがひんやりと冷たいことにノーマンはどきりとしました。柔らかな毛皮に包まれていたころにはちっとも気がつきませんでした。
毛皮のなかから出てきた中身は、つるつるとしていて、いっぺんにたくさんのことが伝わってきてすぐにわからなくなってしまいます。
いまだって、もう息が競りあがってきて苦しくなってしまいます。
膝に添えられたショーンの手がゆったりと脚を開いていきます。ひんやりとした感触に、「うっん、」とノーマンは小さく息を零してしまいました。
いくつもの、きらきらとした石が嵌っていた指の飾りが、とても冷たかったのです。
指輪は、ずっとショーンは嵌めておりましたから、そのひんやりとした感じがわかる程度には、勝手が見えてきたのかもしれませでした。
けれど、だから余計にどきどきとしてしまいます。
ゆうべは、まるで滝から落ちたときのようでした。ぐるぐると回って深く沈んだり流されたり浮き上がったかと思えばまた跳ね上げられてどんどんと流されていったときのことを少しだけ思い出しました。
苦しくてお腹とお胸が痛くて、息が詰まりそうでふらふらとしてしまってわけがわからなくなるほど熱くて身体中がかっかとしてしまって柔らかな干草の山に飛び込んでもみくちゃになったときよりなんだか気持ちよくて、なんだかしーずんの森のいきものたちと同じ匂いにいっぱいになりました。
熱い塊りがお腹の中を暴れるのが怖くて泣いてしまいそうになりましたが、知らない間に怖くはなくなっていました。
ショーンが中にいるのだとわかったら、急にふわふわかっかとして、たくさんとろとろを零してしまいました。
ハチミツじゃないのにぜんぶショーンのお口のなかに消えていってしまって、ノーマンはふるふると震えて息を大きく吸い込んだり吐き出したりしているだけでした。
だから、またいまから「ああなっちゃう」のかしらとノーマンはとくとくと心臓が早くなってしまいました。
ショーンの柔らかい唇がたくさん、ほっぺたや瞼にキスしてくれるのもとても好きなノーマンは、「はぁっ、」と息を吐きました。
柔らかくベッドに押し付けられるのも大好きでした。
ちゅ、と唇にキスをされて、ノーマンは嬉しくなってくすくすと笑いました。
ショーンの指輪の冷たさも、すっかり体温と混ざり合ってもう気になりません。
「し…」
しぉ、と呼ぼうとしたとき唇の間から滑り込んできた舌にやんわりと絡み取られて、続きは呑み込んでしまいました。
あまえたような息が零れます。
「ん、ぅ」
ノーマンがショーンに抱きつくようにします。
さらりとした張りのある布地が擦れて涼しいような音がします。それを指でクシャリと握ります。お胸に擦れる生地がくすぐったかったですし、黒のズボンもなんだか邪魔にノーマンは思えました。
だって、ぼくだって毛皮ぬいでるのに、と。 しぉ、と言いたいけれど、きゅ、とキスが深くなってノーマンはお口を大きく開いてしまいます。
「ぁんん、」
お腹ともっと下が、ショーンのズボンに擦れて変な感じです。
ぐ、ともっと押し付けるようにされてしまって、重たいし熱いし、そしてなにより、腰がびりびりします。
びりびりがお腹にひろがってずくずくと熱くなってしまいます。なんだかあともうすこしで、また熱いのが出てしまいそうです。
がんばって、ノーマンは顔を揺らすようにしました。
だって、そうじゃないと―――
とろりと唇を熱い舌で濡らされてしまって、ノーマンが短く息を零したなら、ショーンが引きあがった顎を少しだけ齧りました。
「しぉお、」
ノーマンの声が訴えます。
「んー?」
「だぁめ、だよぅ、おずぼん、よごれちゃうよう」
甘い口調でショーンが別にいいよ、と言って、そして喉の奥で笑いました。
「でぇも…っ」
温かな掌に身体を撫でられて、ノーマンの声が揺れてしまいます。喉も、果物にするように吸い上げられてしまいます。
びくんとノーマンの踵がリネンを蹴りました。 「でも?」
は、と息が上ったままでなんだか少し楽しそうなショーンをノーマンの涙のうっすらと滲んだブルーが見上げます。
「とろってなっちゃ…」
柔らかく撫でていく掌に続きがいえなくなります。
「んん。いいよ…?」
だっておずぼんが、とノーマンがうったえたなら、ショーンがはぐりと首筋を噛んでしまいました。
「ァ、ぁンゥ」
とろとろがいまにも零れてしまいそうなのに、そんなことはお見通しなショーンは下肢を押し上げます。
不慣れなノーマンががまんできるはずもありません。
お顔を真っ赤にして、とろ、と熱を零してしまいました。頭をリネンに押し付けるようにして、背中が浮き上がります。
「しぉお、っ」
ぽろ、と眦から涙が転げ落ちました。
ショーンのくろいおずぼんを汚してしまったと思って哀しくなりました。
眦に唇でやんわりと触れて、それを吸い上げるとショーンはまた優しく、熱の高い肌を掌で押し撫でます。
しょぉん、とノーマンが細い声で呼びました。
