湖の
側
で
くう、と見上げてくるクマ顔のフードの中のブルゥアイズが瞬くのに、ショーンはふわりと微笑みました。ふかふかのくまを脇で支えて、ずい、と抱き上げます。
「いたずら、してみたいの?くまさん」
「がおう」
する、とくまの頭を撫でて、威張ったノーマンのまるっとしたくまの耳元を弾いてピアスを揺らします。
「ふふ」
甘く笑ったノーマンの目を覗き込み、こつりと額を押し合せました。
「いたずら、する?」
きら、と目を輝かせたノーマンが、酷く弾んだ声で言いました。
「しぉ…!してもいいんですか、いたずら!」
ンー、と笑って魔法使いは、するりとノーマンの頭からフードを落とさせました。
「どちらかというと、イタズラしなきゃいけないのはオレなんだけどね。なにせ本職の魔法使いだし」
唇を尖らせたノーマンのそれに、ちゅ、と甘いキスをします。
「攫ってきたのも、本当だし」
すり、と鼻先を合わせて、ショーンは声を落として言葉を継ぎました。
「迷子だったノーマンはオレのものだからね。オレがいたずらするのが本当なのかな、って思ってるんだけど」
にっこり、と笑いかければ、
「んん、」
そう言って、ノーマンがしばし沈黙します。
「おかしをもらえないといたずらするのを、いたずらもできて、おかしももらえるんですか?」
お得ね…?とノーマンが首を傾げます。
「お菓子はもうあげたでしょ、かわいいくまさん。だけど望むのなら、もっと甘くしてあげるよ」
ちゅく、と優しく唇を吸い上げて、ショーンが軽く首を傾げました。 ふにゃあ、とノーマンが笑いました。
「おかしはあとからもっとたくさんくださいね」
そうっと告げられた言葉に笑って、魔法使いがノーマンの首から下げられていた南瓜のバスケットを外させて、それをテーブルの上にそうっと下ろしました。
「くまさんが上手にいたずらができたのなら、お菓子もたくさんあげようね」
そのまますいすい、とすっかり内装もお菓子づくしで纏められた部屋の中を歩いていきます。
く、く、とすっかり“模様替え”されてしまった家の中を、ノーマンが視線で追っていきます。それもそのはず、壁から家具から日用品に到るまで、総てショーンの手作りお菓子で作りかえられているのですから。息を押し殺して夢中になって、ノーマンは絵本のなかそのもののような部屋中を見詰めています。
無駄に器用で有能な魔法使いは、上司にうっかり目頭を抑えられて深い深い溜息を吐かれるほどに優秀な魔法を編み出すことができるのです。ですから、「自分の領地である」と区切られた領域の中でどんな魔法でも仕掛けることができるのです。
湖畔の別荘をお菓子の家に代えることなど、実は朝飯前のことなのでした。
とんとん、と軽い足取りでクッキーの床を踏み締め、ベッドルームに向かいます。
片手でノーマンを抱いたまま、ショーンが部屋の明かりを指を鳴らして点けました。 ぱ、と柔らかなオレンジ色の光りがキャンディーでできた蝋燭に灯り、一気に部屋の中が黄金色に似た光に溢れました。
同じくキャンディーで出来た鮮やかな白い床の上には、ハチミツ色のスポンジと薄いピンクのマシュマロで出来たベッドが置いてあります。
サイドチェストはチョコレートで、天井からは黄色やオレンジや黒で出来たジェリーのハロウィン飾りがぶら下がっています。
きらきらの目で見上げてきたノーマンを、すとん、と柔らかすぎないベッドの上に下ろしました。そのまま、すとん、とノーマンの隣に腰を下ろします。
「さて、最愛のオレのくまさん。いたずら勝負といこうか?」
にこ、と魔法使いはノーマンに笑いかけます。 こくん、と首を傾げたノーマンを、すとん、と柔らかなベッドに押し倒しました。
「―――――あ、」
甘い声を上げたノーマンは、これからどうされるか、ほんのちょっと解っているようです。
くす、と笑ってショーンがぱちりと指を鳴らしました。ぽた、と黄金色の雨が天井から降り注ぎ始めます。
「―――――ひゃ、」
そう声を上げて目を真ん丸くしたノーマンの頬に、とろ、とハチミツの雫がかかります。
「トリックとトリートが同じであってもおかしくはない、と思うんだけど。どうかな?」
たん、ぽたん、とハチミツの雨に同じ様に濡れながら、魔法使いが笑いました。
きゅう、と目が細くなったノーマンのほっぺたをぺろりと舐めて、魔法使いがくしゃりとノーマンの濡れ始めた毛皮を撫でました。
「魔法使いっていうのは、素敵な職業だと思うよ―――――いろいろあるけどね」
する、ショーンが触れた濡れた部分が、しゅわしゅわ、と音を立てて溶けていきます。
