晴れ




 とろんと幸せそうに顔を綻ばせて目を瞑ったノーマンの毛皮に包まれた後頭部をわさわさと撫で、ショーンは柔らかな唇を思い切り堪能します。
「ん、っふ」
 ぽふんとしたウサギのお手手が、ショーンのがっしりとしたジャケットの肩に縋ります。
 柔らかな舌に甘く歯を立てて、ショーンが喉奥で笑いました。
 ノーマンはすっかり快楽に従順で。ショーンにとっては嬉しい限りです。
 ぎゅう、と力を込めて縋られ、ショーンが喉奥で笑ってノーマンを抱き上げました。
「しぉ、」
 ひょい、と抱えてベッドルームへと向かいます。
 とろりと甘い声に、なに、とショーンが訊き返します。つんつん、と短い尻尾も引っ張ってみますが、中で繋がってはいないので、反応は薄いようです。
「おちゃ、とちゅぅですよ」
「うん。でもこっちのほうが食べたいな」
 きゅう、とノーマンのお尻を毛皮の上から掴んでみます。
「ひゃ、」
 ぴくん、とノーマンの脚が跳ね上がっている間にあっという間にベッドルームに到達してしまいます。
 まだまだ明るい室内を横切り、薄いオーガンジーの布が垂れ下がった寝台のところで、漸くショーンがノーマンを下ろしました。
 きらきらと陽光を受けてきらめくドリームキャッチャーは揺れて中に盛り込んだ宝石が光を弾いて大変きれいでした。
 きゅう、と見上げてきたノーマンの耳朶を跳ね上げて、そのブルゥアイズを覗き込みながら被っていた帽子を放り投げます。
「しぉ、」
 床に転がるかと思われた帽子は、けれどさすがに魔法使いの帽子だけあってブーメランのようにカーブを描いて上昇し、すとん、とコートかけに引っ掛かりました。
「なにかな?」
「ぼくに、こんど。そのお帽子かしてくださいね」
「あれ?構わないけど、どうするのかな」
 クスクスと笑いながら、ショーンがノーマンの毛皮の上から手をさらさらと滑らせていきます。
「森のおさんぽのとき、かぶるんです」
「枝にひっかけそうだけど、まあイーニィたちがいるか」
 すっかり子犬の存在価値を認めているショーンです。
 くすくすと笑いながら、ショーンがつるりとノーマンを毛皮の上から撫でます。
「この間、きっちりとあちこち測らせてもらったから、ぴったりのスーツが出来たね」
 そうショーンが言えば、ノーマンの頬がほわっと赤くなりました。
「たいへんだったんですもの、」
 小さな声で囀るように言うノーマンに、ショーンがくすくすと笑いました。
「そう?たとえば、」
 そう言って、ショーンがころりとノーマンを毛皮ごとひっくり返しました。
 ひゃ、と驚いた声を上げたノーマンの頭からつるりと耳朶突きフードを外させて、あらわになった金茶色の髪のショーンがキスをします。
「だって、」
「うん?」
「とってもとってもくすぐったかったんです」
 酷く小さな声で呟かれた言葉に、ショーンがくすくすと笑いました。
「たとえば、」
 チッ、と上顎と舌で音を立てたショーンが、毛皮の中にずぷりと手を入れて、直に柔らかい部分に触れました。
「こことかもは測っちゃったから…?」
「ひゃ、っぁ…!」
 びっくりした声を上げたノーマンに満足し、真っ赤になった耳朶をぱくりと咥えてショーンが言いました。
「長さも太さも全部メモに書いちゃったよ」
「けがわ、」
「うん?」
「切れちゃった?」
 驚いたような声でも、節は甘く蕩けて跳ね上がっています。
 くちゅくちゅと軟かな部分を手の中で弄りながら、ショーンが返します。
「そんなことになると思う?」
「だって、しぉ、手が…」
 かり、とノーマンの耳朶に歯を立てれば、びくんとノーマンの身体が跳ね上がります。
 んん、と詰まった声を上げたノーマンに、ショーンが告げました。
「オレの職業、なんだっけ、ノーマン?」
 ぬるん、とし出した先端を親指で弄りつつ、魔法使いはご機嫌です。
