Moderato
きらきらと挑んでくるヘヴンリィブルゥを覗き込んだまま服を脱がせた。手順は男と女のどっちを相手にしていても一緒。
ただヒトツチガウのは、“The Color Green”のトッド・スパロゥに興味のない彼は、積極的にキスを仕掛けてこないところ。がっついてこないところが、特によかった。いまはそんな気分じゃなくて、トッドががっつきたい瞬間だから。
腕の内側に飛翔する悪魔と、胸の上の方に刻まれたガンの刺青を唇で辿りながら裸に剥いた彼をリネンに押し倒した。服を着たままでも問題なくファックできたけれども、折角ホテルに居るのなら、と全部剥いてみた結果だった。
そして、そうしたことは正解だったとトッドは眼下に広がる視界に満足して、くう、と口端を吊り上げた。オトコの肢体はさらりと伸びやかで、どこか猫のような優雅さと俊敏さを兼ね備えているようだった。
ふ、と吐息で笑ったオトコに、トッドは柔らかく微笑を口端に刻んで。Tシャツを脱いでからゆっくりと覆いかぶさり、小さく尖った乳首に舌先を伸ばした。
木目細かな肌を掌で辿りながら吸い上げれば、息を詰めていた。どうやら本当にハジメテではないらしいけれども。オトコに抱かれることに慣れている風でもなかった。
色の白い肌に淡いピンクの痣を残す。
しんと静まり返った部屋に、コンコンとラジエター内を叩く液体の音が鈍く微かに響いていた。けれど耳は少しだけ揺れた吐息を拾い上げ、ちゅく、と吸い上げてトッドは笑う。
「―――――ん、っ」
甘いような呻き声が空気を揺らし。その声はキライじゃなかった。喋っているオトコの声も耳に甘く、囁いてきていると掠れたトーンはなおさら耳に心地よかった。その上、このオトコ特有のウタまで良ければ――――――たまにはミステイクも素敵なもんだ、とトッドは小さく笑ってまた肌を吸い上げた。
掌で表層を何度も辿りながら、小さな乳首を攻め立てていく―――――オトコであるということは気にならない。ただ手の中に脈打つ灼熱がぴったりとフィットしているだけだ。その滑らかな感触も、トッドはキライではなかった。イく瞬間にどくりと跳ね上がるソレは、オンナノコの身体よりも反応が素直で解りやすかったし。
かし、と前歯で尖りを甘く噛み。ゆら、と首が揺らいでヘヴンリィブルゥが隠されるのを惜しく思う。このオトコの猫のように煌く双眸を見ているのはかなりスキだった。自分も彼のエモノなのだと知って、トッドにとっては珍しくそのことが嬉しい。
背中をオンナノコより少し太い手指が滑っていく感触も、それはそれでキモチガイイから。トッドは何箇所も口付けるようにオトコの肌を辿り降りては吸い上げていく。
薄く開いた濡れた唇が色っぽくて。仄かなルームライトに照らされた腕の中のヒトをどんな意志でもって抱こうとしていたのかを忘れる。いまは――――――夢中になっているのだから、それで充分だ、とトッドは思った。
「―――――ふ、っぅ」
「声、出すのはスキじゃないんだ?」
囁くように訊ねながら、中心部に向かって唇を滑らせていく。
ゆら、と揺れる男の熱。コレがもしかしたらオンナノコの壷より自分を引き止めておいてくれるんじゃないかと思って、自分から積極的に求めていた時期もあったけれども。結局オトコだろうとオンナだろうと然程関係がないことに気付いて、来た者拒まず、であることにトッドは落ち着いた。ゲイのファンが自分の手を引くことはあまりないことなので、必然的に最近ではオンナノコとしかファックしておらず。よって自分以外のソレを久しく見ていなかったから、なんだか奇妙な感慨があった。
きゅ、と髪を引かれ、ちらりと視線を投げやる。
「なに?」
「キキタイ、てタイプ?」
蕩けた声が、ほんとうにただの付き合いっていうんじゃなくて快楽を感じ取っていることを聞き取り。トッドは薄く笑った。
