キラ


ン。



ろうそくの灯りがお部屋中をいろいろに揺れながら漂っていました。
目を瞑ってしまっても、瞼の裏側がちかちかとします。 きっと、ろうそくから雪の結晶やトナカイや鳩やツバメやヒイラギの葉っぱの形になった光りがあるせいだけではないのです。
ショォンにたくさんキスされると、いつもぐらぐらしてしまうし、笑いながら齧られたりするとぐらぐらがくらくらに変わってしまいます。
だから、あぶないところでした。 せっかく、ショォンをくらくらにしてあげるのに、自分がふらふらしていてはとてもじゃないですが、 できません。 だから、ショォンがぺろりと唇を舐めてお口についていたシロップをきれいにしている間に、身体を動かしたのです。
もうすこし抱っこされていたら、きっと動けなくなってしまっていましたから、『ふぅ、あぶないあぶない』とノーマンはあたまのなかで息を吐いたのです。
だから、ショォンの腰にあったかくなった手をぺとりとあてて、お腹におでこをくっつけてみます。 きゅ、と引き締まっていて齧ってみたらとても楽しそうですし、実際、はぐりと齧ったこともあります。
ショォンのすてきなおズボンを、お腹を齧りながらボタンを外したりします。
むー、とノーマンが唸りました。 こういうときは、なんというのでしたっけ、と思います。
ショォンはさらさらと頭を撫でたりしてくれていますけれど、ノーマンはのんびりと頭を働かせていたのです。
けれど、ショォンのおとこのところをおハナで擽って。ピン、と閃きました。 ラジオで、ごちそうを食べるときにしぇふとかいうおじさんが言っていたのです。 あら、ぴったりですねえ、とノーマンがふにゃりとわらいました。
そして、ぼなぺてぃ、と威張って言ったならショォンはくすくすわらっていました。
けれど、ごちそうですよねえと頭のなかで思いながらノーマンはぺろりと舌を伸ばしました。 ショォンは「あまい」といいますが、前にはちみつをたくさん掛けてもらったときほど「あまい」とは思えません。
ただ、びっくりするくらい熱いです。 あまくないけれど、なんだかお口にするとどきどきぐらぐらするので不思議です。
ショォンの小さく笑う声が下りて来て、ノーマンが目だけで上の方をみます。
「んんんむ」
なんですか、と言ったつもりが、ヘンな風になってしまいます。
おしゃべりはできないので、くちゅりと舐めてみます。 お星様キャンディーははちみつドロップを転がすときよりずっと丁寧にします。
ショォンの真似をして、もうすこしお顔をがんばっておろしてみたりもします。 ショォンの静かだった息がすこし揺れます。
それを聞いて、またノーマンのお耳がピン!としました。ショォンにしてもらってるときと同じくらい、くらくらになってもらえるかもしれません。 これはがんばらないといけない、とノーマンは決心しました。
ショォンの温かな指先が、首を撫でてくるのに、ぞくん、とお背中がします。
「っ、ふ」
すこしだけ声が零れますが、お口にゆっくり深くショォンのお熱を含んでいきます。
お耳もさらんと弄られてくすぐったいですが、もっとお口と舌で包み込みます。 ちゅくりと吸い上げてみたりもします。
そうするたびに、ショォンがお咽喉で唸るような低い音が聞こえて、わくわくとします。
夢中になって吸い上げたり、お口を大きく開けてお顔ごと動かすようにします。 じわん、と舌の上に味が広がります。 あ、と思って。盛り上がったシロップをちゅうっと吸い上げます。
そうするときに、思い出して舌を縁に沿って動かしてみます。
つるりと動いていくのが面白くて、何回も繰り返せば。ショォンが深く息を吐いていました。 これは、きっときもちがいいのでしょう。
ますますがんばらばくては、とノーマンは張り切りました。
お尻尾はないはずですのに、むずむずする気もして、ショォンに聞いてみたいけれど、いまはまだすることがあります。
手でも引き上げるようにして、さらんと指を動かします。お熱がどきどきとしているようでした。
そろそろお口がだるい気もしたが、どきどきに添ってとろりと舌を滑らせてみます。 じわりと唇も濡れます。
ふ、とノーマンが息を吐いたとき、ぐ、とお熱が突き上げてきてうっかり涙が出そうになりました。