「ま…、ぁ、あ」
 背中をきゅうっと丸めたノーマンの言葉が途切れ、ますますショーンはご機嫌にノーマンの中心部を弄ります。そして反対側の手を、空いた胸のスペースの所に小さな音と共に差し込みました。
 すると分厚い生地は通り抜けて、ショーンの手は直ぐに素肌のノーマンに触れます。
 さわりさわりと指を立てて、平らな胸に触れていきます。しっとりと汗ばんだ肌に指が吸いつくようで、ショーンが喉奥で笑いました。
「いい手触りだ」
「ぁ、――――――んぁ、ん」
 きゅう、とウサギのぽわぽわな手でノーマンがリネンを握りました。
「ぁついです、」
 はふ、と息を荒くしてノーマンが訴えます。
「うん。そうだね。ここも、ココも、熱い」
 きゅ、と平らな先端と手の中の熱を交互に締め付ければ、
「ぁんんー」
 と甘く甲高いお声が響きました。
 鼻先で落とさせたフードを掻き分け、内側まで潜りこみ。首筋に顔を埋めて、かぷ、とノーマンの首根っこを齧ります。そして、そのまま手の中の熱を捏ねるように揉んで止めどなく溢れる雫を絞り出していきます。
「ふ、ァ、ア、っ」
 あぐあぐ、と首筋を噛んだ後に、熱くなってピンクになった耳朶に唇を移します。そして、ぶるぶると足を震わせているノーマンの耳にぬくりと舌先を潜り込ませました。
「ぉ、っし、ぁあんっ」
 きゅう、と濡れた先端を親指で割って、敏感な部分を擦りあげます。びく、とノーマンの腰が跳ね上がりました。
 指の中で、小さな尖りが固く興って毛皮の中の生地を押し上げています。
「こまりますぅ、」
 泣きそうな声で告げられ、なにが、と吐息で問いながら耳朶を唇できつく挟みました。
「ひぁああんっ」
 真っ赤に染まった頬が触れる唇に熱く、目じりに乗っかった涙が快楽の深さを物語ります。
「ぼ、くぅー…っ、」
 きゅう、と目を瞑ったノーマンの耳朶をべろりと舐め上げ、ぎちゅ、と昂りを搾りあげます。
「うん?」
 手際良く快楽をショーンの手は引き出していきます。
「は。ァ、」
 間近で喘ぐノーマンの口中に尖った犬歯が覗きます。ぶる、と震えながらノーマンが言いました。
「け、がわ…よごれ、ちゃ、ます…よぉ、」
「うん。いいんじゃない?」
 片腕を引き上げたノーマンが、がくりとリネンに崩れかけるのを、中心部を握り込んでいた手で押さえ、そのまま音を立てて搾りあげます。そして、きり、と尖った小さな飾りを爪先で抓み上げました。
「ァ…!」
「汚せばいいよ、ノーマン」
「し、しぉお、」
「うん。ほら、ね」
 懸命に堪えているノーマンの耳朶をがりっと咬み、先端を親指の腹で抉るように擦りあげました。それと同時に尖りを指の間で挟んでぎゅうっと締め付けます。
「ァ、アぁ、っ」
 きゅう、と目をきつく瞑って、ぶるりと体を震わせたノーマンの身体から、熱い飛沫が迸ります。それをぎゅう、と最後まで搾りださせ、ショーンが喉奥で笑いました。
 ひぃん、と泣きだしたノーマンの目じりにキスをして雫を吸い取ります。
「いっぱい出たね。毛がじわっとしてるよ」
 するりと胸の尖りに触れてから毛皮の中から手を取り出し、高く張った中心部の天辺あたりに触れます。
「うん、ねとねとだね」
「だ、ってー…」
 ほとほと、と涙を目の端から落としながら、ノーマンが言い募ります。
「うん?」
「ぁつく、て、ふしぎ、で…っ」
「不思議?」
 えくえく、と涙を啜りあげるノーマンの熱い頬にキスをして、手を動かして背中の魔法のジッパーを引き下ろします。
 こくりと頷いたノーマンの熱い両手をまずは毛皮の中から出し、次いで胸の方も毛皮を落として曝します。
「じっぱ、あいてないのに、」
「うん、開いてなかったねえ」
「でも、しぉの手、」
「うん?」
 目尻にキスをすれば、熱さから半分解放されたノーマンが、ふぅ、と息を吐き出しました。