「ウタを聴くのはスキだよ」
「あ、そ…」
少し笑っている声に、舌先を伸ばして濡れた先端をぺろりと舐めてみた。久しく馴染んでいなかった匂いが鼻腔を満たし。少し塩辛いようなテイストに薄く唇を引き上げてから、一気に口中に納めていく。く、と強張った腰を掴んで喉奥まで迎え入れ、そのまま軽く二三度上下させる。
「ぁ、あ、」
オトが区切られ、耳に届く。そのことが奇妙に耳に心地よかった。乳房を吸い込むよりはディックを頬張るほうが苦しかったけれども、快楽を感じて素直に跳ね上がるソレをもっとヨくするほうが楽しかった。オトコを相手にする時は、オンナノコの時よりちょっとだけ最初の手間がかかるけど、と手順を思い出しながらトッドは含んでいた屹立を浅くまで引き上げた。
「慣らしてイイ?」
咥えたまま訊いてみれば。
「ゴム、使え……?」
そう揺れて甘い声が促してくるのに、くすんと笑う。そして、まだ自分は穿いたままだったデニムの尻ポケットから、3つ連なったまま押し込んであった避妊具を引っ張り出した。
「了解」
「慣らすのも、」
とろ、と微笑んだオトコに、くくっと笑う。
「先にシャワーに入りたかったとか?」
答えを待っている間に、熱を口に咥えこみ。ゆっくりと上下させている間に、ヒトツのラッピングを切って薄いピンク色の濡れたゴムを引き出した。
「かまわねぇよ…っ」
揺れた声が齎してきた返事に唸って、二本揃えた指をサックの中に突っ込んでゴムを伸ばした。
「久し振り?」
親指で伸ばしたゴムの端を押さえ。ゆる、と首を横に振ったオトコの垂れ零した唾液に濡れた後ろに指を宛がう。
「じゃあいきなり二本でも平気かな?」
濡れた表面でそろりと締まった襞をなぞり。どう考えても閉じたままのそこがきつく収縮したのに、久し振りなんじゃん、と内心でゴチる。
く、とオトコのがっしりめの顎が上向いていた。
また深くまで揺れる灼熱の棒を咥え込みながら、一先ず片手の指一本だけを添わせる。ちゅく、と強く吸い上げれば、短くオトコが息を吸い込み。その後、ふ、と洩らした瞬間に、指を一本、ぐ、と差し入れた。ぬる、と第一関節までは安易に飲み込まれ。ハジメテの経験ではない、ということを読み取る。
「んぅ」
甘い揺らいだ声にトッドはくくっと喉奥で笑い。ゆっくりとゆっくりと指を沈めていく。
「ぁ、あ…、っ」
薄いゴム越しに内側を辿ることは、大して楽しいことではない。ただ濡れた感触は指に残るし、締め付けられる感覚も味わえる。緩んだ瞬間、指だけがゴムの中を移動するのをおかしく思いながら、また奥まで差し入れていく。
はあ、と熱い息を吐いたオトコの熱を喉奥まで迎え入れながら。サックの内側を締め付ける力が緩んだ瞬間に指を動かし、ただ広げていくことだけを考えて慣らしていく。
内側のスウィッチのありかを、ゴム越しに探すのは少しばかり困難だ。それでも耳に甘い声でオトコが蕩けた声でウタうから、それはそれで気分がよかった。だから至極丁寧に作業を多少楽しみながら勤しんでいれば、
「ぁ、ふやせ、って…っ」
そう甘い声で呻かれて、んん、とトッドは生返事を返した。そして、ちゅる、と熱を吸い上げてから、ぐり、と内側の浅い部分を指で抉るようにした。
「うァ、」
少し焦ったような声と共に、びくりとオトコの身体が跳ね上がった。
くく、と喉奥で笑って軽く指を引き出し。ぎゅ、と締め付けてきていたせいで内側に残されたサックに、今度は指二本を揃えてもぐりこませようと試みる。
「息、吐いて」
敏感な先端に舌を押し当てたまま言えば。
「んぁ、」
僅かに背中が浮き。さらりと柔らかな音が響いた。ちらりとその方向に視線を投げ掛ければ、髪が額から退いて夏空みたいなブルゥアイズが煌めいているのを見付けた。
「そ、こ、ィい」