ひぃっく、と嗚咽が零れかけたなら、とん、と唇にキスが落ちてきてすぐそれが引っ込んでしまいました。変わりに、またかぁ、っと身体の中にお日様が落ちたようになります。
身体を起こしたショーンはシャツをさらりと脱ぎました。金色の髪の毛が少し揺れて、ピアスの宝石が光りました。
「きらきら、」
ぼうっと見惚れてノーマンが言いました。もりできらきらして見えたのは、この宝石だったのかもしれません。
そして、ぱちりと瞬きをしました。 しろくてつるつるで、毛皮が剥けてしまったらなんだか頼りない自分の中身と違って、ショーンも身体はとてもしっかりとしなやかに見えました。
そして、あら、と思いました。なんだかさっきよりずっとどきどきとしてきます。
こんなに心臓が暴れてしまっていたら、いまからどうなってしまうかわかりません。
こまってしまって、ノーマンは思い切って両腕をショーンに向かって伸ばしました。
「どーん、してください」
「どーん?」
「うぅんと、」
首を傾げてしまったショーンにノーマンが言いました。
「ぎゅう、って潰してください、ぼく」
覆いかぶさるように体重を預けてきたショーンはノーマンの耳元にキスします。
思い切りリネンに身体が押し付けられて、やっぱり気持ちがいい、とノーマンが目を瞑ります。
さらさらと身体を撫でられて、ふぅ、と息も零れます。
けれど、ショーンの手が蜜を零したばかりのおとこのこのところに触れたときに、びくりと脚が跳ねあがりました。
きゅう、と引き絞られて、高い声が零れてしまいます。 あついね、とショーンが甘やかすような声で囁いて、目をきらりとさせました。
「ああ、服に零させて残念だった」
そう言って、真っ赤な舌がショーンの唇をぺろりと舐めていきました。
かぁ、とノーマンの身体中が熱くなってしまいます。引き絞られたおとこのこのところがまたすぐに蜜を零しそうできゅう、と唇を噛みました。
ふふ、とショーンが嬉しそうに笑うので、もっとどきどきが止まらなくなります。
そして、ショーンの唇はそろそろと首筋から胸元へと下りていきのに気がつきません。
「ぁ、あ」
小さな乳首を舌で跳ね上げられて初めて、ノーマンがびくんと背中を浮かせました。
ショーンの手指はくちゅりとノーマンの熱が篭もった中心を弄っておりました。
「んぁ、ん」
びり、っと胸から腰まで痺れてしまってノーマンが喘ぎました。
ショーンがもう片方の指先を舐め濡らすのが見えて、ノーマンが瞬きしました。
「は、ぁ」
びくりびくりと身体が勝手に跳ね上がります。
ショーンがくう、と口端で笑いました。
跳ね上がったノーマンは知らずに身体を押し付けるようにしてしまいます。そして、お尻の奥を濡らした指で撫でられてしまって、身体を捻らせます。
「んん、ん」
熱くてクスグッタクテ、でもそれだけではありません。
ショーンの指が内側に沈められていくと、かぁ、と頭のてっぺんまで一度に熱くなってしまいます。
ゆっくりと抜き差しされてしまうと、息が掠れて細い声が高く洩れていって、身もだえるしかありません。
ゆっくりと沈めていくときに、ずっととろとろと舌と唇で赤く色づいくまで弄っていた尖りにショーンが歯を立てました。
「ひァん…っ」
「甘くて素敵な声だね、」
ノーマンが背中を反らせて、くらくらと波に呑まれそうになりながらショーンの声を聞きました。
「しぉ、」
ショーンの声の方がとてもすてきです、聞いているとノーマンは夢心地になってしまうのです。
「心臓、とくとくしてるね」
指でお尻の奥をなぞられて、ノーマンは震えました。
ちゅぷ、と尖りをショーンが吸い上げます。足指がくうん、と丸まってしまいそうになります。
「ぅん、」
「ここ、真っ赤になってるよ。小さなベリーみたいだ」
ノーマンが、熱い息を洩らします。
とろ、とショーンの舌が尖りを舐めていきます。
ぶるぶる、と背骨から痺れてノーマンが喘ぎました。
「しぉ、」
声が細く掠れます。
「かり、ってして」
ベリーならいいよぅ、とノーマンが言ったなら、少し痛いほどに齧られて、くん、とショーンの手指に包まれたーマンの熱が跳ねあがります。
「ぁ、ン、ぁ…っ」
奥に指をショーンが沈めきって、とろとろと蜜を零す先を抉るように撫でます。
「ひっ、ァん…っ」
まだ狭い内側を擦り上げて狭間を押し開きながら、いい声、とショーンが囁きました。
そして、喘ぐように息を必至に継いで頭を振ったノーマンの蜜を零す中心に口付けて、そのまま引き入れて舌で撫でます。
内側を探しあてた指で小刻みに刺激して、びくびくと跳ねる身体を楽しみます。
「ぁ、ぁあん、ん」
ノーマンの背中が大きく反り返ります。
知らずに大きく脚を開いてしまっていました。胸は大きく上下しています。
そして、縋るようにショーンの名前を呼びながら、信じられないほど熱い中に包まれたままとろとろと蜜を零していたのです。