「ちゃんとなかにありましたもの、」
 不思議そうな声で蕩けたトーンで言ったノーマンが、く、と首をめぐらせました。
「けがわ、よごしちゃうし、ぼく、」
 目をうるっと潤ませたノーマンに笑いかけ、ぐっと毛皮を足元まで落としました。
そしてノーマンの前に回って、足の抜けかけていない状態のノーマンを上から見下ろします。
 じぃいっと涙目で見上げてきているノーマンを見下ろしながら、中心部の濡れた個所からどろりとした体液を拭いとりました。
「んん、」
 ひくんと肌を跳ねさせたノーマンの肌に、濡れた指をとろりと擦りつけます。
「たっぷり出たね。どろどろだよ」
「ぁ、」
 頬を真っ赤にしたノーマンが、泣き出しそうな声で言いました。
「だって、くらくらするんです、」
「うーん、のぼせたかな」
 指で辿った痕を舌で辿り直し、肌を吸い上げながらショーンが言います。
 ふる、と首を横に振ったノーマンに片眉を跳ね上げ、ずい、と足先から毛皮を抜き取りました。
 ぱちん、と指を鳴らして床に放り投げれば、箒がぐっと柄で毛皮を引っかけ、部屋の外へと持ち出します。
「もう、きれないんですか、」
 哀しそうな声で訊いたノーマンに、くすくすとショーンが笑いました。
「どうして?洗えば問題ないよ」
 それを訊いて、ノーマンが両腕を伸ばしてショーンに抱きつきました。
「後で思い出して、ちょっと恥ずかしいかもしれないけどね」
 そんなことを耳に直に囁き落とします。
「んん、」
 きゅう、と目を瞑って顔を胸元に押し付けてきたノーマンの頭をするりと撫でます。
「しぉのお手手がはいってこないならだいじょうぶ、」
「それはさすがに、切り落として入れておくわけにはいかないもんな」
 くすくすと笑ってショーンが言いました。でも、と言葉を続けます。
「ノーマンの中にははいっちゃうけどね?」
 きゅう、と頭をくっつけてきたノーマンが零した体液をたっぷりと指に塗りつけ、奥に滑らせます。
「いま?」
「指?」
 あぐ、とノーマンがショーンの肌を齧りました。つる、つる、と入口を返答のように擦りつけます。
「―――――ぁ、」
 甘い声で囀ったノーマンの肌をお返しにぎゅうっと吸い上げ、ショーンが言いました。
「とろっとしてるね」
「もっとです、」
「もっと?もっとどうしたいの、ノォム」
「あの、」
「うん?」
 ううんと、とノーマンが一生懸命探しだします。
 潤んだ目を伏せて頬を真っ赤にしていて、大層美味しそうです。
 てろ、と肌を舐め上げながら、ショーンはノーマンの表情を見詰めます。
 すると、ぱああ、とやけに晴れやかな笑みを浮かべたノーマンが、とろりと甘い声でいいました。
「あのね、かわいがってください、」
 ノーマンの言葉に、ぷ、とショーンが小さく吹き出しました。
 そして、くすくすと笑いながらノーマンの身体の本当の中心にキスをしました。
「いつもいつも、たくさん可愛がって上げるよ、オレのかわいいノーマン。だから蕩けて甘くなってたくさん蜜を出して気持ちよくなってね」

***

 あつくてあつくて頭がぐらぐらして、息を吸うのも吐くのもうまくできないのはあの不思議な毛皮をきているからだとノーマンは思っていました。
 あの、ふわふわで柔らかくてあったかい毛皮の中にショオンが手を入れられることにもびっくりしてしまって。目の前がチカチカしたほどでした。
 ですから、肩のあたりがつるんと毛皮から出て、お背中から毛皮を脱がせてもらったときも、もっと涼しくなるだろうと思っていたのに、ショオンに肩からお背中をゆっくりと撫でてもらって、もっとかっかとほっぺたがしてしまってノーマンは不思議でしかたありませんでした。
 くるんと世界がそうしている間にもひっくり返って、ショオンの肩の向こうでキラキラしていたドリームキャッチャーが見えなくなります。