蕩けた蒼に負けないくらいに蕩けた囁きと共に、オトコがにぃ、と笑みを刻んでいた。押し倒されても主導権を明け渡さないオトコの気の強さに、トッドは小さく喉奥で笑った。そして舌先で敏感な先端を抉じ開けるようにしながら、そろえた指を押し込む力にもう僅かウェイトを加える。
ゆら、と腰が揺れた瞬間だったのか、開いていたそこが、ふわ、とトッドの指を飲む込むように開き。
「は、ァ…っ、」
ぢゅく、と強く熱を吸い上げながら、指をぐっと奥まで潜り込ませる。びくびく、と組み敷いた身体が跳ね。喉奥で押し殺したような甘い声が、
「ぁあ、…アっ」
そう甘い嬌声を零していた。
その声に痛みを感じていないことを確認しながら、ぐっと指を奥深くまで押し込み。熱が口中で跳ね上がり、またトッドはソレを強く吸い上げて口中に止める。
「ンん…っ」
舌先で先端を強く割り開きながら、ぐにぐにと奥まで指をもぐりこませるようにし。先ほど探り当てた場所を狙って何度も何度も内側を掻く。
びく、とオトコの腰が跳ね上がっていた。
「ァ、あ、っあ」
それを押さえ込んで奥まで熱を咥えてキツく吸い上げるようにしながら、オトコがイイと言った場所を何度も擦りあげるようにする。こり、とそこだけほんの少し感触が違うのが、薄いゴム越しにも解ってオトコの正直さにトッドが、ふぅん、と脳内で唸った。キモチイイことがとても本当に好きなのだろうと知って、どこか少しだけ嬉しくなる。
リネンを長い足が乱していって。その容が見覚えたものでないものの、ちっとも不愉快にならないものであることにトッドは薄く笑った。
ぐちぐちと内側を擦りあげながら、最初はイかせてやろうと思って何度も吸い上げたり舐めたりしていれば。
「はな、せ…、も、ャばィ、って」
甘く切羽詰ったような声が言い募ってきた。酷く熱い掌に、くう、と肩を握られて、トッドは小さく笑う。
「イけばいい」
咥えたまま告げて、ぢゅく、とキツく吸い上げて促す。
「うぁ、ヨせ、って…ッ」
身体を捩るようにして言ったオトコが可愛くて。トッドは喉奥で笑いながら、ぐり、と奥のスポットを擦りあげた。
「ぁ、アッあ、…っ」
身体を捻るようにして、びくりとオトコの身体が跳ね上がり。とくん、と脈打った灼熱が口中に熱い飛沫を迸らせるのを飲み干しながら、きつく指を締め付けてくる感触を楽しんで味わった。
何も零されなくなった熱から口を離し。とん、と濡れた先端に口付けてから、指をサックごと引き抜いた。
オトコを見下ろしながらぺろりと唇を舐め。新しいコンドームをパッケージから取り出しながら、力なく睨んでくるオトコの上気したカオに微笑みかける。
「気持ちよくて何よりじゃん」
指で剥いたコンドームを挟んだまま、デニムのボタンを外していく。
オトコが焦れて足でトッドが穿いているデニムの裾を引き始めた。
笑って頭を出した屹立に薄い膜を引き下ろしていく。半分ほど脱がされたデニムの残りを引き下ろしながら、どこか笑っているような目で見詰めてきているオトコの上に覆いかぶさった。
「入ると思う?」
返答代わりに、かぷ、と首筋を軽く噛まれて笑った。
「ローションとかいるかな、って思っただけなんだけど」
足首まで落ちたデニムを足で脱いで、ベッドサイドに落とした。そのままトッドの身体を挟んでいた両足を割り開く。
「付いてねぇの?」
甘い声が訊いてくるのに、付いてるよ、と言って返す。
「でもオマエ、ほらオトコだから。キツいのは知ってるし」
オンナノコならまず前でたっぷり濡らしてもらってから後ろにもチャレンジするんだけど、と脳内で言い足していれば。は、と組み敷いたオトコが吐息で笑った。
「いいよ、早くキチマッテ」
くい、と首を引かれて、笑って長い両足を抱え上げた。そんなカワイイお願いにNOと言えるヤツなんかこの世にいやしねえ、と思いながら、とろんと甘い表情で笑っているオトコに頷いて返す。
「ん、」
緩く天辺で薄く開いた場所をノックし。平気?と目で確認しながら、少し身体を押し込んだ。