「んん、」
すこしだけ息が苦しくて喘いで、すぐにまた挑戦しなおします。
もっとあっつくなって、ぐつぐつするくらいになってほしいのです。 目の裏側が大変なことになっているのはノーマンだけなのはつまらないです。 きゅ、とノーマンがショォンのウェストに指を埋めます。
そして、また一生懸命になってショォンに気持ちよくなってもらおうとします。
「は、」
低いお声がします。 じわ、とおへその奥が痛熱くなりそうになってしまいます。
ショォンの手が首に添えられるのがわかって、ノーマンが息を弾ませました。 掌で抑えるように添えられて、ショォンがお熱を突き上げるようにするのに、ぶるりとノーマンが身体を震わせました。
「んッ、ん」
きゅ、と目を閉じてしまっても、ろうそくのキラキラが残っています。
はぐ、とお熱にかじりついてほっぺたが引っ込むほどにちゅるりと息を呑んでみます。 どんどん、お口の中にシロップが溢れるようです。
「濡れた音たてて」
ショォンの声がします。 ですからノーマンがゆっくり目を開けてみたなら、やっぱり目眩がしました。
うっすらと唇を開いて、ショォンがすこし苦しそうなお顔をしていました。
ずくん、とまた背骨の終りからお臍を通ってお熱が通ります。
ノーマンがお顔を動かすたびに、ぬちゅりと音がします。 ほっぺたも熱くて、くらくらします。 おとこのこのところが、ずきりとしてノーマンが手を伸ばしました。
「っ、ん」
とろとろに濡れていて、指がぬるりとします。
「もっと力を入れて、いっぱい恥ずかしい音を聞かせて」
ふらふらとしますが、ショォンがお願いしているのです。きかないわけにはいきません、だってくりっすまのぎふとなのですし。
そう思ってノーマンはがんばって、片方の手できゅう、と自分のお熱を抑えるようにします。
びく。と腰が揺れてしまって、喘ぐように息を吸います。 お口からするような音が、今度は自分の掌から届きます。
か、とほっぺたが熱くなったのと同じように、ショォンのお熱ももっと大きくなりました。
「っふ、ぅ、ん」
上あごに擦れるようにお顔を落として、舌を絡めてみます。掌の下で、自分のお熱がぴん、と弾けそうになってしまって。
「ぁんん、」
きゅう、とノーマンが眉を寄せます。 く、と低い声が聞こえました。
そして、ショォンの熱い手が今度はノーマンの金茶色の髪の、襟足のあたりを握って。 びくん、とノーマンのお口のなかでお熱が弾けて、びっくりするほど熱いシロップが喉を焼きそうに思えます。
「っふ、ぅ、んん」
こく、とノーマンが咽喉を鳴らして。注ぎ込まれるようなシロップに、きゅう、と眉を寄せました。
でも、嬉しいのでわらいたいような、大変なような気持ちが混ざり合って息もできないほどです。
お口の奥にシロップが注がれたとき、ノーマンのシロップも同じように零れてしまっていたのにいまになって気がつきます。 手が、熱くて濡れているのです。びっくりです。
とろとろとお熱を舐めながら、ノーマンが真っ赤に火照った唇をショォンのお熱から浮かせました。 舌先でそれでもお熱をたまに擽ります。
そして、はぁ、と大きな息を吐きました。

「しょぉ……?」
そして、そのままショォンを見上げます。半分首を傾げるようにしています。
ショォンの舌先も、唇を辿っているのをじっと見上げます。
そうしたなら、ショォンの温かい掌が頬を包み込んでくれて、うっとりとノーマンが目を細めました。 ショォンが唇を舐めていってくれたのがくすぐったくて、くすくすと身体を揺らしてわらいます。
「あのね、あの…」
けれど、続きはショォンにぱくりと食べられてしまいました。 とろとろとキスを続けて、ノーマンの身体がとろけそうになります。
背中にしがみついて、ノーマンがもっと身体をくっつけます。 お咽喉を鳴らして、キスに夢中になっていたなら、すこし抱き寄せられて、お臍から下がくっつきました。
「ひぁ、ん…ッ」
ぬちゅりと音がして、お熱があたります。 身体が奥の方から震え上がってしまって、ノーマンがますますショオンの背中に指を埋めました。
お背中がリネンにくっついて、ふかふかのお枕が肩のあたりではふんと音をたてました。
頭の上には、宝石のドリームキャッチャーがろうそくの灯りに夢のなかでみたよりきれいに煌いています。
「しぉお、」
お熱が擦れて、堪らない気持ちになります。 お腹の横を、はぐりと噛まれて、大きなお声が出てしまいます。
「ぁ、ァアん、ッ」
あの、あの、と言い募りますが頭はくらくらとしてきます。
ショォンの熱い手が脚にあたって、ぐう、っと両方、大きく開いたままでお膝がリネンにつくまで引き上げられてしまいます。
「ノーマンもあちこちキラキラしてるね」
お腹はシロップに濡れていますし、知らない間にあちこちが光っています。
「しぉ、あの、ぼく、」
はふはふと息を継ぎながらノーマンが言います。
「しょおん、を、あの、もっと、くらくらに、」
したいんです、と訴えようとしても、息が続きません。
「ん。いっぱいくらくらにしてあげるよ。頭の中が真っ白になるまでね」
「んんんー、」
ちがうんですよう、と訴えても。
ノーマンの言いたいことはちゃんと分かってくれていても、すっかり聞いてくれる気はない大魔法使いだったことは、ノーマンは気がつきませんでした。