 羽の枕にほっぺたをくっつけてノーマンがまた小さく息を零します。
 やっぱりとても熱いのです。
 毛皮を着ていないのに手のひらや足の先までじんじんと熱があるようになっています。
 そうしたなら、ショオンの手がさらんと肩からまた咽喉のあたりまでさすってくれて、しゃらりと音がしました。
 まだ、首から下げていたお星様ネックレスとお師匠の入ったチャームが頭からするりと抜けていきます。
 それをノーマンが目で追えば、紫水晶を削ってつくった小箱のなかに、魔法を使わずにショオンが手で落とし入れて、ぱたんとフタが閉じました。
 お星様ネックレスからの灯りが水晶に透けてとてもきれいなので、ノーマンは一瞬、うっとりとその光りを眺めます。
 絹の擦れる小さな音がして、ショオンのお洋服が下に落ちていくのが目の端っこに映ります。
 あの箱に触ってみたら、きっとひやりとしているのか、それとも少し温かいのかどちらでしょうと気になって、そろそろとノーマンが腕を伸ばしてみれば、ショオンの優しい声がするので、ノーマンがぐるりと見上げました。
「どれがいい?」
 いつのまにか、ショオンは手にガラスの細い管を持っていました。ショオンのお勉強部屋に同じようなガラスの管が大きさのいろいろとあるのを見て知ってはいますが、ここは寝室でお勉強部屋ではありませんから、ノーマンが首を傾げました。
 ガラスの中には、きんぐすたうんで買ってもらったのと同じような色々ないろのキャンディーが入っていました。
「あめ?」
 こくりとまた一層首を傾げます。
「いただけますの?」
「上のお口用じゃないけどね」
 きょとんとノーマンが瞬きします。
 くすくすと笑ったショオンが舌をすこしだけ覗かせて、またノーマンはなぜだかほっぺたがかっかとしてしまいます。
 ええと、とノーマンは少し困ってしまって答えました。
「いらないです」
「どうして?」
 食べられないあめなら、持っていても食べたくなって大変なだけです。
「食べられないなら、飾りはいらないです」
 そう、真面目な顔でほっぺを赤くしたままでお返事します。
「お台所にたくさんあるのをいただきます」
 大層いいこのお返事もできるのです。
「飾りじゃないよ。ちゃんとノーマンの中に入るもので、これはキッチンのキャンディとは別のものだよ」
「―――――あら」
 なんだかよくわかりませんが、きっとたくさんはいらないものだろうと考えて、ノーマンがお返事をしようとしたら、お腹の横のところをショオンがぺろりとしたので、くすぐったくてひゃあと声が上ってしまいます。
「くすぐったいですよう…!」
 ひゃあひゃあとわらって、ノーマンは一つを指差しました。
 うすいピンク色で、イチゴミルクキャンディーのような色でした。
「いっこ」
「一つでいいの?食べるキャンディなら一日5個なのに」
 ショオンが楽しそうにまた小さく笑うのに、ノーマンがお返事をします。
「おいしいかどうかわからないですもの」
 たべられませんのに、と続け、ほてりとショオンにくっつきます。
「味は解らないけど、ノーマンが美味しくなるね」
「ぼく?」
「そう」
 ますますわからなくなってむうと唸れば、ショオンがちゅっとキスをしてくれたのでなんだかまたうれしくなります。
「あ」
 ひとつ、思い出します。
「はちみつみたいにですか」
「そうだね。とろとろになるよ、ノーマンがね」
 はろうしんのとき、はちみつがたくさん降って来たことを思い出して訊いてみれば、そうショオンがお返事してくれます。
 その間も、とろりと肌をショオンが舐めてくれるので、くすぐったいし、どきどきとしてしまいます。
「じゃあ、たくさん」
「欲張っても苦しいからね。まだいっぱいあるし、あとで追加すればいいわけだし。そうだな…最初は3つくらいにしておこうか」