細められたブルゥアイズが少し潤んだのを見下ろしながら、呼吸を読みつつ少しずつ体重を落としていく。
くう、と眼下で整ったオトコの眉根が寄り。
「――――――っは、…ン、ぅ」
押し開いていく毎に甘い声が洩らされる。
ぎち、と締め付けてくるキツさにトッドは何度も目を瞬き。それでも組み敷いたオトコの頬が赤く染まっていくのを驚くほどの好意を持って見詰める。
「やっぱり、キツい」
「ン、っ」
「でも、イイ」
声を潜めて、素直に思ったことを口にしながら、ぐう、と腰を引き上げたオトコの身体が開くのに合わせて奥まで身体を押し進める。
ぎゅう、と締め付けられた場所に屹立が滑り込み。痛いほどに締め付けられても、包み込んでくる体温の熱さにほっとする。
ぐう、と。オトコが眉根をきつく寄せ、震える吐息を零していた。
「――――――ぁ、すげ…、クる、っ」
ストレートな言葉と共に、ぎゅ、と指が背中に縋ってくる。
「ん、すげえ、ね」
締め付けてくるキツさに深く息を吐けば。間近で息を零したオトコが、きゅ、と顎に口付けてきた。その表情は思いがけずかわいいことにトッドは笑って鼻先を頬にこすり付けてから、薄く唇を唇で辿る。
「キス、は?」
囁きに落とした声で訊けば、ふわ、と熱い息をオトコが零していた。擦り合わせるように唇が触れていき。柔らかく貪るように唇を合わせる。
ぐ、と足で腰を引き寄せられ。
「んん、ぁ、ア…っ」
合わさった唇の間から、甘い声が零れていった。
その耳に甘いトーンの目を瞑って浸りながら、ゆる、と腰を揺らして内側の奥深い部分を擦り上げる。
「ァ、」
身体が押し上げられると同時に声が洩らされ。もっとそのトーンが聴きたくなって、ゆるゆると腰を揺らすリズムを刻み始める。
ブロンドとブラウンの間の、鈍い色合いのマロンのクセ毛の側に片腕を預け。もう片手を伸ばして、硬さを失うことのなかった屹立を掌に包み込み。身体を揺すりながら掌の中の熱を揉んで。開きっぱなしになった口を何度も唇で啄ばむ。
「ぁ、ッア…」
甘い声が快楽を感じていることを告げ。そのことが何故か酷く嬉しい。
ゆら、と目の前で瞼が開いてブルゥアイズが覗き。受け止められていることの快楽に頭を浸しながらその目を見詰め返し。目で、なに、と問い返してみる。
きゅっと背骨に添って指が埋められ、薄く開いたままの唇をオトコが吊り上げた――――そうされることはかなりスキなんだ、と今更思い知る。
喘ぎ交じりに、甘い声が告げてくる。
「もっと、突っ込めよ、」
くう、と煌くブルゥアイズが細められた。
「すげ、ィいから、」
ぺろ、と唇を熱く濡れた舌に辿られて、きゅ、と目を細めてトッドは笑った。
「オマエも、すげえイイ」
うっとりと笑いながら手の中の熱を擦りあげ。吐息を乱すリズムを新たに刻み始める。それにあわせるようにゆらりと腰が揺らされて。濡れた先端を強く押し撫でて更にリズムを崩した。
「あぁっ、ア、」
びくりと跳ねた灼熱をぎゅっと絞り込んで、楽器を歌わせるように組み敷いた身体を歌わせる。
奥を突いて深いオトを。浅く抉って長く伸びたオトを。
「ん、ぁ、あ」
熱い吐息に混じって甘い声が空気を揺らし。ベッドが軋むオトと、濡れた身体同士がぶつかるオトに混ぜ合わされる。
「は、すげ…」
薄く笑ってトッドも熱い息を吐いた。
「ぁ、な―――――ぁ、」
呼びかけられるようなトーンに、目を開いて空より透明なブルゥアイズを見詰める。リズムは時々オフビートに身体を弾ませさせながら、それでも絶え間なく熱を上げさせて。
「ぃ、い、声、おまえ、」
ふにゃ、と。酷く柔らかくて優しい顔でオトコが笑ったから、トッドも笑みを返して、柔らかく唇を啄ばんだ。
「でも、今はオマエの、聞きたい」
「あ、は…っ」