思いのほかこの毛皮を気に入っていたらしいノーマンが、溶け出した毛皮に、
「――――ひゃ、」
と声を上げて慌てます。 もじもじじたじたと手足をばたつかせて、
「とけたらだめですよう、」
と悲しそうな声を上げました。
「しぉお、」
「“ノーマン”がオレのトリートだからね……でもそんなに気に入ったのなら、また作ってあげるよ」
「けがわ、すてきですもの」
ちゅく、と濡れた耳朶を咬んで、く、とピアスを唇で取りました。くる、と舌で蝙蝠のピアスを咥えなおし、それをノーマンの口中に落とします。
キャンディーであるソレが唇に残していった甘さをぺろりと舐め取り、するりとノーマンの肌を撫で上げました。
「あんっ」
しゅわしゅわ、とさらに毛皮が溶けていきます。
「ソレも、ちゃんと作り直してあげるよ。ピアスが出来る頃になったらね」
歯にピアスのキャンディーがかつ、と当たってまたびっくりしたノーマンが真ん丸目で見上げてきます。
「魔法使いになって、ほんとうによかった。トリックでもトリートでも、オマエを喜ばせられる」
ぺろ、とノーマンの唇を舐め上げて、さらりと触れてまた毛皮を溶かしていきます。
むぐ、とキャンディを味わいながら、ノーマンが目をさらに真ん丸にしています。
しゅわしゅわ、とほとんどの毛皮が溶けていき。その粟立つ感覚がくすぐったかったのか、
「ぁ、ん…ッァ、」
そう甘い声でノーマンが声を上げました。
ぽた、ぽた、ぽた、とそれでもまだまだ黄金の雫は降り注ぎ続けます。
「な、くなっちゃ――――あ、ぁん、」
てろ、とノーマンの頬に落ちた雫を舐め上げて、くすりと笑いました。
「トリックも気に入った、ノーマン?」
「く、すぐったぃー…」
もじもじ、としているのは、落ちてくる雫がくすぐったいのと、下着も溶けかけていっているからなのでしょう。
くす、と笑ってショーンが真っ白い肌に落ちた甘い黄金の蜜を舐めとりました。
「そんなに気に入っていたのなら、尻尾くらいは残してあげようね」
「っぁ、あ」
ふる、と震えたノーマンの尖がったピンクの尖りに口付けてから、ころん、とショーンがノーマンの身体をひっくり返しました。
「ぁン…っ」
白くてまるっとしたお尻が丁度割れるラインの上のところに、オレンジ色の小さな尻尾がぴるぴると震えています。
しっとりとハチミツに濡れたコットンキャンディーをプレスしたシーツに顔を伏せて、甘い声でノーマンが鳴きました。
とろとろとろ、とさらにハチミツが降り落ちる量が増え、ノーマンもショーンもお菓子のお部屋も、とろとろの蜂蜜に塗れます。
ぬちゃ、と音を立てて、ノーマンが胸を蜂蜜シーツにこすり付けました。くすくすと笑ってショーンがノーマンの尻をとろりと撫で上げ、蜂蜜漬けになった尻尾を指に絡めました。
「ひゃ、ァ」
ぴるん、と尻尾が動き、もぞもぞ、とお尻も蠢きます。
ぴちゃん、と白い肌の上で跳ねた蜂蜜が、とろとろ、と中央ラインを伝って落ちていきます。
「あ…んぅ、あ?」
甘い声のまま、ノーマンが驚いたトーンで訊きました。
「しぉ、シーツがおいしいですよぅ?」
「イタズラ(トリック)させてくれるっていうから、ご褒美(トリート)もちゃんと用意した。たまにはね、これだけクレイジィでも楽しい」
れろ、と尻尾を口に含んで、ちゅぷ、と吸い上げます。
「ァ、アんん、」
お尻がぴくんと跳ね上がり、甘い声でノーマンが喘ぎました。
けれども気になっていたのでしょう、とろ、と舌を長く伸ばして、シーツごと蜂蜜を舐め上げていきます。
「購入できる一番高価な蜂蜜にしてみたよ。さらっとしているから肌にはあんまりベトつかないところが気に入ってね」
「――――ぉ、いし」
甘い声で囁いたノーマンのヒップをつるりと撫でて、ショーンがとろとろとノーマンの背中を舐め上げていきます。
「ん、しょぉ、」
「シーツを齧っても、今日ばかりはおいしいだけだよ、ノーマン」
とろとろ、と甘い声を上げたノーマンの屹立へと手を回しながら、ショーンがくすりと笑って肩甲骨のところにかじっと歯を立てました。
「ァ、あ、」
くう、とノーマンの蜂蜜に濡れた胸が浮き、とろ、と二つの先端から金色の糸となって雫が垂れ落ちていき。きゅ、とすっかり肉球も溶けた指先で、重いシーツを握り締め、ふる、と細かく身体を震わせました。
「――――――ぁ、とろとろ、ってしま…」
声を震わせたノーマンに、くすくすと笑い。ショーンはぬちゅりとノーマンの蜂蜜に塗れた昂ぶりを手の中で揉みました。
「んっ、」
「こっちは肌に吸い付くみたいだよ…くちゅ、っていったね」