「はい」
 三つね、とお返事します。
 そして、ションのお胸に額をぎゅうぎゅうくっつけていたなら、うつぶせになって、と言われたのでその通りにまたリネンにほっぺたをくっつけて横になります。
 ショオンの手が腰に掛かって、引き上げてくれたのでお膝がリネンを滑っていきます。
「―――――ひゃ、」
 ちゅ、とお尻のお肉に小さいキスがおちてきて、なにかがノーマンの頭のなかでもやんとします。
 とろりと濡れて熱くて、ぐらぐらしてしまいそうにゆっくりとショオンの舌が肌の上を擽っていくのに息が上がります。
「ぁ、ん、」
 男の子のところも、ぐうっとショオンの手が覆ってしまいます。
「ん、っん」
 とろっとお肉の奥をノックされて、あ、とノーマンが一つ声を上げます。
 熱くってくらくらしそうだったのと、思い当たったことがあったのが混ざってしまいます。
 魔法をつかわないでなかにはいるのは、お肉の奥しかありません。
「―――――ひゃ、ァ」
 びっくりしたのと、ショオンの手が気持ち良いのも混ざってしまいます。
 ころころと「あめ」がリネンの上を転がりました。イチゴミルク色のと、ハッカのような薄い水色と、透明なキンイロでした。
「っぁ、あ」
 ショオンの髪がさらんと肌の上を滑っていくのも、くうっとお口がもっとくっついていってお肉の奥がきゅうきゅうしてしまいます。
 ぎゅうっとノーマンが手を握りこみました。いつも、れもんすかっしが身体の中に溢れているようになってしますのです。
「しぉ、っ」
「んー?」
 ぐらりと頭をノーマンが揺らします。男の子のところも、もうはちきれそうに熱くってたまりません。
「ぁっ、んんん、」
 ショオンの舌がつぷりと「なかがわ」に入ってきて、ノーマンが背中をきゅうっと丸めようとします。
 ぐるんと中と外が入れ替わってしまったように思えます。
 はっはと熱い息を零して、お怪我もしていないのに、ずきずきと身体中がするのに目を瞑ります。
 ショオンの指や舌がなかがわに入ってくると、いつもそうなのです。「ひと」に戻ってすぐのころは、そのことがこわくて泣いてしまったものでした。
「あ、っァ」
 けれどいまはもう、なにも怖いことはないのだと知っています。
でも、お熱が零れそうになってしまったら、ショオンの手がせき止めてしまったのでノーマンはびくりと身体を震わせます。怖くなくても、お腹のなかを、熱い塊りがぐるんと暴れるのです。
「し、ぉ…っ」
 ひん、と泣き声になってしまいます。ひくひくと奥のお口がしてしまったことはノーマンには分かりません。
「ぁ、ああん、っ、な、」
 くう、と奥になにかが押し当てられるのにびくりとノーマンが震えました。
 これはきっと、さっきのあめです。ぬぷりとひとつ、指で押すようにされて入ってくるのが分かりました。
「ひゃ、ぁ…!」
 硬いような、つるつるしたようなものが入ってきて、ノーマンが声をあげます。
 ぐうっとお膝や腰に力が入ってしまいます。
「ぁ、ぁあ」
 お肉の奥もきゅうっと窄みそうになってしまったのを、またぐうっと新しいあめがはいっていきます。
「ぁん、っん」
 さっきより、ショオンの指もはっきりとわかって、ノーマンがふるふると震えます。
 お熱も身体の内側をずっと駆け回っているようで、息も上手く出来ません。
「ぁ、ぁああん」
 あめがもうひとつ、くううっと奥まで入ってきてノーマンが小さな犬歯が覗くまで口を大きくあけます。
 びくびくと身体が震えて跳ね上がるようなのを押さえられません。お熱が飛び出したくて身体中で暴れまわっているのです。
「しぉお、」
 泣き声をノーマンが上げます。
「うん?どうしたの」
 真っ赤に火照ったほっぺたを涙がつるつると転がり落ちました。