ぐちゅ、と手の中の熱が卑猥なオトを立てた。笑い声だか喘ぎ声だか判明しなかったけれども、腹の底をざわつかせるような甘い声が耳に届いてトッドはふるりと身体を震わせた。
「煽られる、」
囁いて、ちゅく、と顎を吸い上げた。
ギシ、ギシ、とベッドが鳴く合間に、深く浅く狭い内側を擦りあげていく。二人分の荒い息が時々乱れるペースメーカに乗る。これはこれで心地よいオンガクだよな、とトッドは脳内でひとりごちた。いま作り上げているオンガクは、久しぶりに気分を良くさせる音だな、と薄く笑いながら。
「も、ぉっと、抱け…っ?」
とろ、と潤んだブルゥアイズが、それでも不敵に煌めいて笑っていた。
「スキ、これ?」
ぐち、と強く押し入れながら目を覗き込む。
「ン、ん」
こくこく、と頷きを返されて、ふにゃりとトッドも笑った。
「オレも」
ぐ、と一層腰を押し上げるように身体を突き入れて、手の中の熱を緩くきつく絞り上げる。
「溺れ、―――ァ、ああ、っ」
ぺろりと反った喉元を舐め上げれば、ぎゅ、と熱くて狭い襞に絞り上げられた。
「う、ぁ…」
低く呻いて快楽を押しとめようとし。けれど、ふわ、と赤く染まった彼の表情が酷く色っぽくて、トッドは一層奥深くまで突きいれながら目を閉じた。
かり、と背中を引っ掻く指が促してくるままに、手の中に熱い飛沫が零されるのを感じ取りながら頭を染める一瞬の白光に理性を手放す。
「は、…っく、」
呻いてリズムを押し止め。どくん、と脈打つのに任せて精液を零す。
それは薄い膜に止められて、トッドの屹立を焼くように包み込み。けれど広がる熱は内側で感じ取れたのか、
「ぁ、ンあ、…ゥ、ア、あっ」
そう甘く何度も声を上げて、オトコが身体を震わせていた。
きゅ、と抱き寄せられるままに体重を預け。は、は、と落ち着かない息をオトコの耳元に落とし込みながら目を瞑ったままでいる。
さら、と頬に触れる感触に目を開けば、甘い息を零しながらそれでも優しく唇が触れていったことを知って笑った。
「キモチ、イイ」
囁き声のようなトーンで告げれば、く、と足が絡んできて笑った。
「でも、焼かれるみたいだ」
小さく笑いながら、引き止めるような内側からゆっくりと楔を引き抜きにかかる。
「名残惜しいけど、」
「―――――ぅ、」
ちゅ、と頬に口付けながら最後まで楔を抜き。どこか艶やかに表情が歪むのを見詰めながら、先端が重く垂れ下がった膜から熱を引き抜いた。
口を縛って、ベッドサイドに置いてあったティッシュに包んでいれば。いつのまにか伸ばされていた手に、する、と触れられてびくりと腰を揺らした。
「わ、」
「あちぃね」
「そりゃだって」
唇を吊り上げていたオトコを見下ろして笑う。
「オマエの中にいたし」
「濡れてンの、キモチいい」
する、と指で達したばかりで僅かに柔らかくなった熱を撫でられ。トッドは、は、と熱い吐息を零した。
「オマエの中も、気持ちよかった」
ふ、とオトコが笑い、唇を舌で濡らしていった。それを見詰めて、トッドがふにゃりと笑った。
「だから、もう一回?」
返事は待たずに、そのまま唇を合わせた。熱を持った肌をさらりと掌で味わいながら、それ以上に熱い吐息を零した唇をやんわりと啄ばむ。
薄く開いた唇の間から舌先を差し入れれば、オトコの掌が肩をきゅっと握りこんでき、トッドはとろりと舌を啜り上げながら、掌をオトコの腿裏に滑らせた。
「ん、ん…っ」
蕩けた耳に甘い声が、何故だか嬉しい。
少しだけ反った首を唇で追いかけながら、ゆっくりと両脚を開かせ、濡れた谷間に手を滑らせた。擽るように入口の上を撫で上げてから、つるりと指を滑り込ませる。
「ぁ、ア…っ、ふ、」
びくりと震えて、合わさっていた唇が離れ。震えた声を上げたオトコに、トッドはくすくすと笑った。
「すげ、濡れてる」
ちゅく、ちゅく、と内側で指を蠢かせる。
「ぁ、…ほッ、あたり…っ」
ぐらぐらに揺れた声に、トッドはまた薄く笑った。