甘い高い声を聴きながら、てろてろと肌を舐め啜り。空いているほうの手で尖りを捏ね繰り回しながら、手の中にしっかりと納まる熱い中心部を扱きます。
「ぬる、ってしますー…、」
ぴるぴる、と震える尾っぽが蜂蜜を撒き散らし。くすりと笑ってショーンがノーマンの肩を齧りました。
「あ、」
「んん。時々はこういうのも楽しいね」
びくりと跳ね上がったノーマンの屹立を手の中でぬちゃぬちゃと絞りながら、ショーンがまたノーマンの背中を舌で辿っていきます。
「は、ぁ、しょぉ…ん、んん、」
くう、と細い腰を片腕で引き上げさせながら屹立を絞り。尖りからは手を放して、震える尻尾をきゅうっと引き絞りました。
「ァ、っあん、ぁ」
きゅう、と背中をしならせ、く、と顔を上げたノーマンが、快楽に顔を歪ませてショーンに言いました。
「おしっぽ、だめですよぅ、」
はふはふ、と荒い喘ぎがショーンの耳には甘く響きます。
「後ろの尻尾?前のコレ?」
魔法使いが両方一遍にくちゅりと搾り上げました。
「ひぁあん…っ」
肌についていた蜂蜜が絞られ、ぽたぽた、とシーツに垂れて音を立てていきます。
「いま、前のこっちは大きくなったよ、ノーマン?本当にだめ?」
びく、と跳ね上がった屹立の先端を、ぐにゅる、と親指で擦り上げてショーンが囁きます。
「ぁ、ぁあん、っ」
きゅう、と眉根を寄せたノーマンが、酷く色っぽい表情で喘ぎます。
「おしっぽ、じゃくてんだものー…」
「じゃあ悪戯好きな魔法使いとしては、そこを重点的に責めないとね」
くすりと笑ってショーンが尻尾をあーんと口に含む、きゅむ、と吸い上げました。そのまま、ぬちゃぬちゃと前の屹立を搾り上げます。
「や、ん…っ」
くう、としなった背中に構わずノーマンの腰を引き寄せ、ショーンが空いていた手でシーツからたっぷりと蜂蜜を掬い上げ、それをとろりとノーマンの後ろのお口に擦り付けました。
「ぁ、ァア、こぼれちゃ、っ」
あん、と切羽詰った声を上げたノーマンを追い上げるように、ぬぷ、と長い指をショーンはゆっくりと差し入れました。ぢゅ、と尻尾を吸い上げながら、ちゅぶ、と屹立も搾り上げます。
ひく、とノーマンの喘ぎが一瞬止まり、
「ぁ、ああぁ、っ」
そう声を上げて、ショーンの指をきゅ、きゅ、と締め付けながら飲み込んでいきます。
「――――――――しぉ、んんっ…ふぅ」
ショーンが弄くっている場所からはもちろん、ノーマンがシーツにこすり付けている胸からも濡れた音が存分に響いてしまっては、いたいけな元こぐまでは太刀打ちができません。
ぐう、と腰が強張り、ぴくん、と跳ね上がり。ぎゅう、とショーンの指を絞りながら、ぶるぶる、と身体全外が震えます。
ショーンは意地悪をせずに素直にノーマンを追い上げるために、指で的確に前立腺を擦り上げながら尻尾を甘く咬み、屹立をきつく搾り上げました。
「ひ、ァ、あぁあっ…ンっ」
かああ、とノーマンの体温が一気に上がり。ぽたたたた、と蜂蜜だらけのリネンに白濁した体液が零されます。
「しぉ、」
そう喘いでリネンに縋っているノーマンの尻尾を口から出して、ちゅ、ちゅ、と肌を吸い上げながら魔法使いが微笑みました。
は、と喘いで息を飲み込んだノーマンの屹立から手を離し。濡れた指を引き上げて、とろ、と舌で舐め上げます。
「いつもより、もっと甘い」
くすくすと笑ってショーンが言いました。反対側の指はノーマンの後ろのお口にはぐはぐとされたままです。
喘ぎながら肩越しに見上げてきつつも、ノーマンがぺろりと甘い唇を舌なめずりしました。
「ずくんずくん、てするよ、」
とろとろに甘い声でそう言われて、魔法使いはもっと笑顔になりました。
「どこもかしこも、もっと蕩けてぬるぬるになってしまおうね、ノーマン」
「しぉがほしいです、ってこと、でしょう…?」
とろん、と甘い声で言ったノーマンが、無意識にきゅっと指を締め付けてきて。ショーンはちゅっと桃のようなお尻を吸い上げながら、ぬく、と指を揺らしました。
「そう。もっと虜になって、こぐまさん」
「ぁ、あんん、しぉ、ッ」
きゅう、と指をさらに飲み込んだノーマンに、ショーンはふわりと微笑んで。蜂蜜とノーマンの体液に濡れた手で、くぷ、と奥を開かせました。
「もっととろとろになるまで、ここを味あわせてね、ノーマン」
あ、と息を呑んだノーマンの、指を咥え込んだ場所に、ショーンはとん、と唇を押し当てました。
かああ、と顔を真っ赤にし、ぴるぴる、と尻尾を振ったのを返事ととって、魔法使いは口端を吊り上げて、ぺろりと舌で舐め上げました。
「そして、もっと甘い声をオレにきかせてね」