「へんんー…っ」
 必死になって、異物感を訴えてもショオンはにっこりとして。三つ目のあめを手にとっているのが見えました。
 いれないでください、とオネガイしたくても、息を継いでいる間に、くぷりとお口が開きます。
「は、ぁ、」
「まだ締め付けたら駄目だよ、ノーマン。それはまだもうちょっと我慢してな」
 きゅうっと手を握ってノーマンが言葉をだしかけたなら、かつりとお尻をショーンの歯が齧っていきます。
「ぁ、アっ」
 その間に、奥に最後のあめがあてがわれてしまいます。
 お熱が背骨を走ってぐるんと回って落ちてくる間に、あめはもっと奥へと押し込まれてしまって。三つぜんぶ、中に入ってしまったことにノーマンが震えます。
 とてもヘンな感じなのです。
 しっかりと形がわかってしまって、そのこともノーマンを一層不安にさせます。
 ショオンがなにも意地悪をしないとわかっていても、心臓がどきどきとして、頭のなかはまっしろになります。
 お熱も痛いほどにお腹の奥で暴れています。
 そして、毛皮をきていたときより、ずっとずっと熱くて息が切れそうなのです。
「ぁ、ん、んんんー…」
 そうしたなら。
きゅうっと足を引き寄せてお背中を丸めようとしたなら、あめが、お肉のなかでぱきんと弾けたのです。
 ガラス球が割れてしまうようでした。
「ひゃ、ぁああああ…っ」
 ぱちんと弾けた薄い殻の中からあつくってとろりとしたものがお肉の内側にひろがっていくのまでわかってしまって、ノーマンは大きな声を上げてしまったのです。

***

リネンをぎゅうっと掴み、大きく目を見開いて震えているノーマンを見下ろして、ショーンは目を細めておりました。
目尻に溜まった雫が溢れ、ぽろりぽろりと零れていく様が大層愛らしく、大変ご満悦です。
あぁかわいいなぁ、と思いながら、反ったままの背中をちゅくっと吸い上げます。
ひゅ、と息を吸い込んだノーマンの細い腰をさわさわと撫で下ろし、ぬるりと背骨の窪みを辿って舌を這わせました。
「いきが、できないです、おなか…っ」
ぼとぼと、と涙をリネンに吸わせながら言うノーマンの脇腹にかぷりと歯を立ててショーンが応えました。
「お腹?いっぱいになったかな?」
わざわざこんな用途を目的として作った潤滑油のボールは、ぱきんと割れてしまえば直ぐに殻も体温に溶けてしまう優れものです。
体積的に大変でも、固いものが内に刺さる心配のない、大変安全なものです。
「ひゃ、ァ…っ」
ぶるぶる、と震えたノーマンの内側で、最後のボールが溶けて弾けたようです。
「息はできるようになった、ノォム、」
そう訊けば、ひん、と泣きだしながらノーマンが応えました。
「ぬるぬるん、って、やぁ…っ」
ぶるぶるとリネンに伏せた身体を震わせているノーマンに、ショーンがとさりと体重を重ねました。
く、と奥を開かせ、こぷ、こぽ、とオイルがあふれ出ている場所にすっかり元気な熱を押し当てました。
そのまま、緩く濡れた液をまとわりつかせるように、軽く押し付けて擦りあげます。
「ぁ、ァ…っ!」
背中を撓ませたノーマンの傍らに手を着き、引き上がった上体に唇を押し当てます。
「溢れてくる蜜が全部ノーマンと同じ体温だね」
ぬちゅ、ぐちゅ、と音を立ててひくつく入口を熱棒で擦りあげて、ショーンが囁きました。
「しぉお、っ」
えくえく、と涙を零しながらしゃくりあげる姿は大変可愛らしく、ショーンがノーマンの耳朶にキスをしました。
「ねえ、ノォム、どうしてほしい?」
「ぬるぬる、やぁです…っぅ」
「うん、だから?」
「かっかして、あついの、やだぁ、」
「それはオマエ、ノォムの中が熱いだけだよ」
くす、と笑っててろりと耳朶に舌を這わせました。
すると、びくびくと身体を跳ねさせたノーマンの手がショーンに触れてこようと伸ばされてきます。
「しぉ、んー…っ」