「んぁ、あ、」
「すげ、気持ち良さそ、」
きゅ、と細められたブルゥアイズを間近で見下ろし。その眦に涙が乗っかっているのを見とめた。
「オレも気持ちよくなりたい」
ふにゃりと笑って、つぷ、と指を引き抜き。片手がリネンをぎゅっと握り緊めているのにまた小さく笑ってから、両脚を開かせて腰を引き寄せた。
ぐら、とそれが揺れたのに構わず、既にスタンバイしている屹立を収縮している入口に宛がって、ぐ、と一気に押し込んだ。
「ふ、ぁ、あぁあ……っ、」
上ずった声が間近で零され、トッドもぐうっと眉根を寄せながら、んぅ、と呻き声を洩らした。
「すげ、あち…、」
にゅるん、と酷くスムーズに奥まで到達し。それが腰の奥から細かく震えたオトコに、きゅう、と絞り込まれるのに、トッドも身体を震わせた――――――そういえば、オンナノコ相手してるときはいつもゴムしてるから、久しぶりだ…。
「ぁ、マジ、かよぉ…っ」
泣き声混じりに言ってくるオトコに、トッドはふにゃりと困った風に笑った。
「すげ、キモチイイよ…?」
じわりじわりと締め付けられて、トッドは低く呻く。
ナマでする、なんて本当に久しぶりで。この感覚は薄いとはいえゴムに慣れたトッドにとっては、かなり快楽を強く感じさせた。
「っぁ、あつ、ゥア、」
押さえ込んだ両脚が小刻みに震え、トッドはゆるゆると腰を動かし出させながら、オトコの反った首筋に唇を押し当てた。
「は、すげ、キモチイィ、」
呻くようにトッドが言えば、腹に当たったオトコの屹立からも雫が垂れ零れていった。
ぬちゅ、ぐちゅ、と一際濡れた音が響いて、トッドは唇を噛み締める。
「ンゥ、っあ、あぁ、」
背中を撓ませ、見開いた蒼を彷徨わせたオトコに、トッドはふにゃりと笑いかける。
「クセに、なりそ、」
「ぁ、ア、」
身体の奥から震えたオトコに引き絞られて、トッドは低く唸った。濡れたオトコの屹立に手を添えて、それもぎゅう、っと絞り上げる。
「な…、ぁあっ…ッ」
下肢を強張らせたオトコに構わず、トッドはリズムを早めていく。濡れた音が手許からも伴奏するように響いてくるのに、低く唸り声を上げた。
「ん、は、…ヤバ、」
キモチヨクテ、眩暈がスル。
何度もきつく目を瞑っては開き、唇を開きっぱなしで目許まで真っ赤になって甘く喘ぐオトコを見詰める。
ぎゅう、と誘い込むように締め付けてくる内側に負けじと、背中に回された腕がキツく縋り付いてくる。
「中、ダメ…?」
耳元に熱い息を零しながら訊けば、ぐら、と蒼が揺れて、視線が合わされる。
「ダメ…?」
は、と荒い息をオトコが吐いた。返事を待つ間にも、揺れる腰は止めずにいる。
ぁ、ンんぅ、と甘く呻いたオトコの屹立を、ぬちゅっと絞り上げる。そして喘ぐ合間に、
「ごーかんじゃね、生…っなんて、何年振りだとおもってや…がっ、る、」
そう酷く甘く掠れた声で切れ切れに言ってくるのに、ふにゃりとトッドは笑った。
「じゃあヤメトコ」
久しぶりなのはお互い様らしかったから、あまり無理はできないね、とトッドは首を傾ける。
ぎ、と。泣き濡れてキレイなヘヴンリィブルゥが睨みつけてくるのに、トッドはますます笑った。
「さいごまで、しやがれ、」
そう告げてきたオトコが、ぎり、と尻を掴んできたのに、うわ、とトッドが笑った。
「そんなン、したら、モタナイって」
ぐぐ、と奥まで突き上げて、ちゅく、と首筋を吸い上げた。
「じゃあせめて、もっと気持ちよくなれな?」
濡れた音を遠慮せずに立てて、絞り上げてくる内側を攻め立てる。
「っぅ、アっ」
浅く深くリズムを変えて、強く優しく突き上げて。濡れた屹立を掌で絞り上げて、跳ね上がる下肢をさらに震えさせる。
「ん、すげ、…もたね、かも」
何度もアタマの中が発光するのに、トッドが切れ切れに限界を訴える。