きゅ、とリネンに着いていたてを握られ、くすりとショーンが笑いました。
「ノォマン、いいコ、足を開いてオレを入れて」
ふるふる、と珍しくノーマンが首を横に振ります。
どうやらあふれ出てくる潤滑材が嫌なようです。
頬を赤く染めたまま、なんとか見上げようとしてくるノーマンの目を覗き込みながら、先端を入口に押し当てました。
「コレが欲しい?」
ぐ、とヒップをひくつく入口に押し当てます。
「ふぁァ、あ」
ぎゅう、と目を瞑り、腰を跳ねあげたノーマンの内側にゆっくりと熱を押し入れていきます。
いつもより息の上がっているノーマンの肩口にまた口付けをしながら、ぐぐぐぐぐ、と最奥まで熱を押し入れていきます。
中をとろとろにさせる潤滑油なので、圧迫感はあっても、いつものキツさを感じ取ることはできません。
引き攣れることもないので、奥がいつもより潤滑油で埋まっていること以外は、苦しいことはないはずです。
きゅう、と口許に無意識に手を持っていったノーマンが、ぐしゃりとなったリネンをさらに乱していきます。
「へ、んん…っ。ぬるん、ってぇー…」
「うん、気持ちいいでしょう?早く慣れようね」
きゅっ、と自分の手を齧ったノーマンの首筋にかぷんと歯を立てます。
ふるふる、と間近で首を振られ、しゃらしゃらと涼しげな音が聞こえました。ノーマンの髪が振られて乾いた音を立てるのもショーンには心地よいものです。
「アんッ…ん、」
甘い声を上げたノーマンの口元から手を引き、代わりに自分の手をその場に置きました。
ぐ、と最奥まで腰を入れ、しぉ…?とトーンを跳ね上げたノーマンの内側をぐっと擦りあげます。
「どこが好きなところかな、ノォム。教えて」
「ひゃ、」
く、と一瞬鋭い感覚が皮膚を襲いました。ノーマンの鋭い犬歯がどうやら当たったようです。
それと同時に、ノーマンの熱い唇も手の甲に当たります。
「辛ければ、噛んでもいいよ」
そう甘い声で告げれば、「しぉお…っ」そう切羽詰まりだしたトーンでノーマンが声を上げました。
「や、や」
ふるふる、としきりに首を横に振るノーマンの、リネンにぺたりと張り付いた体の内側に手を潜り込ませ、反対側はノーマンの唇を押し撫でながらリズミカルに腰を打ちつけました。
甘い、高い声をノーマンが零し、その真っ赤な唇の中に指をぬくりと潜り込ませてショーンが言いました。
「丁度こんなカンジに、熱くて、濡れてて、堪らないんだよなぁ」
「ふ、ぅ…ん、っ」
甘い声を上げながら、ノーマンの舌がショーンの指に絡みます。
それに気を良くして、にくりぬくりと奥をショーンが掻き混ぜていきます。
ますます高くトーンの上がる声が、指とリネンに邪魔されて随分とくぐもって聞こえます。
「ノォム、ノーマン、」
ぎゅう、と返事代わりに締め付けられ、ショーンが喉奥で笑いました。
潤んだ双眸が自分を探すのに、間近から覗き込んでショーンがぐぐっと奥を突きあげました。
「っぁ、ア…!」
仰け反ったノーマンの口から零れ出た指で、濡れた痕を首筋から胸にかけて残します。
ん、と低くショーンも唸って、ますます軽快にリズムを刻んでいきます。
「ノーム、ノーマン、」
「ぁ、あああん、」
甘く高い声を零したノーマンが、ぎゅう、と締め付けてくるのに目を細めます。
「すごく熱くて気持ちがいいよ」
こめかみに口付けを落とし、そのまま横側に額を押し当てます。
ぎゅう、と更に額をくっつけてくるノーマンが、「しぉお、」と甘く掠れかけた声で鳴くのも、耳にとても心地が良いのです。
「うん、ぬるぬるはいやなんだっけ。零すのはダメ?」
上がる息の合間にショーンが訊きます。
「け、けして、くださぁ、っ」
切羽詰まった声で告げるノーマンの内にきゅうっと搾られ、喉奥でショーンが笑いました。
「うん、いいよ」