ぎゅう、と絞り上げられて、ふ、ぅ、と甘ったれた呻き声を零し。かぷ、と首筋に甘く歯を立てながら、一際強く突き上げてオトコの内側に熱を注ぎ込む。
「ァ、ンぅ、ぁっ、」
そう甘い声で鳴いたオトコが、びくびくと震えてトッドの掌に体液を零していった。
「ヒぁ……ッ、ンぁ、っあ、」
目をきつく瞑ったオトコが、酷く甘い嬌声を上げ、ぎゅう、とますます引き絞るように締め付けてくるのに、トッドも歯を食いしばる。
「ん、すげ、キツ…ッ」
こてん、とオトコの身体をリネンに預けさせ。その上に身体を重ねて、二つの心臓がどくどくと激しく波打つのを楽しむ。
ぎり、と肩甲骨の下辺りに強く爪を埋められて、っぅ、とトッドが軽く呻いた。
は、は、と荒い息を零しながら、それでも眩暈が消え去るのを待ち。それからゆっくりとオトコの内側から屹立を引き抜いた。
「ぁ、う―――」
ぬちゅく、と濡れた音が響くと共に、ぎゅう、とオトコが眉根を寄せていた。
出て行き様に最後まで締め付けられて、トッドが低く呻き。抜け切った後に、トッドを受け入れていた場所からとろりと体液が搾り出されていったのに、ぞく、と身体を震わせた。
「んぅ、」
ちゅ、と甘く唇にキスを落として、ふにゃりとトッドが笑い、甘く呻いて踵を僅かに滑らせたオトコを、間近で覗き込んだ。
「直だともっとイイね?」
ぎり、とまた爪を立てられて、トッドがぐっと眉根を寄せた。
「痛いってば、ホントなのに、」
甘い声が、唆すように間近で言った。
「まだ、拓かされてる、」
とろ、と耳に纏わり付くかのように甘ったるい声なのに、トッドが首を傾げた。
「もっとシてもいいのか?」
いいぜ、とオトコが吐息で囁くように言いかけていた。ふにゃりとトッドが笑いかける。
「すげ、積極的だね?」
さら、とオトコの額に貼り付いた髪の毛を退かして、目を覗きこんだ。
「今度、上乗る?」
にぃ、と。オトコは酷く扇情的な笑みを浮かべた。
「なかから零れてくンの、きもち悪ぃんだけど、」
ゆる、とトッドの肩をオトコの火照った指先が撫で下ろしていくのに、こくん、とトッドが首を傾ける。
「んー……閉じる…?」
ごつ、と軽くアタマを殴られて、ぃた、とトッドがカオを顰めた。
「せめてキレイにしろ、」
笑い混じりに告げられて、ああ、そっか、とトッドが笑った。
「バスルーム行く?」
「めんどぅ、」
「じゃあ拭っとくか」
ぺろ、と赤い舌を覗かせたオトコが、にぃ、とますます笑みを深めていた。
ティッシュの箱に手を伸ばして、何枚かを連続して引き抜く。
「Whatever(お好きに、)」
そう告げてくるオトコに向き直って、その両脚をそうっと開いた。
「わ、ごめん。結構量あった…?」
白濁した体液を、ティッシュで拭って。くく、と笑っていたオトコにまた少しだけ熱を帯びた吐息を零させる。
「中も出す…?」
ふわ、とオトコが息を零した。
「できんの、」
どこか面白がっているような声に、こくん、と首を傾げる。
「多分?」
さらりと首筋から肩にかけて触れられて、ふにゃりとトッドが笑った。
「なにしろハジメテだからごめんね?」
「ふぅん?ついでにキモチよくさせろ……?」
とろ、と微笑んだオトコに、ぱち、とトッドは瞬き。それからふにゃりと笑って頷いた。
「オーケィ、やってみるよ」
てろ、と自分の指を濡らしてから、オトコの拓いた入口にそうっと押し入れる。
ぐる、と中を掻き混ぜてから、広げておいたティッシュの上に中身を掻きだしていく。
ん、と甘い息を零したオトコに、トッドが首を傾げた。
「その姿勢でいいのか?」
少し膝を立てたオトコがきらきらと煌く双眸でオモシロソウに見詰めてくるのに、ありがと、とトッドは告げて。せっせと熱い体内を手繰ることに懸命になる。
「―――――ん、っく、」
とろ、と甘い声にトッドは笑って。内側を丁寧に指で押し撫でていく。
「手、熱ぃ、」
ゆらりと揺れた膝に、トッドがふわりと熱い息を零した。