甘い声で告げますが、潤滑油がそうそう零れ出ていってしまうわけがありません。
「しぉ…、っ」
今日は長く楽しめる、とぺろりと舌舐めずりしてから、熱い体を寄せてきたノーマンの内側を遠慮なく突き上げていきます。
「ぁ、ァ、っぁあ…っ」
いつもより高く掠れた声が切れ切れに届きます。
きゅう、と沿った背中の動きに合わせてぎゅうっと引き絞られ、ショーンは低く呻きました。
「ぁつ、よぅ、」
「オレも熱いよ。ノーマンがあっちっちだからかなー」
にこりと笑って、ぐ、とノーマンの上半身を抱き寄せます。
「しぉお、たすけてくださ…ぁ、」
「ん、イっていいよ。気持ちよくなろうね」
甘やかすトーンで告げながら、ぐ、と一際大きく腰をスゥイングさせ、一際ノーマンが快楽を感じる場所を擦りあげます。
「ふ、ぅ…っ」
ぶるぶる、と身体を震わせたノーマンが蜜を零していくのを間近で見詰めながら、引き絞られる内に促され、ショーンも一瞬の発光に蜜を吐き出します。
「―――――ん、んう…っ」
犬歯を長く覗かせていたノーマンが、きゅ、と唇を閉じました。
その上を指でするりと撫でながら、荒い息を整えます。
暫く体を重ねたままで、とくとくと走る心臓のリズムを数えていれば、すぐにノーマンの唇が綻びました。
荒い息を吐いているノーマンに目を細め、その目元に口付けてから、ずくりと内側から屹立を引き出してしまいます。
「―――――ん、む」
小さく唸り、きゅう、と腕を握ってきたノーマンの乱れた前髪を直してやり、身体を直ぐ横にずらします。
「うん?」
顔を覗き込んで訊けば、「しぉ、」と掠れた声でノーマンが言います。
「どろ、って…なる、」
うるうる、と目にあっという間に涙が浮かんできます。
「おなか、ぜりぃみたいですー…」
「そんなに美味しそうなら、すぐにまた頂かないとね」
にこ、とショーンが笑って、くるん、とノーマンの身体を仰向けに転がします。
「―――――ひゃ?」
そして、両足を持ってぐっと開かせ、直ぐにまた奥に宛がいました。
「まーさーか、一回で満足するとでも?」
く、と首を傾げてショーンが言えば、ぱちぱち、とノーマンが目を瞬かせました。
それから、心配そうな声で、ぽそっと漏らしました。
「こぼれちゃうよう、」
「滴ってていい具合だな」
くす、と笑ってノーマンの身体に覆い被さり、涙目のまま見上げてきたノーマンの唇にあむっとキスをしました。
「まだまだ欲しいってこと」
「しぉ、」
「うん?」
「もう、あめはいらないです」
すい、と両足を引き上げさせ、掠れた声で言ったノーマンに、ぶふ、とショーンが笑いだしました。
「オレは大好きなんだけどね」
そんなに嫌?と訊きながら、奥を軽く突きます。
びくりと身体を揺らせたノーマンが、とてもとても小さな声で言いました。
「とけたらこまるもの…」
「うーん?」
ぱち、と目を瞬いたショーンに、ノーマンが甘い掠れた声で続けました。
「あつくて、バターみたいに溶けてなくなったらこまります、」
両腕を伸ばしてきたノーマンを両腕ぎゅうっとしながら、奥深くにゆっくりと突き入れます。
ショーンの肩口に顔をを埋めたノーマンが、くぐもった声を上げました。そして直ぐに肩をがぐあぐと噛んできます。
くすくす、とショーンが笑って、更にぎゅうっと抱きしめました。
「どんなに溶けても、元に戻してあげるよ。なにせ、オレは最強の魔法使いだからね」
甘い声でそう囁いたショーンを、顔を上げたノーマンがじっと覗き込んできました。
潤んだ目がきらきらと美味しそうなことにショーンが笑い。同じようにほにゃりと甘い笑顔を浮かべたノーマンがぎゅうっと抱きついてきたのを抱きしめ返し、さらりと甘い色合いの髪を撫でてショーンが言いました。
「だから、ノーマンは安心して、全部溶けちゃえばいいんだよ。いつだって最後にはオレが素敵なノーマンにしてあげるからね」