「ここの中、もっと熱いよ…?」
くぅ、とオトコが唇を吊り上げ。さらにその目を煌かせていた。
「あんたがさせた、ロックスタァ、」
する、と伸びてきた手が肩に触れたのに、ゆっくりと視線を上げた。
「すんげえヨかったし」
ふにゃ、と笑いかける。
「そ?」
「ん」
すい、とオトコが身体を起こし、ちゅ、と甘く肩口に口付けてくる。ふ、とトッドがまた上がり出した体温に息を吐けば、とろん、と甘いオトコの声がさらにコトバを継いでいた。
「あんたも同じくらい、熱い…?」
「へ…?」
胸元にも唇を落とされ、視線をリネンに落とした瞬間。ぐい、と腕を引かれて、目を開く間もなくリネンに胸が着いた。
「な、」
ぐ、と背中に熱い身体が重なり。首筋に熱い息を感じて首を竦めた。
「ちょっと喰わせて?」
甘ったれるように柔らかなトーンが告げてきたことが理解できずにいれば、がじ、と項を軽く噛まれてトッドはひくんと喉を鳴らした。
「くわせて、」
甘く擦れた低まれた声に、うわ、とトッドが身体を震わせる。ぞく、と皮膚が粟立ったのが解って、ぎゅ、とリネンを握り締めた。
「おれ、すこし休めたし。くわせて」
「な、いま、から…?てか、喰うって…?」
髪を鼻先が割って、ぺろ、と肌を舐められて眉根を寄せる。これはちょっと想像していなかった、というか予想外だよ、と頭の中でぼやきながら。
「うん、あんたくぃたい」
そう告げてきたオトコが、ちゅく、と耳朶を吸い上げてきて。トッドはますます眉根を寄せながら、んぅ、と小さく呻いた―――――喰うって、それってファックしたいってことか…?
ぐる、と思考が巡って、このキレイなオトコのどこにそんなエネルギィが蓄えられているんだろ、と思いながら、フと思い出したことにぎゅっと眉根を寄せた。
「ハジメテ、なら、ヤダよ」
返事をしつつも、どんな気分の入れ替えで彼は自分に乗っかることを決めたんだろう、とぼんやりとパニックの中で思っていれば。思いがけず優しく、ちゅ、と頬に口付けられて目を瞬いた。
「かわいいの、」
囁くように呟かれて、ぺろ、と頬を熱い舌が舐めていき。指がするりと胸元に落ちてきたのに、ひくりと肩を跳ねさせた。
「ん、ぅ」
「ほんとは、抱くほうが得意、おれ」
甘く耳元で囁いてくる声に、じろりと視線を向ける。
別にオレだって抱かれたことがないわけじゃないけど、と言いかけて、けれど言葉は飲み込む。そういえばまだ名前も知らないこのオトコと、オノレの堕落ぶりを自慢したいわけじゃない、と思い直して。
くう、と目元で微笑んだオトコの顔が、トッドに抱かれていた時に見せていた甘えた表情ではなく、攻めるオトコの顔をしていることに彼の本気を読み取った。
「……オレ、明日立てないのはヤだからな」
そこまでされなきゃ、抱いても抱かれてもキモチイイならもういいや、と思ってトッドは溜め息交じりに呟いた。キモチガイイのなら、もうなんだってイイ。久しぶりだからチョット怖いケド、でも多分なんだか大丈夫な気がするし。
くい、と容の良い眉が跳ね上がったのに、とくりと心臓が跳ねたのを自覚する。
「そこまでシていいの…?わお、さんきゅう」
くう、と。酷く好戦的な笑みを浮かべたオトコに、な、とトッドは言葉を失う。
そういう意味じゃなくて、と言いかけ。ぐい、と後ろから脚を遠慮なく割り開かれて言葉を飲み込んだ。こうなったらこのオトコはもう止まりはしないだろう、と何故か解ってしまい。
「ぁあ、背中…きれいなんだ、」
ケガはしたくないし、実はされるのもキライじゃないから敢て逆らいはしないまでも。ふわりと和らいだ声で呟いたオトコに、唯々諾々と従うのもなんだか悔しくて。
トッドは背中を指でつう、と触れられる感覚に眉根を寄せながら、それでもぶすっと僅かに声を荒げて言った。
「ちゃんと慣らせよっ」
back
next
|